ロボットで単純ミスを防げ! 人間の仕事を楽にするRPAの働き方改革

ロボットで単純ミスを防げ! 人間の仕事を楽にするRPAの働き方改革

「データの転記作業でミスが発生した」
「データの分析のために毎週月曜は早出して資料を作っている」
「時短勤務なので少しでも無駄な作業は減らしたい」

働いていればどれか一つは思い当たる部分があるのではないでしょうか?

「2回確認してもミスをしてしまったので、今後は3回チェックするようにします」なんていう始末書を書きながら「あれ? これでいいのかな?」と思ったり……。

キヤノンマーケティングジャパンでは、ロボット(RPA)を活用した働き方改革を実施。その結果、グループ全社で約11人分の業務時間にあたる年間約2万時間の削減に成功し、今年度は約10万時間の業務時間削減を目指しています。

多くの企業で人手不足に伴う業務効率化や生産性の改善が課題となっている今、同社のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した働き方改革の取り組みについて取材しました。

AIとの違いは? RPAって何?

RPAはロボティック・プロセス・オートメーションの略で、データの分析作業や入力作業などPCで行う事務作業を自動化するソフトウエアロボットを指します。

ロボットと言うと、「AI(人工知能)」を思い浮かべる人も多いと思いますが、AIは自ら学習して判断・行動できるのに対し、RPAはあくまでも決められたルール(シナリオ)に従って処理を実行するソフトウエアです。

同社では2018年3月にRPA推進室が設置され、7月にRPA推進部が発足。発足から1年4カ月たった現在は28人が在籍しています。具体的には、商品価格の登録業務や売上日報の作成業務など、約110の業務でRPAが導入されています。

マーケティング推進本部でRPA推進課に所属する賀来茜(かく・あかね)さん(39)は「随分前から社内で業務プロセスの見直しが叫ばれていました。というのも、業務プロセスがかなり複雑になっていて無駄が多いのではないかという声が上がっていたからです。具体的な動きが出てきたのが3~4年前です。その後、働き方改革の流れもあってRPA推進部が発足しました」と話します。

賀来茜さん

賀来茜さん

RPAの導入にいたるまで

では、具体的に「この業務をRPA化したい」と思ったらどんなプロセスを経て導入にいたるのでしょうか?

「まず、依頼元は現行業務の手順書をメンテナンス、または新規作成する必要があります。依頼元には、業務の目的に沿って『業務に無駄はないか?』『業務を効率的に行うにはどうすればよいか?』を見直していただいた後、当課宛てに見直した手順書を添付してRPA作成申請を出していただきます。

当課では申請を受け、RPA化しやすいプロセスになっているかをチェックすることはもちろん、現場の方とは違った『一歩引いた目線』で業務プロセスを見て『こういうやり方ではいかがでしょうか?』というご提案をします。中には『業務の見直し』、『そもそも必要ない業務だから廃止』、『RPA以外の方法で解決』というものもあります。

RPA化すると決まったら、作りやすく、メンテナンスしやすく、かつ依頼元の依頼要件を満たせるようなところまで落とし込みをします」(賀来さん)

RPAの導入が決まったら、完全に内製で開発がスタートします。

「私たちはRPAの販売もしていますので、やはり内部でいろいろ作って使ってみて、そこで得たノウハウをお客さまに還元したいと思っています。また、内製にすれば社内システムや文化を把握する時間を節約できます。今は発注からリリースまで約2カ月程度かかっていますが、将来的には半分に短縮したいと思っています」(賀来さん)

RPA導入でストレスが減った

実際に業務にRPAを導入した現場の人はどう感じているのでしょうか?

プリンティング企画本部の大野麻理子(おおの・まりこ)さん(35)は、今年の7月から業務にRPAを取り入れました。

「私が所属している部門は、さまざまなビジネス向け製品の商品企画部門を横軸で取りまとめる業務を担っています。私は各製品の売上日報作成を担当しているのですが、毎日集計するのが心理的負担になっていました。毎日やらなければいけないし、もちろんミスがあってもいけない。

でも、急な業務が入ってつい後回しにしてしまうこともあったり、子供の体調不良で急にお休みを取ったりすることもあって、上司に『すみませんが入力をお願いします』と頼んだこともありました」

大野麻理子さん

大野麻理子さん

日報入力業務は時間的な負担よりも心理的負担のほうが大きかったという大野さん。それでも、短時間勤務の大野さんにとって、1日に30分の業務を短縮できたのは大きかったといいます。

「RPAを導入してからは出社前の毎朝7時半には作業が終わっているし、ロボットをきちんと作っておけばミスは起こらない。その分、考える作業に時間を割けるようになったのは大きいですね」

賀来さんも「早朝や深夜にロボットに働いてもらえば、人間はすぐに仕事に取りかかれる。RPAで削減できた時間を有効に使ってもらいつつ、定時に帰ってもらえればと思います」と話します。

RPAやAIは人間の仕事を奪う?

RPAやAIというと、「人間の仕事が奪われるのでは?」というイメージもありますが……。

「RPAは人間が手が回らない部分やこぼれ落ちていた部分をロボットが拾っているだけなので、奪い合うというのはちょっと違う気がします。ロボット社員を増やすことで、人間がストレスから解放されて少しでも楽になればいいなと思います」と賀来さん。

同社としても、「RPA導入は人員削減のためではなく、少子化でますます労働人口が減っていく将来を見据えて、無駄な仕事を減らし、社員の生産性を高めることが狙い」といいます。

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仕事を少しでも楽に

最後に、賀来さんにRPAの課題と展望について聞いてみました。

「RPAはネットワーク速度などの環境要因でエラーが起こることもあるので安定化も課題ですね。また、先ほど申し上げた開発時間の削減もそうですが、依頼元とのコミュニケーションを密に取っていくことが課題かと思います。

要件の詳細を詰める段階になって、なかなかお時間をいただけなかったり、実際に作ってみたら『ここを依頼元に聞くのを忘れていた』という要件の取りこぼしが出たりするので、頻繁にやり取りをすることで『RPAに置き換えてよかった』『役立った』と言ってもらえるものを作りたいと思います。

展望としては、ゆくゆくは社内だけではなく社外に向けて受託開発ができればいいなと思います。働く人の仕事を少しでも楽にできればいいですね」

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