2021年~’22年冬シーズン/第2回

インフルエンザ・新型コロナ・風邪・花粉症の違いは?【専門医に聞く】

インフルエンザ・新型コロナ・風邪・花粉症の違いは?【専門医に聞く】

2021年~’22年のインフルエンザシーズンに入り、新型コロナウイルス感染症、風邪、花粉症の症状との違いが気になります。鼻水やくしゃみが出ても心配になりますが、それぞれを見分ける方法はあるのでしょうか。感染症や免疫に詳しく、『免疫入門 最強の基礎知識』(集英社新書)の著書で耳鼻咽喉科・気管食道科専門医の遠山祐司医師に尋ねます。

遠山祐司先生

遠山祐司医師

インフルエンザ、新型コロナ、風邪の特徴は?

——インフルエンザ、新型コロナ、風邪の症状はどれも似ているといいます。それぞれに特徴はありますか。

遠山医師:風邪はアデノウイルス、コロナウイルス、ライノウイルスなどに感染して鼻やのど(上気道)が炎症を起こす症状の総称です。医学では「急性上気道感染症」といいます。鼻やのどの粘膜からウイルスが侵入するため、誰もが経験があるように、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、たんなどの症状が現れて、だらだらと3日~10日ほど続きます。熱はあまり出ません、出ても37度5分ぐらいまでで、そう高くは上がりません。

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染して発症する病気です。感染から1~3日で38℃以上の急激な発熱が出るのが特徴で、けんたい感、悪寒、関節痛などの全身症状が現れ、鼻みず、せきなども伴います。医療機関で治療を受ければ1~2週間で回復しますが、高齢者では肺炎を、子どもではひきつけや脱水症、急性脳症などの合併症を起こすことがあることも覚えておいてください。

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新型コロナは、周知のとおり、新型コロナウイルスに感染して発症する病気です。症状は個人差が大きいのですが、最初は微熱でだんだんと38度以上の高熱になり、せき、けんたい感、関節痛、頭重感、頭痛、食欲不振、味覚・嗅覚の異常を感じることが多いです。

軽症の場合は約1週間で回復していき、悪化する場合は強い胸の痛み、息切れなど肺炎の症状が現れ、入院してしかるべき治療が必要となります。回復までの日数は個人によってかなり違います。一方で、無症状の人が急激に重症化して肺炎を合併することがあるので注意が必要です。

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「新型コロナかも」と想定して対策を

——それぞれを見分ける方法はありますか。

遠山医師:熱がないか微熱までだと風邪、急に高熱が出るとインフルエンザ、だんだんと熱が高くなったり、味覚や嗅覚に異常を感じたりすると新型コロナが疑わしくなります。しかしなかなか、自分でこれはインフルエンザだ、などとはっきりとわかるものではなく、不安もつのるでしょう。

インフルエンザも新型コロナも、ワクチンを打っている場合は症状の現れかたが弱くて風邪だと勘違いすることもあります。また、感染していても無症状で気づかない場合もあります。これが感染を広げる原因になるため、風邪の症状がある、少ししんどい、だるい、熱っぽいなどの場合は外出を控えてください。

いずれにしても、頭痛や体のだるさ、鼻水や咳、のどの痛みなどの風邪症状に加えて、37.5℃以上の発熱がある場合は「新型コロナかも」と考えましょう。そしていきなり医療機関を受診するのではなく、かかりつけ医に電話をして受診が可能かどうかを相談する、また、自治体のホームページに掲載されている新型コロナ相談センターや発熱外来相談センターなど(名称は自治体によってさまざまです)に電話やメールで受診可能な医療機関を問い合わせてください。

——風邪もインフルエンザも、新型コロナ同様に、こじらせると肺炎になると聞きます。

遠山医師:のどの炎症までで回復するといいのですが、ウイルスが下気道(かきどう)である気管、気管支、肺にいたると気管支炎や肺炎を発症しやすくなります。胸が苦しいとその可能性が高いので、すぐの受診が必要です。

——のどの腫れがひどくて高熱が出る病気もあるそうですね。

遠山医師:溶連菌などの細菌に感染してのどに膿ができるような炎症の「扁桃(へんとう)炎」「咽頭(いんとう)炎」では、高熱、全身のけんたい感が出ます。のどが痛くて食事ができない、お茶や水を飲むのもつらいことになります。すぐに耳鼻咽喉科か内科を受診しましょう。細菌が原因の場合は抗生物質の内服や点滴で改善することが多いです。

——インフルエンザの場合、医療機関ですぐに検査ができるのでしょうか。

遠山医師:たいていの耳鼻咽喉科、内科では「迅速検査キット」を使用しての検査が可能です。綿棒で医師が患者さんの鼻やのどの奥の粘液をぬぐって検査をし、約15分で陰性か、陽性の場合はA型かB型かの結果がわかります。

ただこの検査は、熱やせきの発症後、12~48時間の間に受けることで適切に判別されるものです。それより早いと、陽性であってもウイルスの量が少なくて陰性となることがあります。もちろん、症状がつらい場合はすぐに受診してほしいのですが、タイミング的に検査で判別できない場合は、12時間経過以降に再度の受診が必要になります。

花粉症と風邪の違い

——1月以降になると、花粉症の場合も症状が現れます。初めて花粉症になってくしゃみや鼻水の症状が現れると、新型コロナやインフルエンザかもと思って不安になりそうです。見分けかたはありますか。

遠山医師:花粉症、つまり季節性アレルギー性鼻炎の場合は、熱はほとんど出ません。出ても37度5分ぐらいまでです。せきもあまり出ません。

アレルゲンである花粉を吸い込むと、アレルギー症状の鼻水、鼻づまり、くしゃみが出て、目から入ると涙、目のかゆみ、充血がひどくなります。

花粉症は習慣性の病気と思われがちですが、急に発症する人はとても多いです。昨年まで何の症状もなかったのに、ある日突然に症状が現れることもあります。鼻水がサラサラで水っぽい場合は花粉症の可能性が高いでしょう。

アレルギー性鼻炎かどうかは、耳鼻咽喉科や内科で血液検査をするとわかります。鼻粘膜誘発テスト、皮内テストやスクラッチテストなどを実施する場合もあります。

いずれにしろ、冬はこれらのウイルスによる感染症の流行シーズンであり、また1月以降はスギ花粉が飛散する時期でもあります。どれにかかっても不思議ではありません。新型コロナ対策を基本に、可能な限りの予防を徹底していきましょう。

聞き手によるまとめ

風邪、インフルエンザ、新型コロナ、花粉症はそれぞれの症状に違いがあるということです。症状が現れると冷静な判断は難しいと思われます。どの病気にもかかる可能性があるシーズン、元気なときにこれらの特徴を知っておき、また問い合わせ先もメモやスマホに保存しておき、予防を行ったうえでいざというときのために備えたいものです。

なお、ワクチンについては次の記事をご参照ください。

インフルエンザと新型コロナは同時流行する? ワクチンを打つ順は?【専門医に聞く】

(構成・取材・文 品川 緑/ユンブル)

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