脂質異常症を治したい/第3回

脂質異常症の食事…避けたいポイントは?【糖尿病専門医に聞く】

脂質異常症の食事…避けたいポイントは?【糖尿病専門医に聞く】

「脂質異常症を治したい」と題して、糖尿病専門医・臨床内科専門医で『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に連載で詳しいお話しを聞いています。

「第1回 脂質異常症って何? 女性は男性の2倍以上」(リンク先は文末参照)、「第2回中性脂肪の過剰が脂質異常症、メタボ、肥満の原因に」(同)に続き、今回は、脂質異常症の対策と予防のための食事法について尋ねます。

糖尿病専門医の福田正博先生

糖尿病専門医の福田正博医師

脂質異常症の治療の基本は食事の見直し

——前回(第2回)、脂質異常症を発症しやすいケースでは、食べすぎや飲みすぎの傾向、運動不足、ストレスがたまっている、更年期以降の女性、肥満、メタボ、糖尿病、高血圧などがあるということでした。

福田医師:そのため脂質異常症の治療の基本は、食事を見直す食事療法と運動療法です。治療といえば、すぐに薬の服用をイメージされる人が多いのですが、そうではありません。

血液検査での数値によりますが、ほかに糖尿病やメタボ、高血圧などの基礎疾患があるかなどの問診を経て、まずは食事と運動を見直すケースがほとんどです。これら生活習慣の改善によって、いわゆる悪玉のLDLコレステロール(第1回参照)を低下させ、善玉のHDLコレステロール(同)の上昇が期待できます。

動物性脂肪を食べすぎない

——その食事の見直しかたについて、具体的に教えてください。

福田医師:まず、「脂肪分をとりすぎない」ようにします。脂肪分が多い食品は、血液中の脂質の割合が上昇します。ポイントは、「油をたくさん使った料理の揚げ物などを減らすこと」と、「肉料理を減らすこと」です。

——動物性の脂肪分はとくに良くないと聞きます。植物性脂肪なら大丈夫ですか。

福田医師:「常温で固形の肉や乳製品の動物性脂肪」には「飽和脂肪酸」が多く含まれていて、LDL(悪玉)コレステロールを増やします。とくに飽和脂肪酸の含有量が多い食品は、牛や豚のバラ肉、肉の脂身、鶏肉の皮、加工肉、バターなどです。

一方、青魚の油は動脈硬化を予防する多価不飽和脂肪酸が多く含まれ、中性脂肪(トリグリセライド・第2回参照)を下げ、善玉コレステロールを増やすことで知られるため、摂取が勧められています。

一方で、「常温で液体のものが多い植物性脂肪」は、悪玉を減らします。例えば、オリーブオイル、ごま油、ナッツ類などです。ただし、あまり食べすぎると善玉コレステロールが減るので適量にする必要があります。

コレステロールの摂取は1日200ミリグラムまでに

——血液中のコレステロールは「肝臓で作られるもの」と「小腸で食事から吸収されるもの」があるそうですね。

福田医師:そうです。肝臓で作られる量は体質、遺伝的に決まっていることが多いのですが、コレステロールを多く含む食品を食べすぎると、後者の小腸からの吸収が増えてコレステロールの数値が上昇します。日本人の1日のコレステロール摂取量の平均は200~400mgとされますが、健康診断などでコレステロール値が高いと診断された場合や、近親者にコレステロールが高い人がいる場合は、「食品に含まれるコレステロールの摂取は、1日200ミリグラムまで」にしましょう。

まずは、コレステロールが豊富な食品を知っておきましょう。次のリストを見てください。

日本臨床内科医会『脂質異常症~わかりやすい病気のはなし』 文部科学省「日本食品標準成分表2015年版」より

日本臨床内科医会『脂質異常症~わかりやすい病気のはなし』 文部科学省「日本食品標準成分表2015年版」より

——卵1個ですでに200ミリグラムを超えていますね。以前から、卵とコレステロールの関係は論争がありました。

福田医師:卵はコレステロール含有量が多い食品ですが、食べてもコレステロール値に影響しないという複数の報告や、卵を毎日1個食べる人は食べない人に比べて、脳卒中を起こす確率が低いという海外からの報告もあります。

卵黄に含まれるレシチンに、LDL(悪玉)コレステロールを減らして、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きがあり、血管にコレステロールが付着するのを防ぐともいわれます。そこで現在、「卵は1日1個までが適量」と考えられています。

糖質を食べすぎない

——糖質は糖尿病の原因となるだけではなく、脂質異常症にも影響するそうですね。

福田医師:糖質を食べすぎると血液中の中性脂肪の割合が高くなり、動脈硬化をまねきます。砂糖たっぷりのケーキなどのお菓子、パン、ジュース、また果糖が多い果物など、食べ過ぎには十分に注意してください。

1日に食べてもいいお菓子の量は、「自分の手のおや指とひと差し指を合わせてマルを作り、そこに収まる大きさの和菓子」です。

アルコールは控える

——お酒は脂質異常症にとって、やはり良くないのでしょうか。

福田医師:アルコールは血液中の中性脂肪を増やし、ほかの滋養物を含まない「空(から)のエネルギー」ドリンクといわれます。飲酒によって自制心がゆるんでつい食べすぎるといったことも多いでしょう。飲酒は控えるか、少なくとも量を減らしてください。飲む場合は水も合わせて飲みながら、食物繊維が多く、動物性脂肪や糖質が少ない料理をおつまみとしてください。

これらは脂質異常症だけではなく、糖尿病、高血圧、メタボ、肥満などの予防にもとても有用です。

聞き手によるまとめ

脂質異常症の場合で避けたい食事内容のポイントは、動物性脂肪・コレステロール・糖質が多い食品・アルコールだということです。日ごろの食事はどうか、見直したいものです。次回・第4回は、脂質異常症の食事で積極的に食べたいものに続きます。

これまでの記事を読む

【第1回】「脂質異常症」って何? 女性は男性の2倍超
【第2回】中性脂肪の過剰が脂質異常症、メタボ、肥満の原因に

(構成・取材・文 藤井 空 / ユンブル)

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