臨床内科専門医に聞く食中毒対策・第1回

梅雨から夏に急増する食中毒…自炊で防ぐコツは?【臨床内科専門医に聞く】

梅雨から夏に急増する食中毒…自炊で防ぐコツは?【臨床内科専門医に聞く】

梅雨や夏に自宅で、食材や前日の残り物の総菜を手にしたとき、どうも傷むのが早い、腐りかけでは……などと感じ、保存や食べることに迷うことがあります。

臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長に尋ねると、「気温や湿度が高くなると、食中毒の原因となる細菌が急増するため、調理法や保存法には厳重なほどに注意してください。とくにひとり暮らしを始めたところや新婚などで自炊にまだ慣れていない人で、食材の扱いや見極めが難しかったという理由から食中毒を起こすケースが多くみられます」と話します。そこで、食中毒を防ぐ方法について詳しく教えてもらいました。

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食中毒の菌は、湿度や温度が高いと急増する

はじめに正木医師は、食中毒のピークの時期や原因について、次のように説明をします。

「湿度や気温の高い場所を好む細菌やウイルス、自然毒、寄生虫などが付着、繁殖した食べ物を食べると、食中毒になります。一年中、注意が必要ですが、とくに湿度と気温が高くなる梅雨から夏、9月にかけて菌の増殖は活発になり、食中毒の患者さんが急増します」

また、その症状は、「激しい腹痛、吐き気、おう吐、下痢、発熱などが挙げられます。重症化すると命に関わる場合もあります。ビジネスパーソンの場合はとくに、睡眠不足や疲労、ストレスで免疫力が弱っているときには食事内容に注意が必要でしょう。

さらに、菌による症状だと気づかないで、よくある腹痛や下痢だと思っていると重症化することもあります。いつもと症状が違うなと思ったらすぐに、内科を受診してください」と正木医師。

食中毒予防の三原則「菌をつけない・増やさない・やっつける」

なにやら聞いているだけでも恐ろしくなってきますが、ここで正木医師に、食中毒を防ぐ具体策について、「してはいけないこと」と「するべきこと」を挙げてもらいました。「これらは、『食中毒を、つけない・増やさない・やっつける』という食中毒予防の三原則として、厚生労働省や多くの医療機関、自治体などで提唱されていることでもあります」と正木医師。

(1)食材に菌をつけない
食中毒の原因となる細菌やウイルスを食材につけないようにします。そのためには、調理前や食事前には必ず、手を石けんを使って流水でもみ洗いをしてください。

調理前後には、包丁やまな板、ボウル、箸などの調理器具、また、ふきん、タオルなどは洗ってから熱湯をかける、キッチン用の除菌剤を使うなどして除菌します。菌をやっつけるように意識を高めましょう。

なんだそんなことか、と思われるかもしれませんが、実際に毎回、丁寧に洗っているかどうかをご自身で見直してください。これを忘れないだけで、かなりの量の菌を避けることができるのです。

(2)菌を増やさない

肉類や魚介類、卵などの生鮮食品は、常温で保管すると菌があっという間に増殖します。これらは、食中毒を起こしやすい食材であることを認識しましょう。そのため、帰宅後はすぐに冷蔵庫に保管してください。

買い物時は、これらの食材は最後に購入しましょう。もし買い物途中で荷物を一時預けをしたいときは、ロッカーではなく、スーパーなどで冷蔵室がある場合だけにしましょう。また、自動車内に「数分だから」と食材を置いたままにするのは危険です。自動車内は数秒で温度が上昇するので、食材の傷みが急速に進みます。

細菌の増殖のペースは、10℃以下でゆっくりになり、マイナス15℃以下で停止します。「食材は、ロッカーや自動車内に置くと腐る」と考えてください。食材を持ち運ぶときは必ず、保冷剤やドライアイスを用いましょう。

また、冷蔵庫に食品を詰め込みすぎないようにして、庫内の温度が高くならないように設定をしましょう。扉を少し開けるだけで庫内の温度は上昇するので、開け閉めはさっと行ってください。

(3)菌を加熱してやっつける
食中毒の原因となる細菌やウイルスの多くは、十分に加熱すると死滅します。そのため、調理の際には食材の内部まで加熱することを念頭に、肉や魚は、中心部を75度以上で1分間以上の加熱をしてください。温め直す場合も、十分な加熱が必要です。スープやみそ汁などの汁物は沸騰させましょう。

最後に正木医師は、
見た目やにおいで少しでも、大丈夫かな、あやしいかもと思った食品は、絶対に食べないようにしてください。もし口にして違和感を覚えたらすぐに吐き出しましょう。食中毒を経験した患者さんは異口同音に、『おそろしい体験だった』とおっしゃっています。おなかが痛い、下痢がひどい、食べたものに思いあたるなど場合は、早急に内科を受診しましょう」と、アドバイスを加えます。

家庭での食材の保存法で、ふとした横着、数分の放置が食中毒につながりかねないことにハッとしました。梅雨から9月ごろまではとくに、調理や食事のたびに、「食中毒つけない・増やさない・やっつける」を強く意識したいものです。

続く第2回では、「自作弁当で食中毒を避ける方法」を、第3回では「バーベキューで食中毒に気を付ける方法」をご紹介します。合わせて参考にしてください。

(構成・文 藤原 椋 / ユンブル)

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