デスクワーク中、無意識のうちに足が冷えてつらい、気づけば足の指が氷のように冷たくなっている、さらには机の角で指をぶつけてうずくまるほど痛い…という経験が何度もあります。そこで、鍼灸師の陽田志保子さんに、足と指先の冷えを改善、予防するツボとストレッチを教えてもらいました。
同じ体勢が続くと足先が冷える
はじめに陽田さんは、足の指先からの冷えについてこう説明をします。
「ずっと同じ体勢でデスクに座っていると、全身の血流が悪化して足の指先から冷えてきます。体は寒くないのに、足だけが冷たいということはよくあるでしょう。その場合下半身の血流が悪化しています。
下半身の血流を促し、足の冷えを改善するために、下半身にあるツボを3つと、デスクワーク中でもできるストレッチを紹介します。足の冷えを感じる前に、予防として行うこともお勧めします」
ツボ・陰陵泉(いんりょうせん)を刺激する
「陰陵泉」は膝(ひざ)の下の内側にあります。東洋医学では、ヒトの体で正面や表に出ている部分を「陽」、裏や内側の部分を「陰」ととらえます。そのため「陰陵泉」の「陰」は内側を意味します。「陵」は丘のように盛り上がる部分、「泉」は生命活動に必要な「気(き)・血(けつ)」というエネルギーや血液の巡りが湧き出る部分を表します。
足の冷え、つり、むくみに作用し、膝の痛み、手の冷え、腹痛、下痢、食欲不振、のぼせの改善にも有用です。
<ツボ「陰陵泉」の位置>
内くるぶしから真上にのぼった線上にあり、膝の下のくぼみから手のおや指以外の4本の指をそろえた幅の長さを下がったところ。左右にあります。
<刺激法>
どちらか刺激しやすいほうの手のおや指で、気持ちよいと感じる程度にひと押し5~10秒ほどを3~5回くり返します。手のひらや指の腹でさするのも有用です。
ツボ・太渓(たいけい)を刺激する
「太渓」の「太」は大きい、「渓」は渓谷のようにくぼんだ部分を示します。
全身の血流を促し、足、腰の冷えを改善します。足のつり、痛み、めまい、立ちくらみ、頭重感、頭痛、不安感の緩和にも有用です。
<ツボ「太渓」の位置>
足の内くるぶしとアキレス腱のあいだに位置するへこんだ部分。左右にあります。
<刺激法>
持ちやすいほうの手で足首を握るように持ち、おや指で軽くひと押し5~10秒ほどを3~5回くり返します。手のひらや指の腹でさするだけでも有用です。
ツボ・内庭(ないてい)を刺激する
「内庭」の「内」は内や中、「庭」は字のとおり庭や空き地などの広い場所という意味です。このツボは足の指の間にあるため、指を開いたときに庭のように広くなっているところにツボがあることを示しています。
足の冷え、痛み、また、手の冷え、膝の痛み、下痢、胃痛、口内炎、頭痛、歯痛に有用です。
<ツボ「内庭」の位置>
足のひとさし指となか指の間。左右にあります。
<刺激法>
手のおや指で、気持ちよいと感じる程度にひと押し5~10秒ほどを3~5回くり返しましょう。指の腹でさする、足の指全体を動かすだけでも有用です。
足指「グー・チョキ・パー」ストレッチ
足の指で「グー・チョキ・パー」を3~5回くり返します。チョキは、おや指とひとさし指を前後に動かせばOK。難しい場合は、ポーズのイメージで動かすだけでもかまいません。2~3セットを左右同時に行いましょう。
聞き手によるまとめ
3つのツボは膝から足の指にかけての順番で覚えやすく、デスクワーク中でも刺激ができます。足指じゃんけんとともに試してみると、じんわりと足の指先から温かくなるのを感じます。冷えのケアや予防としてまめに行いたいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)