きゃー!!! 今夜も女性の悲鳴が聞こえてきました。「どうして言った通りにできないの?」後輩をヒステリックに怒鳴る先輩。彼女は、もしかして「分身をつくりたガール」かもしれないと元外資系OLのずんずんさんは考察します。
成長の遅い後輩にイライラ…
こんにちは! ずんずんです。
会社に新しい人が入ってきたり、後輩ができたりすると、
「がんばって教えよう!」
と思って、やる気が満ちあふれてきますよね。でも正直なところ、時間をかけて教えてあげても、相手が思うように仕事を覚えてくれなかったり、成長が遅かったりすると、イライラしてきてしまうことも確かです……。
しかし、毎日のようにイライラ怒りまくっているのだとしたら、それは相手のせいではなく、自分にも問題があるかもしれませんよ?
今日はそんなMさんのお話です。
叩き上げの苛烈な指導
Mさんは32歳、高校を卒業して、不動産投資会社の営業として男性にも負けずバリバリ働いてきました。その努力は会社に認められ、めでたく先日主任に昇進することができました。しかし、Mさんは部下にめちゃくちゃ厳しかったのです……。
例えば、部下が他部署やお客さんに出したすべてのメールには必ず上司であるMさんをCCに入れねばいけません。そして、Mさんが、気に入らないと思ったメールは部下を呼び出し「こんなんでいいと思っているの?」とプリントアウトしたメールを赤ペンでチェックしはじめます。
なかなか、情熱的な指導です。
それ以外にも部下の話し方が「おかしい!」と思ったら、その部下を呼び出して個室で説教……いやこれまた熱のこもった指導をしていきます。
こんなに指導してくれる上司はなかなかいないと言いたいところですが、部下の方は何をしてもMさんに注意を受けてしまうので、
「一体、何が正しいのかわからない……」と自信喪失して疲弊気味になってしまいます。
Mさん自身も、毎日、毎時間、毎分のように怒っているので、体によくありません。
なぜMさんが、過剰ともいえるほど指導を行っているかというと、実はMさんは「分身をつくりたガール」だったのです…。
「分身をつくりたガール」とは、このような細かすぎるマイクロマネジメントによって自分の分身(クローン)をつくろうとするガールのことです。
仕事のやり方、メールの書き方、しゃべり方、ひいては服装まで、自分と同じになるよう指導していけば、自分と同じ能力を持った人間ができあがると信じているのです。
そんなクローンがたくさんできあがれば、仕事もはかどり、効率もあがってスーパーハッピー!……と言いたいところですがそううまくはいきません。細かすぎるとMさんの部下のようにつぶれてしまうんですね。
しかし、「分身をつくりたガール」が自分のクローンを量産しようとするのは、果たして仕事の効率のためだけでしょうか?
彼女が烈火の如く怒る理由
「分身をつくりたガール」は、部下が自分の指示以外のことをしたりすると、烈火の如く怒りだします。はたからみると「ちょっとなんでそんなに怒るの?」と思うかもしれません。
実は「分身をつくりたガール」はすごく心配性なんですね。自分の指示した以外のことによって、自分の予想の範囲外のことが起こってしまうと「どうしよう!」とパニックになってしまうのです。そのパニックが怒りとして出てくるんです。
でも、予想外のことを恐れてパニックになって、怒ってばかりでは大変ですよね。仕事ってすべてが自分の想定範囲内で終わったらそれはそれで楽しいですが、面白みがないと思いませんか?
以前、私がお会いした30代の起業家の方がこうおっしゃっていたのを覚えています。
「仕事ってカオス(混沌)を愛することですよ。カオスからすべて生まれるじゃないですか」
この方は上場間近のITベンチャーを経営されていたんですが、若くして成功する方はやっぱり違うなぁと思ったものです。
仕事で成功したいなら、やはり予想外のことが起こって当然だと思わなければいけません。マイクロマネジメントもいいですが、それは部下の自主性や創造性も奪ってしまうことになります。
ちょっと怖いけど、部下を信頼して任せることが、自分にとっても部下にとっても成長につながります。仕事の効率をあげるには、その方が、クローンを作り出すより重要かもしれません。
さてはて、Mさんの方ですが、結局Mさんのマイクロマネジメントに耐えられる人材は少なく……入っても半年ぐらいで辞めてしまう人が多発しているそうです。
このままのやり方を続けられるわけもなく、Mさんも変わらなきゃいけない時がきたのかもしれませんね……といったところで今日は失礼します☆