戸田久実さんに聞く、オンナのヨユウ 第3回

「不安にはつかみどころを作ること」戸田久実さんに聞く不安解消法

「不安にはつかみどころを作ること」戸田久実さんに聞く不安解消法
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年を重ねるごとに、経験を生かしてどんどん軽やかになる女性がいる一方で、「聞く耳を持たない先輩」や「頭の固い先輩」になってしまう女性も……。

30代は、後輩や部下も増え、仕事の責任も増していく世代です。一本芯の通った女性として、頑固になりすぎずに上手くコミュニケーションをとるには、どんなことに気をつけたら良いのでしょうか。

『働く女の品格 30歳から伸びる50のルール』(毎日新聞社)の著者で、アドット・コミュニケーション代表取締役の戸田久実さんに、働く女性が知っておきたい心構えについてうかがいました。

第3回のテーマは「人と比べたくなる気持ち」の取り扱い方です。戸田さんが教えてくれる、思い込みやとらわれに気づく方法とは?

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【第1回】あいさつをしない後輩にも背景がある
【第2回】「注意してもらえない」中堅世代どう乗り切る?

70点でも精一杯なら自分にマル

——前回は、いまの自分をありのまま受け入れる「自己受容」について教えていただきました。自己受容がうまくいかない理由の1つに「人と比べてしまう」ことがあると思います。

戸田久実さん(以下、戸田):比較が気になるのなら、100点満点のうち70点しか取れていないと感じても「70点も頑張った!」と、自分を認めること。「私は0からはじめて100には到達していないけど、70までは頑張ったじゃないか」と。

——ウートピを読んでいる読者の方の世代は、比較的「70まで頑張ったのに、30ができなかった」と、30のほうに焦点を当ててしまいがちです。「できないこと」に罪悪感があるというか……。結果重視になってしまっているのでしょうか。

戸田:そうですね。周りからの評価というものは大切なんですが、私はプロセスを見ることも同じくらい大切だと考えています。これは、30代になったら結果を得ることを諦めろと言っているのではありません。本当に限界だと見極めたのであれば「そうか、私はこの場合は70まで頑張る努力をしたんだけれども、30は“いまはできなかった”」で良いと思うんですよ。できないことだけで判断するのではなく、今回70まで頑張れたことを、自分の人生にとって意味がある経験だったと評価してあげること。

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今の自分の延長線上になりたい自分を描く

——「自分のプロセス」に集中できないのって、他の人とつい比べてしまう思考のせいもあるのかなと思うんですね。同僚とかで「この子はできているのに私は……」とか。

本の中で「ロールモデルを探す必要はない」というお話があったんですけど、そういう比較対象だったり、目指す人がいなかったりする状態で、自分の40、50、60代を想像するのって難しいような気がして……。先のことを想像するために、自分のどんなところを見てあげたらいいですか。

戸田:まず自分がどうありたいかをじっくりと考えてみる。もちろん、理想とする人がいたら「こうなりたいなあ」とイメージができるから、そこに向かいやすくはなるのだけれども、自分の人生において、職業にしても家庭にしても、いろんな分野があるじゃない? 仕事だったら5年後、10年後、どんな風に働いていたいかな。家庭だったら、結婚する人や家族とどんなパートナーシップを築いていきたいかなとか。

——具体的には、どんな風に考えていくと良いですか。

戸田:たとえば、考えやすい趣味の分野でも良いと思うんですよ。私だったら、いまゴルフをはじめたところなんです。「5年後もゴルフをやっていたい」「そのとき、スコアは100を切るようにしたい」とか、そういう些細なことで大丈夫。

あるいは、私はアンガーマネジメントに関する本も書いているのですが、アンガーマネジメントはアメリカから入ってきているので、アメリカの勉強会や研究会に行くことがあります。いまは同時通訳の方がいらっしゃるから大丈夫なんですが「5年後には、通訳がいなくてもある程度のことは理解できるよう、英語を上達させたいな」とか。とにかく、いまの自分の延長線上で自分がどうありたいかという軸を決めることが大事ですね。

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不安の「つかみどころ」のつくりかた

——30代の特に女性は、結婚出産など人生が大きく変わるライフイベントが多く、選択肢がありすぎて先のことを考えるのが怖い、面倒くさいという人もいると思います。将来への不安との向き合い方を教えていただけないでしょうか。

戸田:本にも書いたのですが、不安を感じることは必ずしも悪いことではないと思うんです。なぜなら、不安があるから将来に対して現実的な対処行動ができるから。ただし、あまりにも大きく不安を育ててしまうと、自分がそれに潰されてしまいますよね。じゃあどうするかといったら、「私は何が不安なのかな?」って、書き出してみるんです。何かいま不安はありますか?

——このまま独身でいることが不安です。

戸田:独身でいることの、何が不安なの?

——ええと……、家とか大きな買い物ができないんじゃないかって。あ、でも、独身でも家を買っている女性はいますね。

戸田:そう。いまおっしゃったように、「これができない」っていうのは思い込みでしたね。具体的に不安を書き出してみることで、それは対処が必要な重要な不安なのか、それとも思い込みやたいしたことがない不安なのか整理できます。それができたら、あとは行動していくだけ。

つかみどころがない状態でモヤモヤと放置するのではなく、ちゃんと不安のつかみどころを作ってあげると、それだけでも安心できますよ。

(取材・文:むらたえりか、写真:青木勇太)

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