実家に悩む、あなたへ。第3回

いいかげん子離れしてよ!と親に言いたくなる時の対処法【お坊さんに聞いてみた】

いいかげん子離れしてよ!と親に言いたくなる時の対処法【お坊さんに聞いてみた】

“毒親”ではない。きょうだいとの関係も悪くない。でも、なんとなくモヤモヤしてしまいがちな家族との関係。この憂うつをどうしたらいいの?

ということで、浄土真宗本願寺派の僧侶で、『あなたは、あなた。』(アルファポリス)を上梓した、大來尚順さんに、都内で働く女性の実家にまつわるお悩みを相談してみました。5回にわたってお届けします。

大來さん(2017年撮影)

大來さん(2017年撮影)

<今回のお悩み>

都内のベンチャー企業で働いています。実家に帰ると「仕事はどう?」と世間話的に始まるのですが、自社のサービスや、やりがいについて話してもピンとこないようで、「(地元の)銀行に入れないか親戚に聞いてみようか」とか「市役所の臨時職員の話が出ているみたいよ」と、転職をすすめてきます。どうやら地元に帰ってくると思い込んでいるようで……。でも、私は地元に戻るつもりはありません。いい加減、子離れしてよ!と思うのですが、どのように対処したらいいでしょうか。

(32歳、未婚、ベンチャー企業、静岡))

いい加減にして!と言いたくなったら…

今、ご両親は一見柔軟な態度に見えても、実は話を聞いてくれていなかったり、自分の先入観や都合を押し付けてくるような感じなのでしょうか? もしそうであるならば、私の親と同じです(苦笑)。本当にいい加減にして!と思いますよね。

もちろん、我が子を大切に思っているからこその姿勢だとあなたはご理解なさっているはず。ご両親も、あなたのことを大切に思うが故に、心配でしかたないのでしょう。それは決してあなたを信頼していないということではなく、ただあなたと一緒にいたい、苦労をさせたくないという親心が先走ってしまっているだけなのです。

我が子を心配するのが親の仕事でもあります。その気持ちを止めろと言われても、不思議と自然と生まれてくるものですから、簡単には自分でコントロールできるものではないかもしれません。

このことを踏まえた上で、あなたに二つのことをお伝えします。

一つは、「身心一如(しんしんいちにょ)」という言葉です。これは「身と心は一つの如し」と書き下し、身体と精神は一体であり、分けることはできず、一つのものの両面にすぎないという仏教の教えです。つまり、私たちの振る舞いや、表情、雰囲気は、心の状態と一致しているということです。イライラしているときは、どうしても振る舞いが雑になったり、表情も強ばったものになります。反対に、振る舞いが乱雑で怖い顔をしているときは、怒っていたり、心がざわついている証拠にもなります。

ひょっとしたら、あなたがご両親に近況報告をしているとき、言動、表情、雰囲気などに何かしらの不安な要素が反映されているのかもしれません。親というのはそういうことに敏感です。だからこそ、心配になったり、どうにかしてあげたいという気持が先行したりしてしまうのでしょう。

あなたの意思をしっかりと伝えるには、ご両親の不安を煽らないように、あなたが今の場所で幸せに生活していることをしっかりとアピールする必要があるのかもしれません。それが結果的には、ご両親の安心に繋がり、「帰っておいで」という声も、少しは小さくなるのではないかと思います。

「いい加減」で聞く姿勢

そして、もう一つは、今は煩わしいと思ってしまうご両親からの「帰っておいで」という声も、いつかは聞こえなくなってしまうということです。誰も言ってくれなくなると言うほうが、正確かもしれません。

「摂取不捨(せっしゅふしゃ)」という言葉を紹介します。これは、阿弥陀仏という仏さまが、無条件で私たちを救ってくれるはたらきを表現した言葉です。このはたらきの深いところは、「摂取」という部分にあり、私たちが仏さまに背を向けて逃げようが、どんな不義理なことをしようが、追いかけてでも捕まえてくれることを意味します。そして、決して見捨てない、見放さないというものです。

私には親元から離れて暮らす姉が二人います。二人ともそれぞれ家庭を持っていますが、母にとっては、姉たちがいくつになっても、どこへ行こうと娘です。心配は尽きません。何かあれば無条件で受けとめようとします。たまに過保護過ぎではないかと思うくらいです。しかし、この姿がまさに「摂取不捨」です。

こうしていつでも帰れるように受けとめてくれる存在は、そうはいないのではないでしょうか。今は、ご両親の声は煩わしいものとして聞こえるかもしれませんが、いつかその声に感謝できる日がくると思います。

おそらく親のあなたへの心配は、いつまで経っても変わらないでしょう。しかし、あなた自身は変えることができます。今、あなたが心がけることは、あなた自身が「いい加減」でご両親の声を聞くことです。

その声は両親の年齢とともに次第に小さくなり、最終的には聞こえなくなります。ひょっとしたらその日は突然来るかもしれません。このことを頭の片隅に置いてみて下さい。

(大來尚順)
第4回は8月29日(木)公開です。

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