32歳で脱海外バージンが叶わず、33歳になってしまったウートピ編集部Y子。まだまだ、海外旅行バージンを卒業するのにふさわしい旅先を探そうと、ウートピ編集部は、旅歴25年間に80カ国以上を旅し、酸いも甘いも知り尽くしたトラベルジャーナリスト・寺田直子(てらだ・なおこ)さんに相談。
前回、オーロラに感動したY子は、「もっと地球を感じられる場所」を教えて欲しいとリクエスト。「たとえば、褐色の大地、アフリカとか! 年上男性のワイルドな魅力に包まれたい気持ち、わかってくれますよね!?」
はしゃぐY子に、寺田さんは……。
旅にはタイミングがある
「アフリカなんて何、寝ぼけたこと言ってるの!」
今までおとなしくリクエストに応えてきたけど、ここでガツンと言っておきます。アフリカなんてY子を相手にしてくれる存在じゃありません。世界中を旅してきた私でさえまだまだ翻弄されるほど。一筋縄ではいかない。もちろんアフリカはとてつもなく魅力的であるのは間違いない。ワイルドで危険な香りがする。それでいてときにロマンチックに旅情を漂わせ、涙するほどの感動を与えてくれる。
まさに「一生に一度の相手」。Y子がどんなに憧れても今はまだ手の届かない相手だということ覚えておきなさい。そのためのレッスンを今はすること。
ただ、安心感ある相手だけでは不満というY子の気持ちもまあ、わからなくもないわね。ということで今回はその願いも叶えてくれる旅先をご紹介しましょう。
ワイルドな刺激を求めるならNZ
それはニュージーランド。
ニュージーランドというと羊の国という牧歌的な印象だけれど、山岳から氷河、洞窟に海などさまざまな大自然に囲まれたアウトドアの聖地でもあります。あの有名なバンジージャンプもニュージーランドが発祥。ワイルドな刺激を求めるなら、ぜひアドベンチャーなアクティビティの数々を体験して。
観光客に人気のアクティビティなのが「世界で最もエキサイティング」なジェットボートと称されるショットオーバー川でのボートライド。 絶景の渓谷をハイスピードで疾走。岩肌ぎりぎりに突っ走り、一気に360度の高速回転スピン。壮大な景観の中、ベテランドライバーによるスリリングな体験はここでしか味わえない度肝をぬく体験。これを味わってしまうとテーマパークの絶叫ライドが子供だましに思えてしまうほど。ハリウッドのアクション映画のヒロインになりきって絶叫しまくってください。
じっくりと大自然をかみしめたい。そんなときは本格的なトレッキングがおすすめ。『ナショナル・ジオグラフィック』誌で「一生に一度は歩きたい世界のトラック10選」に選ばれたクィーン・シャーロット・トラックや、青く輝く湖やフィヨルド、峡谷に囲まれた「世界一美しい散歩道」と評されるミルフォード・トラックなどはツアーにも組み込まれるほど有名。
ほかにも「グレート・ウォーク」と呼ばれる9つのトレイルがあり、数時間から数日と体力にあわせたチョイスが可能。なかには世界遺産の国立公園を横断する6日間のコースなどもあり、自分の限界にチャレンジするのもドラマチックな経験になることでしょう。ほかにも2億年前のジュラ紀にまで遡ることができる原生林の中を行くコースや、ペンギン、イルカ、オットセイなど野生の動物と出会えるコーストラインのルートなど多彩です。
世界屈指の星空スポットで涙
さらに寺田が一押しの感動的かつワイルドな体験が星空観察(スターゲイジング)。テカポ湖はユネスコの国際ダークスカイ・リザーブ(星空保護区)に指定された、世界屈指の星空スポット。アフリカの大草原で見た星空にも泣かされましたが、テカポ湖畔にたたずみ見上げた星空は硬質なダイヤモンドをちりばめたようなきらめき。その先にある宇宙の神秘を感じるスケール感は言葉にならない圧倒的なもの。近くにある天文台でのスターゲイジングツアーなどもあり、じわじわと人気が高まってきています。もちろん南十字星もバッチリ。
ニュージーランドへはニュージーランド航空が直行便を運行。これがなかなか攻めてるエアラインで、乗客が金額を入札するオークション方式でワンランク上の座席にアップグレードできる「OneUp™アップグレード」というサービスをスタート。また、エコノミー3席を広げて一体型にした新しいコンセプトのエコノミー席「スカイカウチ」を先駆けて導入。機内の安全ビデオにニュージーランドが撮影場所となった映画『ロード・オブ・ザ・リング』のキャラクターたちが登場するなど常に話題をふりまいています。
夏がこれからやってくる!
ニュージーランドは北島と南島、ふたつの島に分かれていてゲートウェイとなるオークランドがあるのは北島。南島へは国内線で移動。拠点となる都市はクライストチャーチ。ちなみにニュージーランドがある南半球は季節が逆になるので、8~10月が春、11~2月前後が夏というこれからがアウトドアのベストシーズン。
ワイルドだけれど危うい雰囲気は排除。野生的なたくましさとジェントルマンな包容力もある。例えるならばまさに、ニュージーランドを代表する精鋭男子、オールブラックスのラガーマンのような存在。試合前に見せる闘いの踊りハカでの闘志をむき出しにした野性味と、スポーツマンシップのさわやかさ。タフな恋愛に打ち勝つ女子力を高める一歩にふさわしい相手だといえます。
Y子、ちょっぴり反省する
「調子に乗っていました。すみません……。確かに、今の自分が楽しめることが一番大事ですよね」
アフリカはまだ早い! と一喝されてしおらしくなるY子に、「旅にもステップアップが大事」とアドバイスする寺田さん。
「いつかアフリカに行っても、魅力を楽しめる女性になります! えっと……つきましては……ですね、私の中の淑女が目覚めるような国を教えていただけるとうれしいなーって思うんですけど、いかがでしょうか。てへ」
あらあら。Y子、またしてもちゃっかり次の国をリクエスト。寺田さん、お願いします!