30代女性に高血圧が増えている…原因と改善法【臨床内科専門医が教える】

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30代女性に高血圧が増えている…原因と改善法【臨床内科専門医が教える】

高血圧は「中年以降の病気」というイメージを持っていませんか。しかし近ごろでは35歳以下で高血圧と診断される「若年性高血圧」と呼ぶ症状の人が増えていると聞きました。

そこで、臨床内科専門医で正木クリニックの正木初美院長に尋ねると、「最近、健康診断などで高血圧が発見される30歳前後の人が増えています。そのころから高血圧が続くと、頭痛、息切れ、めまいなどの不調が出て、40歳以降には心臓や脳の病気などが生じる可能性がとても高くなります」ということです。

アラサー世代の高血圧の原因や症状、改善法について詳しく聞いてみました。

上が140以上、下が90以上なら高血圧

はじめに正木医師は、血圧とはなにかついて、こう説明をします。

「血圧は、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す圧力のことです。血管は柔軟な筋肉でできていて、自在に収縮することで血圧をある程度一定に保っています。しかし、血管が硬く細くなったり、血液量が増えたりすると、血管の壁への圧力が高くなって高血圧を引き起こすのです」

次に、高血圧と診断される基準について、「日本高血圧学会が示している高血圧の診断基準は、『収縮期血圧(上の血圧)が140㎜Hg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90㎜Hg以上』です」と正木医師。

では、血圧は低いほうがいいのでしょうか。正木医師は次の説明を続けます。

「健康にとっては、上の血圧が120㎜Hg以下、下は80㎜Hg以下の状態に保つことが理想です。しかし、血圧は低ければ低いほどよいというわけではありません。低血圧に関してはいまのところ明確な診断基準がありませんが、おおむね、上が100㎜Hg以下は低血圧とされ、それにともなって、めまいや倦怠(けんたい)感などの症状がある場合は治療が必要になることもあります」

血圧は高すぎても低すぎても健康によくないということです。

アラサーの高血圧の原因は食生活とストレス

正木医師は、高血圧の種類について原因別にこう解説します。

「高血圧には、肥満や暴飲暴食などの生活習慣が原因の『本態(ほんたい)性高血圧』と、内臓の病気が原因の『二次性高血圧』があります。一般にはどちらも、高血圧と呼ぶことが多いでしょう。30 歳前後では、最近は不規則な食生活やストレスなどによる本態性高血圧が増えています。

食生活では、10代から塩分が濃い味付けや、脂質が高い揚げ物やスナック菓子、ファストフードなどを好んで食べる、またお酒の量が多いなどは高血圧の大きな原因になります。

塩分を多くとりすぎると、体内にナトリウムと水分が溜まって血圧が上がります。また、溜まったナトリウム、水分を腎臓からこし出して排せつするため、さらに血圧が上昇するようになります」

塩分や脂質が濃い食事やストレスの蓄積が高血圧をまねくということです。

高血圧は自覚がないから恐い

高血圧は自覚症状がほとんどないということですが、その弊害について正木医師はこう伝えます。

「高血圧では、最初に話した頭痛や動悸(き)、肩こりなどが起こることがありますが、実はそれもなくて見過ごされているケースが非常に多いのです。やがて、年齢とともにこわい合併症を引き起こすようになります。とくに、30代は自分の血圧に関心がない人が多いので、40歳以上になって合併症を発症して初めて発見されるケースも少なくありません」

その高血圧の合併症について、
「高血圧は血管の壁を強く押している状態ですので、高血圧が続くと血管の壁が傷ついて硬くなります。これを動脈硬化と呼んで、健康への悪影響を深刻にします。具体的には、血の塊である血栓(けっせん)ができる、血管が詰まるなどして、それが心筋梗塞、腎臓病、脳卒中など全身に複雑な合併症を引き起こし、命に関わることもあります」と正木医師。

女性は更年期ごろに血圧が上がりやすい

ここで、「とくに30 代の女性はいずれ迎える更年期に向けて、血圧に注意する必要があります」と指摘する正木医師は、その理由をこう伝えます。

「女性は閉経の前後の45~55歳ごろに更年期を迎えます。そのころに女性ホルモンの分泌が低下し、血圧を調節する自律神経のバランスが乱れて血圧が上昇しやすくなります。

また、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクも高まり、高血圧と相まって動脈硬化が急激に加速することもあります。更年期の前から高血圧を発症している人は、更年期になって脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を引き起こす可能性もあるのです」

更年期を乗り越えるためにも、30 歳前後から血圧に意識を向けていきましょうということです。

セルフケアには食生活とストレスの改善を

では、適正な血圧を維持するにはどうすればいいのでしょうか。正木医師は次のように話します。

「まずは、病院で高血圧の原因を調べることから始めましょう。食生活やストレスが関わっている本態性高血圧は、問題となる生活習慣を改善することで血圧を下げることが可能です」

高血圧の原因となる生活習慣には、塩分のとりすぎ・カロリーのとりすぎ・運動不足・睡眠不足・ストレスなどが挙げられます。また、30代には少ないですが、喫煙も大きな要因となります。

自分で予防や改善をするには、この原因を取り除くことです。まずは塩分やカロリーをひかえめの食事にすること、次に適度な運動をしてや睡眠時間を確保し、ストレスを発散することがポイントになります。

また正木医師は、「血圧は些細なことで変動し、病院や健康診断を受診しているときにだけ上昇する人もいます」と言い、次のアドバイスを加えます。

「家庭用の血圧計が家電店やドラッグストアで購入できます。自分の血圧の状態を知るには、2週間ほど毎日血圧を測って記録し、その平均を見てください。一時的に血圧が上がっている場合でも、毎日の血圧が適正値ならば特段に心配する必要はないでしょう。そのうえで、2週間、朝や晩の決まった時間に血圧を測って、上が140㎜Hg以上・下が90mmHg以上の日が7日以上ある場合は内科を受診しましょう。その際に血圧の記録を持参すると診療がスムーズになります」

高血圧の傾向にある場合、とくに女性は更年期を迎える前から血圧をコントロールする必要があるということです。まずは自分の血圧の状態を把握し、食事をはじめとする生活習慣を見直したいものです。

(取材・文 成田亜希子(内科医)・藤井空 / ユンブル)

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