「おっさんへの“媚び”に得はなし」働き女子が30歳までに知っておくべきこと

「おっさんへの“媚び”に得はなし」働き女子が30歳までに知っておくべきこと

職場の飲み会で後輩がおじさん相手にうまく立ち回っている。同僚の女子が、高くておいしそうなお店で力を持っていそうなおじさんと食事している様子をSNSにアップしている。

よくある光景ですが、おじさんにかわいがられている女子を見て羨ましいと思いつつもモヤっとしたことがある女性は少なくないのでは? 

特に職場や仕事といった利害がからむと「おじさんにかわいがられたほうが得だよなー」なんて思ったり、「真面目に仕事だけやっててもダメなのかな」となんだか損をした気になってしまったり……。

しかし、女性の悩みに真摯に応えるウェブメディア「AM」の編集長・金井茉利絵さんと岩倉久仁帆さんは「おっさんへの媚びはまったく得ではない」とキッパリ言い放ちます。お二人に詳しいお話を聞きました。

「おっさん」に媚びることは“処世術”ではない

——今日はありがとうございます。「AM」と言えばイベント用に発売した同人誌『恋愛メディアがひろってくれない 童貞の疑問を解決する本』を発売して話題になりました。その際のインタビューで「社会人生活を振り返って、おっさんに媚びてた時間が本当に無駄だったなと後悔しています」というくだりがありました。その部分を読んでハッとしたんです。「おじさんにかわいがられたほうが得」というのを“処世術”と言い換えてしまっている女子は多いのでは? と。

岩倉久仁帆(以下、岩倉):特に20代っておじさんがすごそうに見えるんですよね。でも30歳を超えるとわかってくるんですよね。あの年齢であれは普通だぞって。

——そうなんですね。そういえばインタビューでは「おじさん」ではなく「おっさん」と言っていますね。

金井茉利絵(以下、金井):「おじさん」と言うと年上の男性全般を指してしまってかわいそうなので……。今回も、「ウザいおじさん」という意味で「おっさん」と呼んだほうがわかりやすいでしょうか。

——なるほど。では、改めて「おっさん」の特徴って何ですかね?

金井:まわりが見えていなかったり、自分に選択肢があると信じ込んでいる男性は「うわ、おっさん」と思います。自分が選ぶ立場だと思っているってことですね。

岩倉:あと、「自分にかわいがられてうれしいと思うはずだ」と純粋に信じている男性。年齢ではなくて距離感がつかめない人とか……。

——あー、なるほど!

金井:あとは開き直っている人もちょっとずるいですね。「俺はおじさんだから」って。自称して免罪符的な使い方をする人いますよね。「おじさん」って言えば無礼だったりちょっと馴れ馴れしくても仕方ない、というような。

岩倉:いますね。あとは「男はつらいよ」おっさんとか。

——「男はつらいよ」おっさんって何ですか?

岩倉:「男は悲しい生き物なんだよ」って自分を下におくふりをして、女性をバカにしてるとしか思えない発言をするおっさんです。自虐のフリするのがズルいですよね。

——あはは、いますいます。

岩倉:あと忘れちゃいけないのは「マイ・フェア・レディおっさん」です。

——「マイ・フェア・レディおっさん」。何となく意味は想像できますが……。

岩倉:若い女の子を自分のステージにひき上げようとするおっさんです。自分の実績や人間関係を見せびらかして、その仲間に入れる代わりに「媚び」を求めてくる。女性側も「この人にかわいがられて仲間に入ったら仕事が広がるかも♡」と媚びてしまいますが、入れてもらえても対等な仲間ではなく「愛玩」としてのポジションです。

仲間に入れさえすれば、と思うかもしれませんが、そこからのし上がる実力があればそもそも媚びなくていいですよね。結局、消費されて終わっちゃうのではないでしょうか。

「AM」の岩倉久仁帆さん

「AM」の岩倉久仁帆さん

おっさんが「キラキラして見えてた」あの頃…

——さて、おっさんの分類もひと段落したところで本題に入っていきたいと思います。私自身、どこかで「おっさんに媚びれば何か得があるんじゃないか?」って信じていた部分があって、30歳を超えた今でもまだその考えを捨てきれていないんです。やはり働いていく上で「おじさん」は多いですし。

岩倉:そうなんですよね。特に若い頃は得があるように勘違いしちゃうんですよね。

——なぜ「得があるかも」って思っちゃってたんだろう?

岩倉:私たちにない人脈や大きい仕事を回していたりするから、おこぼれにあずかれるように見えちゃうからじゃないでしょうか。特に20代は。

——距離も遠いからすごそうに見えてしまうんですよね。「媚びても得がない」と悟ったというか目が覚めた瞬間はありますか?

岩倉:以前働いていた職場で、広告のタイアップの仕事があったんですが、クライアントとの食事会があったんです。参加してクライアントに気に入られれば続きの仕事をもらえるかなと思って。そうしたらクライアントから気に入られて、翌日からメールが鳴り止まなくなったんです。会社の営業担当に相談したら「あとは自由恋愛ということで」と風俗店の店長みたいなことをほざいて逃げました。

そのとき、今まで無茶を聞いてたけど、得たものってなんだ? と振り返ったんですが、何もなかったです。「本当に?」って思う女性は、まわりの先輩女性に聞いてみてください。ないと思うんだけどな~。

金井:私は幸か不幸か、今まであまりおっさんらしいおっさんに好かれたことがなくて……。例えば、男女混合の飲み会で下ネタ含めて話していても、明らかに自分が一番ウケてることってあるじゃないですか(笑)。すると大抵その中になぜか引いているおっさんがいて、特に気にせずに喋っていると、そのおっさん主催の会には呼ばれなくなり、その後同席することもないっていう…。

