空がどんより厚い雲で覆われると、頭もズーンと重たくなる。
季節の変わり目はやる気が起こらず戦意喪失、仕事がまったくはかどらない。
ただでさえ生理の日はツラいのに、雨が降ると吐き気まで……。
と思い当たったあなたは、天気によって体調や気分が左右される、低気圧女子かもしれません! 気象予報士で、『低気圧女子の処方せん』(セブン&アイ出版)を上梓したばかりの小越久美(おこし・くみ)さんに、女子の正しい天気との付き合い方をレクチャーしていただきます。
前回、季節の変わり目で不調が起こりやすいという話がありましたが、今回はそれぞれの季節の特徴的な空模様と、関連して起こり得る体の不調について教えてもらいました。
気分の落ち込みが激しくなる季節
寒い日と暖かい日を周期的に繰り返しながら、冬から春へ。気温差が大きく、爆弾低気圧が発生する季節でもある春は、体が受けるストレスも相当なもの。
「春の始まりは気温差、気圧の変化ともに大きく、さらに2〜3月にかけては急速に発達する低気圧、通称『爆弾低気圧』が発生しやすいため、体はお天気に振り回されっぱなしの印象です。
さらに春は、季節病である花粉症のシーズンでもありますよね。
雨の日は花粉が飛散しないと思われがちですが、雨の日こそ鼻がグズグズするという人もいるのではないでしょうか。一説によると、雨の日は副交感神経が働きやすいため、リンパ球が増えてアレルギー症状が出やすいのです。3月下旬〜4月上旬には、菜種梅雨と呼ばれる雨の続く期間があるので要注意です。
また、自律神経の安定しない春は、気分の落ち込みやすい季節です。普段は元気な人でも、自分の殻にこもりがちになることがあっても不思議ではありません。
自律神経の調整機能を最小限に抑えることが不調の予防に役立ちます。昼夜の寒暖差が大きくなりがちな春は、晴れた日でも、気温差対策のカーディガンやストールなどをバッグに1枚入れておくといいですよ」
梅雨のうつうつ、ゲリラ豪雨のズキズキ
長い梅雨を耐え忍び、ようやく訪れる夏。夏くらいは元気に過ごせる!と思ったのに、そこにも大きな落とし穴が!?
「日本の四季は春夏秋冬ですが、気象予報士の私としては、春・梅雨・夏・秋・冬の“五季”にしたいと思うくらい、低気圧女子にとって梅雨は厄介な存在です。
梅雨は6月〜7月中旬までのおよそ1カ月半もあり、梅雨前線の上を低気圧が手を繋いでやってくるかのよう。低気圧女子の休まる暇がないのが梅雨なのです。
梅雨の長雨が気分を落ち込ませるのはもちろん、曇りや雨の日が続くと自律神経の乱れから腸の働きまで悪くなり、便秘がちになる人も多くいます。
ようやく梅雨が明けると太平洋高気圧に覆われ、カラリと晴れて夏到来。と喜ぶのもつかの間。今度は『大気の状態が不安定』となり、近年の特徴でもある、局所的な大雨が降る『ゲリラ豪雨』が頻発します。2017年の夏も多かったですよね。
急な気圧の変化と気温の低下は、頭痛、肩こり、腰痛といった、ズキズキ系の痛みを誘発する要因です」
台風シーズンの秋は、痛みとの戦い!?
行楽、食欲、スポーツの秋! 秋晴れという言葉もあるように、秋は雲ひとつない空の下、アウトドアで何か楽しむイメージがあるけれど、案外、秋の空は晴れないようです。
「実は、北日本や東日本では、1年でいちばん雨が降るのは、梅雨シーズンの6月ではなく9月です。
秋の長雨『秋霖』は、期間は梅雨より短いものの、雨量は年間トップ。なぜかといえば、秋は台風シーズンでもあるからです。秋の梅雨前線が台風の刺激を受けると、大雨になることがあります。とくに2017年は台風や秋雨前線の影響が、運動会シーズンの10月まで長引きました。不調が続いた低気圧女子も多いのではないでしょうか。
長引く雨は便秘の原因になり、メンタルを落ち込ませ、冷えから頭痛や生理痛などの不調が引き起こされるなど、いいことはありません。
雨が降るたびに気温が下がる季節ですので、雨の翌日は晴れの予報でも体を冷やさないような対策をすること。また、夜長を楽しむあまり寝不足から不調を招く方も多いので、早めの就寝を心がけましょう」
寒さで、ズキズキ、ズルズル、冬の不調
寒さえガマンできれば、高気圧に覆われやすい冬は低気圧女子にとって優しい季節かのように思いますが……?
「冬の寒さと乾燥は、美容面から見ればかなり厳しいものがありますが、低気圧女子の不調という視点から冬を見ると、印象はガラリと変わります。
冬は雨が少なく、傘の出番が少ない季節。高気圧で覆われる日が多いため、気圧は安定し、体の不調も感じにくいといえます。
しかし、冬にもウィークポイントはあります。それが、寒波です。強い冬型の気圧配置になるとやってくる『冬将軍』、全国的に荒れた天気になる『二つ玉低気圧』、これらの言葉がテレビの天気予報から聞こえてきたら要注意。
厳しい寒さの到来は、低気圧とともにやってきます。頭痛、肩こり、古傷の痛み、生理痛など、ズキズキ系の痛みに弱い方は、寒波に負けないよう血行を良くして立ち向かいましょう!」
(構成:今富夕起)