ユニ・チャーム 長井千香子さんインタビュー第3回

「まだまだ良くなるんだ!」生理用品の開発に15年以上携わる彼女を驚かせたナプキン

「まだまだ良くなるんだ!」生理用品の開発に15年以上携わる彼女を驚かせたナプキン

ほとんどの女性が経験している毎月の生理。眠気やイライラ、食べ過ぎてしまうなど、生理前後の症状の対策をしている人は多いと思いますが、生理用品まで気にかけている人は少ないのでは?

生理用品、紙おむつなどの衛生用品の大手メーカーのユニ・チャーム株式会社の長井千香子さんによると「化粧品のようにあれこれ試す人は少数派で、多くの人が、初経のときに母親から薦められたナプキンをそのまま使っている」そう。でも、生理で出る経血の量や、肌の弱さ、取り替える頻度、ライフスタイルは人それぞれのはず……。

そんななか新商品として注目を集めているのが、同社の「ソフィORGANIC®オーガニックコットン」シリーズです。でも、なぜオーガニックコットンを使用した生理用品が話題になるの? 生理用品にこだわることで何が変わるの?

ブランドマネージャーとしてソフィを担当する長井さん。入社以来15年間、ずっと生理のことを考え続けてきたという彼女に、生理用品の変化や生理との付き合い方について聞きました。

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肌トラブルの原因のひとつ「ナプキンを交換する時間がない」

——シャンプーや保湿液など、生理用品だけでなくケア用品全般でオーガニックが流行っていますよね。今回オーガニックコットンを採択したのは、その影響もあったのですか?

長井千香子さん(以下、長井):流行ではなく、肌のトラブルを抱えている人にも安心して使ってもらえる生理用品を作るということを追求したらオーガニックコットン一択でした。

——肌トラブルを抱えている人?

長井:このところ、忙しくてナプキンをなかなか取り替えられなくて、ムレやかゆみが気になるという人が増えているんですよ。タイトなスケジュールでトイレに行くタイミングが限られてしまったり、仕事に集中していて気がついたら1日1回しか交換できていなかったりとか。

特に若年層で、「肌は丈夫なほうだと思っていたけど、最近かゆくなってきた」っていう声をよく聞きます。もちろん頻繁に取り替えられればいいのですが、状況的に難しい人もいますよね。

——オーガニックコットンがいいものだとわかっていたなら、もう少し早い段階でこの商品を出せたっていうことはないですか……?

長井:そう思いますよね。構想自体は、かなり前からあったんです。でも、ユニ・チャームは基準がすごく厳しいんですよ。まず、どんな商品も均一な状態で大量生産できないといけない。それに今回は、コットンにループ形状の加工をつけるのが特に難しかったんです。

そもそもコットンは吸水性が高いので、不快なものが肌に残らずナプキン内にすぐ流れていくのが特長です。ただ、吸った水分が広がりやすいという欠点もある。ナプキンの幅は限られているのに、どんどん横に広がったら漏れてしまいますよね。

そこで、経血が下層で縦方向に流れるようにループ形状の加工を加えたんです。その加工技術ができるまでオーガニックコットン素材のナプキンの発売ができなかったのです。でも、実験を重ねてループ状の加工を編み出した結果、肌への接触面積を減らし、コットンの毛羽立ちも抑えられるようになったんですよ。

「ソフィORGANIC®オーガニックコットン」のナプキン

「ソフィORGANIC®オーガニックコットン」のナプキン

生理用品ってまだ進化できるんだ!

——長井さんは仕事上、他社製品を含めいろんなナプキンを試していますよね。新商品のオーガニックを初めて使ったとき、どう思いましたか?

長井:現行品でも十分性能がいいと思っていたんですけど、「まだまだ生理用品はよくなるんだ!」って思って驚きました。自分も開発に携わっていながら、こんなに褒めるのも変だと思いますが……(笑)。でも正直、リサーチのために違う商品を使ってみるものの、オーガニックに戻りたくなるんですよ。

——生理用品の最先端を走っている人がそう思うって、よっぽどですよね。他にも長井さんがこれはすごいと思ったナプキンってありますか?

長井:ソフィのシリーズとして発売された、不織布を使った「はだおもい」です。使った後、表面はサラサラしているのに裏側が経血で真っ赤になっているのを見て、驚くと同時にこれ以上の技術はもう出てこないんじゃないかなと思ったのを覚えています。

でも、その予想をオーガニックが超えてくれました。生理用品に携わって15年、今は月経カップなどさまざまな生理用品が出ていますが、使い捨てのナプキンだってまだ進化している。そのことに一番驚いているのは、開発に携わった私やチームメンバーかもしれません。

自分で身体を思いやれるように

——オーガニックというと、有機栽培の食品とかに関心がある、自然派の人が買うイメージがあるんですけど……。「ソフィORGANIC®オーガニックコットン」も、やっぱりそういう人たちから広まっていったんですか?

長井:当初は、そうなるだろうと予想していたんですよ。まずはオーガニックに興味関心の高い方に受け入れてもらって、肌トラブルが軽減するのを実感してもらう。その延長線上で、かゆみに悩む人たちに届いたらいいなと思っていました。でも、蓋を開けてみたら違ったんです。意外にも多くの人から「かゆみが軽減された気がする」という声が届きました。

なかには、「以前はトイレに行くたびにデリケートゾーン用のかゆみ止めを塗っていたけれど、オーガニックに変えてから薬を持ち歩かなくてよくなった。誰にこの感動を伝えればいいのかわからずお客様センターに電話した」という声もあって。改めて、オーガニックの良さがちゃんと反映されていると感じました。

——うれしい声ですね。

長井:当社のオーガニックシリーズの登場で、業界に与えたインパクトは大きかったと思います。でもユーザーへの影響はまた別の話です。多くのユーザーに知ってもらい、選んでもらうまでの生理用品って、自分で新商品の情報を取りに行く人がなかなかいないんですよね。どちらかというと慣れたものを使いがち。だからこそ、「自分の体に心地よいものを選んであげられるのは自分だけだよ」というメッセージを伝えて、さらに大きなムーブメントを起こせるような施策を練っていきたいと思っています。

そして、商品そのものの進化も加速させていきたいですね。開発部隊はすでに動き出しているんですよ。生理用品に100点はありません。数年後にまた驚きの商品を発表できるように、これからも改良を重ねていきます。

最終回は10月23日(水)公開予定です。
(取材・編集:安次富陽子、文:華井由利奈、撮影:大澤妹)

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