『生理ちゃん』作者インタビュー 後編

「生理ちゃんが来てると思うとラクになった」予想外の肯定的な感想に作者は…

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「生理ちゃんが来てると思うとラクになった」予想外の肯定的な感想に作者は…

痛みやむくみ、耐えられないほどの眠気……。生理にまつわる悩みは人それぞれ。女性同士でも、悩みを分かち合えないと感じることは多々あります。生理でつらいとき、そっと寄り添ってくれる「誰か」がいたらいいと思いませんか?

ウェブサイト・オモコロで連載され、話題を呼んだ漫画「ツキイチ!生理ちゃん」。今年6月に、連載をまとめた単行本『生理ちゃん』(KADOKAWA)が発売されました。

女性の共感を集める愛すべきキャラクター・「生理ちゃん」を生み出した、漫画家の小山健(こやま・けん)さんへのインタビュー後編。読者とのやりとりや、今もネタ探しをしているという小山さんに引き続き話を聞きました。

作者の小山健さん

作者の小山健さん

生理ちゃんがドアを開けてやってくる

——ウェブで連載されていたときから反響が大きかったそうですね。

小山健さん(以下、小山):はい。「こんなヤツが来るって想像したら、気持ちが楽になった」とか「今、『生理ちゃん』が来ていると考えるようになった」とか、予想外に肯定的な感想が多かったですね。

——「生理ちゃん」は、玄関のドアを開けて入ってきますよね。生理が玄関からくるというのは、新鮮でした。

小山:「生理がくる」という言葉を聞いて、最初に思いついたのが、ドアを開けて入ってくるシーンだったんです。なんせ「リツイートされたい」という気持ちから始まった連載なので、面白いと感じたことは何でも取り入れていますね。玄関を開けたり、電車に揺られたり、おまんじゅうを食べたり……。いろいろ、人間らしいことをさせてみました。

——生理ちゃんが女の子にかける思いやりあふれる一言は、どこから生まれてくるんですか? 「昔に言われた悪口なんて、たいていはただの呪いなんだから」など、じんわりくるセリフが多いですよね。

▲『コンビニ店員と生理ちゃん』のワンシーン/(C)小山健/KADOKAWA

▲『コンビニ店員と生理ちゃん』のワンシーン/(C)小山健/KADOKAWA

小山:僕がそういうふうに思っているからですかね。生理ちゃんのセリフには、自分の意見も割と混ざっているかもしれません。ウェブサイト「オモコロ」で連載していた漫画なので、本当は思い切りふざけたかったんですけど……自分でもコントロールできないくらい、毎回いい話になってしまうなと思って描いていました。

「生理ちゃんが来るのが楽しみになった」性教育の役割も

——今年6月に、ウェブでの連載をまとめた単行本「生理ちゃん」が発売されました。発売記念として、サイン会が行われましたが、読者の方とどんなお話をされましたか?

小山:サイン会では「あなたの『生理ちゃん』を描きます」ということで、イラストを描いたんです。だから、サイン会に来てくださった方には、ひたすら「どんな感じのツラさですか?」と聞いていました。

——初対面の漫画家に生理のツラさを打ち明けるって斬新(笑)。

小山:意外と抵抗なく答えてくれたように思います。「生理期間は、理由もなく涙が出る」と答えた人が、意外にも多かったですね。そういう人の「生理ちゃん」には、催涙スプレーを持たせました。「生理がめちゃめちゃ重いんです」という人の「生理ちゃん」には、メガトンハンマーみたいな物を持たせましたね。

——小さい子もサイン会に来ていたそうですね。

小山:5歳くらいの子が、お母さんと一緒に来ていました。「生理ちゃん大好き」って言ってくれたんですけど、教育上大丈夫かなと、萎縮した気持ちになりました……。イラストを描いてきてくれた、小3くらいの子もいましたね。たまに出てくるキャラクター「性欲くん」を、その子がどう理解しているか考えるとドキドキです。でも、その子のお母さんからは「性教育の導入として良かった」と言ってもらえました。

単行本発売後に、小学生の女の子を持つお母さんからいただいたメールも嬉しかったですね。その子は、初潮についてはもう知っていたけど、怖いものだと思っていたそうです。でも「生理ちゃん」を読んでからは、「生理ちゃんが来るのが楽しみになった」って言っていると書いてありました。

生理小屋に日本初の紙ナプキン。生理の歴史に触れる回も

——5話では江戸時代に「月経小屋」に隔離されていた女性の話、9話では1961年に発売された、日本で初めての生理用紙ナプキン「アンネ」の誕生について書かれていますね。「アンネ」のことは、以前から知っていたんですか?

小山:「アンネ」については、『生理用品の社会史: タブーから一大ビジネスへ』(ミネルヴァ書房)という本の著者である田中ひかるさんという方に、オモコロの担当と話を聞きに行ったことがあって。何も構想はないけど、何かネタになるんじゃないかという軽い思いで取材に行ったら、「アンネ」の話が出てきました。

田中ひかるさんは、当時「アンネ」に関わった方々に取材したそうです。それが、胸アツなエピソードばかりなんですよ。「朝ドラかよ」と思いました。

——観たい! 

▲『おばあちゃんと生理ちゃん』のワンシーン/(C)小山健/KADOKAWA

▲『おばあちゃんと生理ちゃん』のワンシーン/(C)小山健/KADOKAWA

温泉旅行で生理になったとき彼に言われた一言

小山:ところで、何か良い生理のエピソードはないですか? 実は今度、「生理ちゃん」の新連載*が始まるんです。男女で旅行に行く話を描きたいと思っていて、ネタ集めをしている最中なんですよ。

※11月12日発売の「月刊コミックビーム」12月号より開始

——かなり前に付き合っていた人と温泉に行く前日に、生理がきてしまったことがありました。どれだけひどい状態か知らない彼から「せっかく泊まりに来たし、しようよ」って言われて。「血の海になるから無理」って言ったら、「バスタオル敷けば大丈夫だよ」と言われましたね……。

小山:いいネタですね! 生理中のセックスって、男女どちらもOKになることのほうが少ないですよね。構わないっていう女の子もいるし、絶対に嫌だという男もいるし。そのときは、生理がきた段階で、彼氏に伝えていたんですか?

——伝えましたね。「あまりお酒も飲めないし、露天風呂付きの部屋だけど温泉も入れないし、悲しい」って言ったんですけど。「いいよ、いいよ」って言われて。いや、あなたはいいかもしれないけど、って(怒)。

小山:男は「いいよ」しか言うことができないですからね。

——生理ちゃんがそこにいれば、きっとパンチしてくれましたね。

小山:生理ちゃんが、彼と温泉に入ってくれたかもしれないですしね。

(取材・文:東谷好依、撮影、編集:ウートピ編集部 安次富陽子)

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