「コレステロールって何? 糖尿病専門医に聞く」第2回

コレステロールと中性脂肪の違いは? 心臓病のリスクをセルフチェックする方法

コレステロールと中性脂肪の違いは? 心臓病のリスクをセルフチェックする方法

前回の記事、「コレステロール値が高い」と言われたけど…検査結果の見方は?」では、コレステロールの実体や善玉と悪玉の存在と役割、また血液検査での数値の基準値について紹介しました。今回は、自覚症状や、中性脂肪との違い、また、心臓病のリスクを自分で確認する方法について、ひき続き、糖尿病専門医・臨床内科専門医でふくだ内科クリニック(大阪市生野区)の福田正博院長に教えてもらいましょう。

「第1回」のポイント 
Q1:コレステロールの実体とは?
Q2:コレステロールは体に悪い? どう働く?
Q3:コレステロールの「悪玉」と「善玉」とは何?
Q4:健康診断の数値がオーバーだと何が問題に?
Q5:「脂質異常症」の診断基準とは?

痛くもかゆくもないサイレント・キラー

Q6:コレステロールの数値が基準値を超えた場合、どこかが痛くなるとか、自覚症状はありますか。

福田医師:いいえ、自覚症状はなく、痛くもかゆくもありません。動脈硬化は、「サイレン卜・キラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれていますが、その語源は、自分では何も気づかないうちに病気が進行しているという意味です。もっとも怖いことで、だからこそ危険なのです。

自覚がないため、多くの人は健康診断による血液検査で発覚します。数値が基準値を超えていたら、「これはアラームだ」と考えて、できるだけ早めに受診をしましょう。

血液検査での数値がギリギリセーフでも安心はできない

Q7:血液検査の結果で、例えば、「LDLコレステロールの数値が139mg/dlで、かつかつセーフ」だった場合は、安心していいのでしょうか。

福田医師:患者さんによく聞かれる質問のひとつです。数値がギリギリの場合は、基準値内であっても安心はできません。年齢とともに悪玉コレステロールは蓄積し、善玉は減少していきます。これは黄信号だと認識して、脂質異常症になる前に生活習慣を見直して予防しましょう。

また、コレステロールだけでなく、糖尿病や高血圧症、喫煙をしているなど、動脈硬化の危険因子を複数持っている人はさらに注意が必要です。LDLコレステロール値の目標を140未満ではなく、120以下、あるいは100とする
ことが動脈硬化学会の治療目標にも挙げられています。

Q8:血液検査の結果が異常値でも、放置した場合はどうなるのでしょうか。

福田医師:前回にお話ししたように、血管壁にコレステロールがたまって血管が細く硬くなる動脈硬化が進み、突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの発作で非常に苦しい病気になる可能性が高まります。発作が起こってはじめて脂質異常症であることが判明するケースや、命に関わる場合も多くあります。

くり返しますが、とくに、メタボや肥満、糖尿病、高血圧などの人、喫煙する人は注意が必要です。必ず医療機関を受診しましょう。

コレステロールと中性脂肪は別の物質

Q9:「コレステロール」と「中性脂肪」が同じだと思っている人、混乱している人も多いようです。どう違うのでしょうか。

福田医師:どちらも血液中の脂肪分であり、イメージとして同じように思われることがありますが、まったく別の物質です。中性脂肪は、体脂肪の大部分を占めて脂肪細胞の中に蓄えられ、糖が不足すると血液中に送り出されて活動のためのエネルギー源
となります。

ただし、これも食品からとりすぎると体に蓄積されて、健康に害となります。皮下組織にたまると肥満になり、肝臓にたまると脂肪肝になって肝臓の働きに悪影響を及ぼします。

中性脂肪の数値も血液検査でわかり、脂質異常症のほか、メタボリック・シンドロームの診断基準の要素となります。

医学会公式のネットツールでリスクをチェック

Q10:ネット上で無料で利用できる、心臓病の危険性を予測する医学会の公式ツールがあると聞きました。

福田医師:日本動脈硬化学会が公表している「冠動脈疾患発症予測ツール これりすくん」です。冠動脈疾患とは、狭心症や心筋梗塞(こうそく)といった病気のことですが、そのリスクを、パソコンではWEB版で、スマホやタブレットではアプリをダウンロードして用います。

血液検査の結果の総コレステロール値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、血圧、年齢、性別、血糖値の異常や喫煙習慣、家族歴(家族の現在および過去の病気の記録)があるかないかなどを入力すると、「あなたのリスク」と、「10年以内の冠動脈疾患発症確率」が何パーセントかが表示されます。

血液検査の結果が出るたびに、コレステロールと中性脂肪の数値が基準値以内であっても、セルフチェックをしてみてください。

190518_これりすくん

「体の若さは血管のしなやかさによる」

と福田医師。コレステロールはサイレント・キラーであり、何の自覚症状もなく進んで心臓病のリスクを負うこと、またそのチェック方法を教えてもらいました。このツールはぜひお試しください。続く第3回では、悪玉コレステロールの上昇を抑えるために、食事の内容をどうすればいいか、具体的に教えてもらいます。

【第1回】「コレステロール値が高い」と言われたけど…検査結果の見方は?

(構成・文 品川 緑 / ユンブル)

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