脂質異常症を治したい/第4回

脂質異常症のケアで摂りたい食事「おさかなすきやね」…糖尿病専門医に聞く

脂質異常症のケアで摂りたい食事「おさかなすきやね」…糖尿病専門医に聞く

「会社の健康診断で『脂質異常症の可能性が高いので病院へ行って』と言われてびっくり」(48歳女性)、「BMI(体格指数。標準は22)は20ぐらいですが、医師に『コレステロール値のバランスが悪い。食事内容を改めて』と宣告されました。太ってるわけではないのですが」(51歳女性)など、脂質異常症を指摘されて意外だという声が集まっています。

そこで、糖尿病専門医・臨床内科専門医で『糖尿病は自分で治す!』(集英社)など多くの著書がある福田正博医師に、連載で詳しいお話しを聞いています。

第1回「脂質異常症って何? 女性は男性の2倍以上」、第2回「中性脂肪の過剰が脂質異常症、メタボ、肥満の原因に」、第3回「脂質異常症の食事…避けたいポイントは?」(各リンク先は文末参照)に続き、今回は食事のコツ「おさかなすきやね」を紹介します。

糖尿病専門医の福田正博先生

糖尿病専門医の福田正博医師

お茶・魚・海藻類・納豆・酢・キノコ類・野菜・ネギ

——前回(第3回)、脂質異常症、コレステロール値や中性脂肪が高い場合に食事で避けたいポイントとして、「動物性脂肪を食べ過ぎない」「コレステロールの摂取は1日20グラムまで。その具体的食事別目安」「糖質を食べ過ぎない」「アルコールを飲み過ぎない」などについて教えてもらいました。では、食べると良いものはあるのでしょうか。

福田医師:多くの食事療法が提唱されていますが、中でも覚えやすいキーワードとして「おさかなすきやね」の語呂合わせの食材チョイス法をご紹介しましょう。

「お」…オリーブオイル・お茶。オリーブオイルに多く含まれる一価不飽和脂肪酸のオレイン酸は体内のLDL(悪玉)コレステロールを減少させることが知られています。また、緑茶にはポリフェノールの一種のカテキンという成分が含まれます。カテキンには、コレステロールの吸収を抑える働きや、体内で発生する活性酸素を除去する抗酸化作用があります。※麦茶などにはカテキンは含まれません。

「さ」…魚。サバ、イワシ、アジ、サンマなどの青魚に豊富に含まれる多価不飽和脂肪酸であるDHAやEPAという成分には、コレステロールが体内で合成されるのを抑える、また、中性脂肪を減らす働きがあります。脂肪の燃焼を促すことでも知られています。

「か」…海藻類。水溶性の食物繊維が豊富に含まれています。中性脂肪を吸着して排出する働きや、食後の血糖値(血液中の糖分の濃度)が上がるのを抑える働きがあります。また、糖質や脂質の代謝を促すミネラル(カルシウム、カリウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅など)も豊富に含まれています。

「な」…納豆。成分のひとつのナットウキナーゼには、血栓(けっせん。血液のかたまり)を溶かして血液をサラサラにする働きがあるといわれます。また、豊富に含まれる納豆菌には整腸作用があり、ビタミンEも多く含まれ脂質代謝を促します。

「す」…酢。酸っぱさの味覚のもととなる成分の酢酸・クエン酸は、食べたものを効率よくエネルギーに変えるように働きます。また、赤血球の膜を柔軟にして血流を良くし、糖質の燃焼を促します。

「き」…キノコ類。成分の不溶性食物繊維のβ(ベータ)グルカンは、消化されずに腸へ送られ、コレステロールを吸着して体外へ排出する働きがあるとされます。また、免疫細胞の働きを活性化するともいわれます。

「や」…野菜。よく知られているように、塩分を排出して血圧の上昇を抑える働きや、体内の活性酸素を抑える抗酸化に働く種類もあります。また整腸に働く食物繊維や、健康維持に欠かせないビタミンやミネラルも豊富に含まれています。1日に350g以上(両方の手のひらいっぱいに乗る量)の摂取が勧められます。

「ね」…ネギ・タマネギ。ニンニクも。特有のにおいの成分のアリシンは、血栓を予防する働きや、体内でビタミンB1と結合して糖質や脂質の燃焼を助けます。

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——これらは体内でLDL(悪玉)コレステロールが増えるのを抑える役割があるのですね。食材に迷ったときに活用できそうです。

福田医師:脂質異常症だけではなく、糖尿病や肥満、メタボを予防するためにも積極的にとりたい食材です。これらのうちからでも偏ることなく、複数の食材をまんべんなく食べると良いでしょう。血液さらさらも目指せます。

聞き手によるまとめ

コレステロールや中性脂肪を抑える食材の「おさかなすきやね」は、脂質異常症や糖尿病、肥満など生活習慣病の予防になり、血液さらさらも期待できるということです。この合言葉なら覚えやすくて食材への意識を高められそうで、今日からすぐに実践もできそうです。

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