今年も残すところあと1日。2021年は昨年に引き続き、新型コロナウイルスで大きな影響を受けた年でした。
年末年始に約2年ぶりに帰省するという人も多いのでは?
このたびシニア女性誌『ハルメク』を発行する株式会社ハルメクの「ハルメク 生き方上手研究所」は、2021年のシニアトレンドをランキング化。2022年のトレンド予測と合わせて発表しました。
シニア世代はどんなことに注目し、これからどう過ごしていきたいと考えているのでしょうか。
2021年シニアトレンドは…
8位 おうちで検診
病院での診療制限や自身の受診控えなど、病院に行きにくくなった今年は、自宅ヘルスケアサービスが台頭。血液・尿検査を自宅で行うことができる郵送の検査キット「おうちでドック」などの利用が増加しました。
7位 古着で SDGs
“SDGs”という言葉が出てくる前から、シニア世代は意識せずとも物を無駄にしないことを考えてきました。2021年は、「誰かのためになりたい」という気持ちの高まりもあり、衣類等の寄付が途上国のポリオワクチンになる「ハルメク 古着でワクチン」の寄付額が 100 万人分を突破しました。
6位 カジュアル終活
医療の逼迫による自宅療養など、人生の終わりを身近に感じることが多かった2021年。これまで話題にしづらかった死について、「死生観光トランプ」等のツールを使いながら気軽に語らう場や「デスカフェ」などが登場し、話題となりました。また、瀬戸内寂聴さんが遺した前向きな言葉にも共感が続々。
5位 “おさぼり上手”料理
おうち時間が増え、毎食料理を作るのは負担です。冷凍食品や「「たんぱく質が手軽にしっかりとれる一汁一菜レシピ」など、手間をかけなくてもおいしい料理が支持されるようになりました。
4位 本気いたわりグッズ
慢性的な身体の疲れがお悩みに挙がるシニア世代。上質な寝具や楽に着られるリカバリールームウェアなどの疲れとりグッズに人気が集まりました。
3位 華やかマスク
若者はマスクから見える眉や目のメイクに凝りますが、シニア女性は、華やかなマスクで顔を明るく見せると同時に個性を演出しています。「マスクで口元のシワやほうれい線、たるみなどを隠せていい」という意見も。
2位 スマートシニア元年
シニア女性のスマートフォン所持率が、ハルメクの調査開始以降初めて9割に上りました。背景には、「スマホ決済やワクチン接種の予約など、スマートフォンを使えないことで損をしたくない」という気持ちがあるようです。
1位 “親目線”推し活
東京オリンピック・パラリンピックにおける次世代アスリートの活躍や、コロナ対策で若き知事たちがリーダーシップを発揮して地域を率いる様子に注目が集まった今年。シニア世代は、彼らを親のような気持ちで推し、エールを送っています。
それでは来年、シニアの間ではやるものは?
2022年、シニアのトレンドはどうなる?
5位 健康寿命+貢献寿命
シニア世代の強みとして、元々持っていた「経験・知識」「人脈」に「デジタルへの適応」も加わってきた昨今。健康寿命はもちろんのこと、人の役に立っていると実感できる“貢献寿命”を伸ばすことが、シニア世代の新しい人生設計の重要なポイントになりそう。
4位 シニア×フェムテック
女性特有の健康課題を解決するテクノロジーとして注目されているフェムテック。更年期後の女性の身体の研究も進み、シニア世代特有のニーズに応える商品も増えていくと予想。
3位 ポジティブカラー×シーズンフリー
シニア女性が元々好きな、気持ちが明るくなるような“ポジティブカラー”に加え、「長持ち」「着まわせる」「応用できる」と季節を気にせず着られて衣替えする必要がない“シーズンフリー”な服に人気が集まるかも。
2位 リベンジ小旅行×シューズ
なかなか旅行に行けず、ストレスが蓄積するご時世。規制が緩和されれば、お出かけにまつわる反動消費とともに、シニアにとって健康維持のためにも重要なアイテムである靴の需要が高まりそう。
1位 プチ贅沢×プチおやつ
スイーツは好きだけど太りたくないから量は少なめで、身体に優しくて、おいしくて…そんなおやつが欲しいというシニア女性のわがままを叶える「ひと口で満足できるヘルシーおやつ」がくる予感。
シニアトレンド形成の特徴は持続型
2021年のトレンドまとめと2022年の予測発表にあたり、年間約900人のシニアを取材する「ハルメク 生き方研究所」所長・梅津順江(うめづ・ゆきえ)さんは以下のように分析しています。
ここ数年、世代特有のココロやカラダの変化に応じた流行が生まれ、【終活】【グレイヘア】など特徴的な言葉が流行語にもなりました。また、巷で流行っている現象を自分たちにあわせて派生させるパターンもあります。
2021年はほぼ 1 年を“緊急事態宣言下”で過ごしながらも、国際的スポーツイベントやワクチン接種などさまざまな出来事がありました。今回挙げた【スマートシニア元年】【華やかマスク】は、こうした社会変化で受けたシニア世代の影響を反映しています。
【おうちで検診】【カジュアル終活】は、世代ならではのトピックを昇華させた現象。【“親目線”推し活】【古着で SDGs】は、すでに起きている潮流をこの世代が派生させた形です。
2022年もおおむね上記3つのパターンにあてはまります。【リベンジ小旅行×シューズ】は社会変化への反動、【シニア×フェムテック】【健康寿命+貢献寿命】は世代の課題や変化を記号化、【ポジティブカラー×シーズンフリー】【プチ贅沢×プチおやつ】は若者の間で起きている現象を派生させたものです。
新しいトレンドがやってくるというより、2021年の流れをくみつつゆっくりとブームが訪れるイメージです。スピード感はなくとも、昇華・派生させながら、一過性ではなく持続型のトレンドを形成していくのがこの世代の特徴といえます。