フェムテック・フェムケア市場が活性化する今、生理や女性ホルモンにまつわる症状について語られることが増えると同時に、「更年期」という言葉も、耳にしたり目にしたりする機会が増えました。
その一方で、ネットにあふれる情報の信ぴょう性を疑ったり、何を自分が取り入れればいいのか迷ってしまったりすることも。そんな中、抗加齢医学の第一人者で内科医の青木晃(あおき・あきら)先生と、女性のウェルネスをサポートするサプリや化粧品のブランド「SIMPLISSE(シンプリス)」を展開するMNC New York のCEOであり、自身も更年期真っただ中という山本未奈子(やまもと・みなこ)さんによるトークセッションが12月9日、東京都内で開催されました。
テーマは『抗加齢医学の青木晃先生に聞く、更年期から始めるWell Aging』。更年期の基礎知識や更年期の新情報、上手に付き合うヒント、間違いがちな情報をクイズ形式で解説するなど、充実した内容となりました。イベントの最後には、更年期に関する質問に、青木先生が回答しました。
更年期世代は歯周病になりやすい?
青木先生→○
更年期世代は、老化という現象が現れます。その老化によって、唾液の分泌が減少し、口腔内の自浄作用が悪くなり、歯周病菌がまん延して歯周病になりやすくなります。
夜中に目が覚めて、なかなか寝付けないのは更年期症状の一つでしょうか?
青木先生→×
「更年期症状の一つ」という言い方は違っていて、この世代になるとメラトニンというホルモンが落ちてくるという別の因果関係です。更年期症状というのは、あくまで性ホルモンの低下によって起きる症状。寝付きが悪かったり中途覚醒したりというのは、松果体で作られるメラトニンという睡眠のホルモンが、同じ世代で低下することに起因するため、分けて考えなければなりません。全部「更年期」で片付けていいのではないということです。
更年期世代は便秘になりやすい?
青木先生→○
消化・吸収・排便は副交感神経がつかさどっていますが、女性ホルモンの分泌が落ちることによって、副交感神経の元気がなくなってしまい、消化器官の動きが鈍くなります。便秘がちになったら、いい乳酸菌サプリメントで補うというのもいいですね。あとは、腹筋したり、歩いたり、できれば走ったり、ヨガもいいです。骨盤底筋も鍛えられますから。
目が乾きやすい場合、1年中、目薬を差したほうがいい?
青木先生→×
ドライアイになると市販の眼薬を点眼しがちですが、充血をとる目薬は、血管の収縮剤が入っていて、ずっと使い続けると、逆に涙の出が悪くなったり、目の防御機能が落ちたりすることもあります。その場合は、眼科に行って、ヒアルロン酸が入っていて、防腐剤がなるべく少ない、安心安全な点眼薬をピンポイントで処方してもらうのがいいですね。
思い込みで判断しないでまず受診
山本さんは「振り返れば5年くらい前からホットフラッシュなど体内の変化が起きていたけれど、その不調に気づかず無理を重ねていた。その無理をしている自分に早く気づいていれば、約2ヶ月も寝込むことはなかった」と言います。
「食」「睡眠」「運動」という基本の生活を守りつつ、「更年期障害かも?」と感じたら思い込みで判断せず、婦人科を受診するなどして適切に対処しましょう。