朝晩に冷えを感じる季節の変わりめは、肩こりがだんだんとつらくなるように思います。そこで鍼灸師で太子橋鍼灸整骨院(大阪府守口市)の丸尾啓輔院長に、冷えケアを兼ねた肩こり改善のためのツボを聞いてみました。
なお、下半身のケアについては次の記事を参考にしてください。
エアコン、温度差、テレワーク…「下半身冷え腰痛ケアツボ」3つ【鍼灸師が教える】
冷えて無意識に力が入り、筋肉がこわばる
丸尾さんはまず、寒暖差が気になる時期の肩こりの悪化についてこう説明をします。
「朝晩と日中や室内外の気温の差が大きいと、心身にこわばり、緊張、ストレスなどの負担がかかります。無意識に肩に力を入れていて、筋肉が硬くなる、血流が悪化するなどで肩こりをまねきます。また、そうした時間が増えると肩こりが悪化します。
季節の変わりめは、まだ意識的に冷えを予防することが少ないために、テレワーク中やスマホ、パソコンの操作中などいつのまにか首や肩が冷えていることがあります。冷え対策をしたうえで、次に紹介する上半身の血流を促す肩こりのケアツボを押してみてください」
ツボ・手三里(てさんり)を刺激する
「三里」というツボでは、下半身の冷えや脚の疲れ、胃腸のケアに有用な「足三里」が知られますが、手にもあります。働きは足三里と同様で、手の場合は上半身の血流を促して、肩や首のこり、肘(ひじ)の痛みを改善します。また、胃腸の不調、胸やけ、頭痛、めまい、歯ぐきの腫(は)れ、さらに、イライラや不安感などメンタル面にも作用します。
<ツボ「手三里」の位置>
肘の曲がりめにある横じわの外側の端から、おや指の幅2本分をひとさし指に向かって移動したたくぼみ。左右にあります。
<刺激法>
反対の手のおや指で、指先が皮ふに軽く沈む程度に押し込むか、押しゆらします。ひと押し5~10秒を3~5回くり返しましょう。左右とも行います。また、ツボのあたりを手のひらでさする、カイロをあてるのも有用です。
ツボ・肩井(けんせい)を刺激する
「肩井」は肩にあり、ヒトが生命活動を行ううえで必要なエネルギーの「気(き)・血(けつ)」が井戸のように湧き出る場所を示します。肩こりを改善する特効ツボとして知られ、全身の血流を促して冷えや肩、首すじの痛み、こり、こわばり、頭痛、のぼせなどに作用します。
<ツボ「肩井」の位置>
首のつけ根と肩の端の中間にあります。また、乳頭から肩に向かってまっすぐ上がった、肩が盛り上がっている部分。押すとイタ気持ちよく感じる場所です。左右にあります。
<刺激法>
このツボは、左右同時に押すとより有用です。腕を胸の前で交差し、反対の手のひとさし指となか指で、ひと押し5~10秒を5~10回、くり返します。また、ツボのあたりを手の指の腹でさする、カイロをあてるのも有用です。
ツボ・天柱(てんちゅう)を刺激する
「天柱」の「天」は鎖骨から上の頭部、「柱」は最も重要な部分を支えるという意味があります。つまり天柱は、柱のように隆起して頭部を支える筋肉の始まりにあるツボを示します。
肩まわりと頭部の血流を促して、肩や首、頭のこり、緊張を改善します。また、冷え、頭痛、めまい、目の疲れ、のぼせ、だるさ、鼻づまり、乗り物酔い、むくみなど、応用範囲が広い万能ツボとして知られています。
<ツボ「天柱」の位置>
首の後ろの髪の生え際で、縦に2本並ぶ太い筋肉のすぐ外側。左右にあります。
<刺激法>
両方の手で、頭を覆うように包み込みます。おや指をツボにあてて、少し上に押し込みます。ひと押し5~10秒ほどを3~5回くり返しましょう。ツボ周辺をおや指の腹でさするだけでも有用です。
聞き手によるまとめ
デスクワーク中に実践してみたところ、肩、首、頭、腕、背中まで、つまり上半身が楽になり、力を抜いて作業を続けることができました。紹介してもらったツボは、腕、肩、頭にあって覚えやすく、デスクワーク中でも刺激しやすいでしょう。試してみてください。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)