もちろん面白いと思ってくれる男性もいるんですが、女子に自分の聞き役を求めているおっさんには好かれないですね。そういうこっちを人間として見れないおっさんとつながれずにここまできましたが、特に損もなく。それより年上女性と仲良くしたほうが実がありましたし、結局は自分が仲良くしたい人と仲良くしたほうが、能力をのばしっぱなしにできるんじゃないですかね。

——結局、おっさんより面白い女子はお呼びでないってことか……。

金井:そういうおっさんって、視野狭いから評価する能力ないのに、評価側にまわりたがるだけなんで(笑)。そんなせせこましい場所にいても普通につまんないですよね~。

「AM」の金井茉利絵編集長

「AM」の金井茉利絵編集長

「おいしいゴハンを食べる」は受け身の楽しさ

——でも、やっぱりSNSで東京カレンダーに出てきそうなお店に連れていってもらえて美味しいもの食べている女子を見ると「いいなー」って思っちゃうんです。

金井:「『すごいー』って言いながら食う飯がうまいか」って考えるといいかもですね(笑)。あれはあれで大変ですよね、「すごいー」って相槌打ちながら食う。なかなかの重労働ですよ。

それによく考えたら金箔で包んだ寿司でもない限り、働いてたら大体自分で食べれますしね。あと、ゴハンって基本的に消費で受身の楽しさですから。仕事の楽しさよりは本人に積み重ならないので、大した得はないんじゃないでしょうか。

——仕事ではどうでしょうか。

岩倉:仮に仕事でおっさんを“利用”しようと思っても、年の功で逆に利用されるのがオチです。それに、こちらが差し出せるものは何? というのも考えたほうがいいですね。そうじゃないと、対等な関係にはなれません。

あと、積み重ねで思い出しましたが、30代と言えば、正当に評価をしてくれる女性の先輩がリターンをくれる時期に差し掛かるんです。これまで20代の時にやってきた仕事が評価されて下心なしで自分の能力を評価してくれる。おっさんに媚びることに尽力してたら、そのターンがこないと思います。

——確かに。ちゃんと仕事しろってことですね。

注意すべきは「年下としか絡んでいないおっさん」

——近づかないほうがいいおっさんといいおじさんの見分け方ってありますか?

岩倉:年下の女としか絡んでいるのを見たことないおっさんは近づかないほうがいいですね。

金井:それですね! 同じ年齢くらいの女性と楽しく会話できているか、話が出てくるか、つまり大人の女性とちゃんと付き合えているかどうかは基準になりそうです。
若い女性としか話せないって、対等な人間関係を築けない人ってことなので。

岩倉:いいおじさんは平等というか、いい意味で他人に興味がないんです。だから贔屓もしないし、正当に評価してくれる。

あと、変につるんでるおっさんにも気をつけてください。著名人との交友関係を見せびらかしてくるような。それって自分を大きくみせよう、自分が上に立とうという意識の表れだと思うので。

金井:社会人でも何かを教えてもらったとかでなければ上下関係なくフラットでいいと思うんですが、初対面で上に立とうとしてくるおっさんっていますからね。「人生の先輩」とか思ってないからっていう(笑)。

「私さえ我慢すれば」はさっさと捨てろ

——最後に、おっさんとの正しい付き合い方を教えてください。

金井:言いたいことは、できれば言ったほうがいいですね。媚びたりご飯に付き合ったりするのが努力だと思わなくていいですし、気の合わないおっさんの飲み会に頑張って行って先につながったことないですから。できないことをやる必要はないです。正当な自信をつけてくれるおじさんならもちろんいいんですけど、高すぎたり、逆に低すぎたりという極端な評価をしてくるおっさんには注意したほうがいいです。

そういえば、ないと思ってましたが、私も昔取引先のおっさんに仲良くしようとこられてすごく悩んだ時期があったんでした。まわりにも長い間相談できなくて。でも我慢できなくてやっと上司に言ったら「そんな仕事しなくていいに決まってる」って言われて。確かに当たり前ですよね、セクハラに耐えてまで仕事をとらなくていいです。

「私さえ我慢すれば」って若い女子は無意識に思っちゃうかもしれないんですが、絶対そんなことない。我慢しなくていいので。まあ女性でも「セクハラくらいうまくかわせ」とか言う“名誉おっさん”的な女性もいるのでそういう意見は無視してまわりに助けを求めてください。

——岩倉さんはいかがですか?

岩倉:キモかったらキモいって思っていいってことですかね。「キモがったら失礼かな」って罪悪感を抱いちゃう女子も多いと思うんですがキモいものはキモいんで。親しくしたいと思っていないおっさんに馴れ馴れしくされたらキモいって思うのは当然です。人からどう思われるかより自分が不愉快に思わないほうが大事です。

あと、当たり前のことですが、もしセクハラを受けたら抗議しましょう。セクハラをしたおっさんと同年代のおじさんに相談するのも一つの手です。「俺はそんなやつとは違うから」って助けてくれるし、相談を受けた手前、自分にはセクハラしてこないですから。セクハラするおっさんって根本的に女性を舐めてるので、異性の注意は聞かないです。だったら同性から注意してもらうほうが効果的かなって。

——なるほど。おっさんをもっておっさんを制すってわけですね。今日はありがとうございました。

(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:池田真理)

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「おっさんへの“媚び”に得はなし」働き女子が30歳までに知っておくべきこと

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