足が冷たくて眠れない、腰痛も悪化した、おなかが痛いなど、足の冷えはそれだけでつらいうえに、体調不良をまねくことがあります。そこで、鍼灸師で太子橋鍼灸整骨院(大阪府守口市)の丸尾啓輔院長に、足の冷えを改善するためのセルフケアとして、ツボ押しとストレッチを教えてもらいました。
足の冷えは全身の不調につながる
はじめに丸尾さんは、足の冷えと体調の関係についてこう話します。
「秋から冬にかけて、患者さんのお悩みでもっとも多いのは足の冷えです。足が冷えると、寝つきが悪い、就寝中につる、むくむ、膝痛、腰痛、腹痛、下痢、便秘、胃痛、頭痛、不快感と、全身の不調につながります。
足は心臓からいちばん遠いため、血流が悪化しやすい部位です。冷えているときや、冷えを感じる前にも予防として、次に紹介するツボを押し回す、ツボとその周囲を手のひらでさする、カイロやドライヤーで温めるなどしてください。ただし、ドライヤーはやけどを避けるため、遠めにそっと短時間の使用にしましょう。
また、ツボの位置は個人差があります。わかりにくい場合は、示した位置を目安にその周囲を押してみて、イタ気持ちいい場所を探してください」
ツボ・三陰交 (さんいんこう)を刺激する
ツボ名の「三陰交」とは、生命を維持するためのエネルギーが循環する「3つの重要な道筋が交わる場所」という意味合いです。血流を促して、足の冷え、つり、むくみのほか、月経による不調、更年期の症状、下痢、便秘などを改善し、女性に特有の不調ケアツボとしても知られています。
<「三陰交」の位置>
内くるぶしから、「おや指以外の4本の指を揃えた幅の長さ」を上がったところの骨のキワ。左右にあります。
<刺激法>
椅子に座り、刺激する足を反対のふとももの上に置きます。手のおや指の腹でくるくると押し回すように、ひと押し5~10秒ほどを、3~5回くり返します。足をかけない場合でも、反対の足の指やかかとで刺激できます。左右とも行います。日ごろから靴下やレッグウォーマーを活用して、三陰交の周辺を冷えから守りましょう。
ツボ・太衝(たいしょう)を刺激する
「太衝」の「太」は大きい、「衝」は動く・動かすという意味があり、足の甲の拍動が大きく触れる場所を示しています。血流を促し、足元から緊張をほぐして、足の冷え・痛み・疲れ、冷えからくるのぼせや頭痛、めまい、寝つきが悪いなどを改善します。
<「太衝」の位置>
足の甲にあり、おや指の骨とひとさし指の骨が交わる手前のくぼみ部分。左右にあります。
<刺激法>
椅子に座り、刺激する足を反対のふとももの上に置きます。手のおや指の腹でもむように、ひと押し5~10秒ほどを、3~5回くり返します。また、反対の足のかかとで、太衝を中心に足の甲全体をさすると、指先からじわじわと温かくなります。
ツボ・八風(はっぷう)を刺激する
足の指の間にあり、左右で8つあるため「八風」と名づけられたといいます。足の指先から全身へ血流を促し、足の冷え、疲れ、しびれなどを改善します。
<ツボ「八風」の位置>
足のおや指から小指までのそれぞれの間の付け根で、水かきの部分。左右にあります。
<刺激法>
まず、足の裏側から、刺激する足とは反対の手の指を、足の指の間に1本ずつはさみます。手と足で握手をするイメージです。そのまま手と足の指にぎゅっと力を入れながら、前後に各5~10秒ずつ曲げましょう。次に、足の甲側からも同様にします。
さらに、手と足で握手をしたまま、足首を左右に各5~10回まわします。いずれも、左右の足とも行いましょう。
また、靴下を履いているときは、手のおや指とひとさし指でツボをひとつずつつまみむように5~10秒押して、指先に向かって引っ張って離します。これを左右ともに各3~5回くり返します。
5本指ソックスを履いているときならいつでも、また、お風呂上がりに靴下を着用する前や、夜寝る前に行ってください。冷たい足の指が、じんわりと温まります。
ストレッチ つま先立ち&かかと立ち
足はもちろん、下半身から全身の血流を促すには、「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉を動かすことが重要です。この方法なら、立っているときでも椅子に座ったままでも、いつでも簡単にできるので、デスクワーク中や通勤電車などで意識して行ってください。
床に両方の足をつけた状態から、つま先立ちをするようにかかとを上げて、5~15秒キープ。元に戻し、次はかかとで地面を押すようにしてつま先を上げ、5~15秒キープ。転倒に注意するために、椅子やデスク、壁に手を添えて行うのもよいでしょう。一連の動きを3~5回くり返します。
聞き手によるまとめ
実践したところ、ツボ押し、ストレッチともに、どれもデスクワーク中にすぐに行うことができて、足からじんわりと温まってくるのを感じました。足元の冷えが気になるときはもちろん、冷えを感じる前にも試してみてください。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)