「コレステロールって何? 糖尿病専門医に聞く」第4回・止

悪玉コレステロールを抑えるために控えたい食材は? 糖尿病専門医に聞きました

悪玉コレステロールを抑えるために控えたい食材は? 糖尿病専門医に聞きました

血液検査の結果に記載されているコレステロール値について、何をどう考えればいいのかを連載で紹介しています。第3回では、20~30代にコレステロール値の基準値オーバーのケースが増えていること、またその理由と、積極的に取り入れたい食事について紹介しました。

今回は、悪玉コレステロールの上昇を抑えるために控えたほうがいい食材や、原因となる食生活に心当たりがないケースについて、ひき続き、糖尿病専門医・臨床内科専門医でふくだ内科クリニック(大阪市淀川区)の福田正博院長に教えてもらいましょう。

糖尿病専門医の福田正博先生

糖尿病専門医の福田正博先生

動物性の脂肪、洋菓子、菓子パンは控える

Q16:前回は、積極的に食べたい食材を教えてもらいました。では、控えるほうがいい食材はありますか。

福田医師:まず、食材に含まれる脂質の成分の脂肪酸について知っておくとよいでしょう。脂肪酸は、分子の構造の違いから、大きくは飽和脂肪酸不飽和脂肪酸に分類されます。

そして、飽和脂肪酸はおもに動物性の脂肪に含まれ、不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に含まれます。一般に不飽和脂肪酸は動脈硬化予防効果があるとされていますが、脂肪酸の一種のトランス脂肪酸は、食べすぎると摂取が少ない場合と比較して心臓病のリスクが高まることが多くの研究で示されています。

世界保健機関(WHO)は、飽和脂肪酸やある種の不飽和脂肪酸について、食品からとる量の基準を定めています。

具体的な食材としては、飽和脂肪酸が多い、肉の脂身、ひき肉、鶏肉の皮、バター、ラード、ヤシ油、ココナッツ油、生クリーム、洋菓子、コレステロールの多い食品の動物性のレバー、臓物類、スジコやタラコ・シシャモなどの卵類は控えましょう。

また、先ほどお話ししたトランス脂肪酸は、植物油などからマーガリンやショートニングなどを製造する際や、植物油を高温にして脱臭する工程で生じる成分です。トランス脂肪酸が多く含まれるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、それらが含まれる洋菓子、菓子パン、スナック菓子、揚げ菓子も控えましょう。

肉は食べなくても、スイーツばかりは注意

Q17:「肉の脂身はほとんど食べないのに、悪玉コレステロールの数値が高い」と言う人がいます。原因は何だと考えられますか。

福田医師:よくお話しを聞くと、肉は食べていないけれど、実は、飽和脂肪酸が多い油をたっぷり使った、「ケーキなど洋菓子類や菓子パン、チョコレート、おせんべいなどのスナック菓子が大好きで、毎日たくさん食べています」とおっしゃることがあります。20~30代の女性に多い事例です。

加工食品や菓子類などから、無意識のうちに悪玉のLDLコレステロールをとりすぎているケースはとても多いのです。LDLコレステロールがふんだんな動物性脂質や洋菓子類は食べすぎないようにしましょう。

卵を食べてもいい個数に制限はないが、食べすぎはNG

Q18:卵にはコレステロールが多く、かつては「1日1個まで」と言われていましたが、いまでは撤回されたと聞きます。医学的にはどうなのでしょうか。

福田医師:卵に限らず、2015年に厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」で、コレステロール摂取の上限値はなくなりました。

第1回のQ1でお話ししたように、コレステロールは食事から20%、肝臓で合成される量が80%とされ、健康な体では総量は一定に保たれています。食事でコレステロールが取り入れられた場合は、肝臓での合成が抑制されると考えられること、また、ホルモンなどほかの機能の影響を受けるため特定の食材の成分が血液中のコレステロールの量に直接的に反映されるとは限らない、個人差が大きいことなどからです。

ただしそれは、食生活が多様化して上限値が出せないということでもあり、どれだけ食べても大丈夫、ということではありません。食べすぎれば当然、カロリーもコレステロールなどの脂質も摂取オーバーになります。それは卵に限らず、どの食材でも、食生活において重要なポイントです。食べすぎはよくないことを認識しておきましょう。

20~30代で食生活に心当たりがない場合は受診を

Q19:とくに脂質が豊富な食生活をしていない、体型も太ってはいないのに、悪玉コレステロール値が高いという人もいるそうですが、何が原因でしょうか。

福田医師:生まれつき、コレステロールの代謝に関する遺伝子の異常で数値が高いケースがあります。これを「家族性高コレステロール血症」と言いますが、両親からこの遺伝子の異常を受け継ぐと、やせていても脂っこい食事をしていなくても、若いときからコレステロール値が高く、動脈硬化が進行します。

このような方は約500人に1人の割合でおられます。両親や血縁者にコレステロールが高い方、また、若くして心筋梗塞などを起こされた方がおられる場合は注意が必要です。自分では原因がわかりにくい場合は、必ず医師に相談しましょう。

Q20:20~30代の女性で、食生活に心当たりがないのに悪玉コレステロールの数値が高い場合は何かほかの原因があるのでしょうか。

福田医師:前回お話したように(第3回のQ11)、女性は更年期以降、悪玉のLDLコレステロール値は必ず上昇しますが、20~30代で、原因となる脂っぽい食事やスイーツばかり食べているといった食事に心当たりがないのに数値が高い場合は、甲状腺ホルモンの低下など、ほかの病気が隠れている場合も多くみられます。この場合も医療機関を受診しましょう。

お話しを聞いて

今回の食生活のお話しはドキッとすることが多く、食べすぎていた脂っぽく塩辛いものや、洋菓子や菓子パンなど甘いメニューを見直すきっかけになりました。

4回にわたって、質問に丁寧に答えてくださった福田先生、ありがとうございました。第1回から通して、コレステロールの多くの謎が解けて、その実体をイメージすることができたのではないでしょうか。血液検査の結果がどうであれ、いますぐに食生活の改善に取り組んで、悪玉コレステロールが増えないように心がけていきたいものです。

■これまでの内容

第1回「コレステロール値が高い」と言われたけど…検査結果の見方は?
Q1:コレステロールの実体とは?
Q2:コレステロールは体に悪い? どう働く?
Q3:コレステロールの「悪玉」と「善玉」とは何?
Q4:健康診断の数値がオーバーだと何が問題に?
Q5:「脂質異常症」の診断基準とは?

第2回 コレステロールと中性脂肪の違いは? 心臓病のリスクをセルフチェックする方法
Q6:基準値を越えたらどこか痛くなる?
Q7:数値がギリギリセーフだった場合は安心していい?
Q8:異常値で放置した場合はどうなる?
Q9:「中性脂肪」と「コレステロール」の違いは?
Q10:ネットで利用できる心臓病のリスク予測ツールとは?

第3回 「悪玉コレステロール値が高い」と言われた! 改善する食事法を糖尿病専門医に聞きました
Q11:なぜ悪玉のLDLコレステロールが多くなる?
Q12: なぜ善玉のHDLコレステロールが少なくなる?
Q13:「脂質異常症」が20~30代で増えている?
Q14:悪玉値の基準値オーバーが20~30代に増えているのはなぜ?
Q15:悪玉を減らすために何を食べればいい?

(構成・文 品川 緑 / ユンブル)

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