空がどんより厚い雲で覆われると、頭もズーンと重たくなる。
季節の変わり目はやる気が起こらず戦意喪失、仕事がまったくはかどらない。
ただでさえ生理の日はツラいのに、雨が降ると吐き気まで……。
と思い当たったあなたは、天気によって体調や気分が左右される、低気圧女子かもしれません! 気象予報士で、『低気圧女子の処方せん』(セブン&アイ出版)を上梓したばかりの小越久美(おこし・くみ)さんに、女子の正しい天気との付き合い方をレクチャーしていただきます。
前回、季節別に起こりやすい体調不良を教えていただきましたが、低気圧女子を悩ませるのはお天気だけではないようです……。いったい、敵はお天気だけにあらずとは?
高層ビルは気圧の変化が激しい
いつもの何気ない日常の中にも、低気圧女子を悩ませるポイントが潜んでいるとは聞き捨てなりません。
「低気圧女子のみなさんが、不調に陥るきっかけのひとつが、気圧の変化です。気圧はお天気によっても変わりますし、山登りのように、自分が移動することでも変わります。
その視点から日常を見てみると、気圧変化の起こる場所、というのがいくつか思い浮かびませんか?
みなさんにとってもっとも身近にある気圧変化といえば、エレベーターです。特に都市部は、高層ビル、タワーマンションなど高い建物だらけで、1階から高層階までわずか数秒〜数十秒で移動できるエレベーターは便利な反面、私たちの体に急激な気圧変化をもたらします」
毎日のエレベーター移動で「高層ビル女子」に!?
たまのショッピングや観光で高層階へ行くぶんにはダメージは少ないけれど、これが日常ともなれば話は別。
「ざっくりとした計算ですが、階が10階上がるごとに、気圧は4ヘクトパスカルずつ下がっていきます。
1ヘクトパスカルの気圧変化で体に不調を覚える人がいるとご説明した通り、4ヘクトパスカルの変化というのは、決して小さいものではありません。
かくいう私も、毎日、55階にあるオフィスまで、毎日、何回かエレベーターのお世話になっている“高層ビル女子”のひとり。
『低気圧女子の処方せん』で、解決法をご提示くださった順天堂大学の小林弘幸教授からいただいたアドバイスは、2、3階下の階でエレベーターを降りて、階段で目的階まで上がること、でした。
気圧が低くなると副交感神経が働きやすくなるため、だるさや眠気の原因に。体を動かして交感神経の働きを高めることで、自律神経のバランスを整えるのです。
毎日続けるには自分への厳しさが足りない私ですが、外がどんより曇っている日、雨の日など、低気圧女子特有の不調が出やすい天気の日にはWでダメージを受けないよう、2、3階手前で降りて階段を実践しています」
仕事であちこち飛び回る出張女子
乗り物による疲れは、長時間移動によるものだと思っていたけれど、どうやらこれにも気圧変化が関係しているようです。
「日常にある気圧変化でもうひとつ代表的なのが、新幹線や飛行機による移動です。
飛行機の上昇中・下降中、新幹線でトンネルに入るときなどに耳がツンとすることがありますが、これは、気圧の急激な変化によって起こります。
どの程度の速度でどんなトンネルを通るか特定できないため、気圧変化を数値でお伝えするのは難しいですが、先ほどの高層ビルでいえば、瞬時に高層階へ移動するくらいのインパクトを体は受けていると想像してください。
お仕事であちらこちらを飛び回る方は、繰り返す気圧変化で自律神経が乱れてしまいがち。乗り物での移動中は深い深呼吸をしたり、軽くストレッチをするなど、体をリラックスさせてあげるといいようです」
(構成:今富夕起)