仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。理想の自分になるためにがんばってはいるけれど、時々しんどくなってしまうことも。
今回、ウートピでは、そんな悩ましい両立について、改めて問い直してみるキャンペーンを始めました。その両立は貴女の人生に本当に必要なものなの? 貴女が幸せになれる両立ってどんなカタチ? 一度、一緒に考えてみませんか?
コンピュータ周辺機器メーカー「エレコム株式会社」(本社:大阪市)のヘルスケアデバイスチームでチームリーダーを務めている岩井眞琴さん(38)。
20~30代の女性向け医療・美容機器ブランド「エクリア」を立ち上げるなど、まだまだ男性向け製品を出しているイメージが強いエレコムの中で、女性をターゲットとしたブランドの存在感を出すべく奮闘しています。プライベートでは12歳の女の子のシングルマザーといいます。
ウートピ世代から見たら「デキる先輩」の岩井さん。「働く女性」っていうと、「輝け」や「仕事と家庭の両立」なんて言われているけれど、実際はどうなんですか? ということで、岩井さんにお話を聞きました。
先輩、「両立」できる気がしないです
——このたびはインタビューを引き受けてくださり、ありがとうございます。今回、ウートピでは「両立って何だろう?」と考えるキャンペーンをスタートするんですが、実際に働いている女性に「両立」について伺えればと思ったんです。
岩井:そうなんですね、よろしくお願いします!
——世間で「働く女性」というと必ずと言っていいほど「仕事と家庭の両立」って言われると思うんですが、それがちゃんとできている人ってどのくらいいるのかなーって思って。そもそも「両立」って必要なのかな? とか考え始めちゃったことが今回のキャンペーンの発端なんです。
私は独身で子どももいませんが「両立」って言われるととてもじゃないけれど自分にできる気がしないんです。自分のことでいっぱいいっぱいなんです。
岩井:両立かー。そうですね……。私も「両立」がよくわからないんですよね。「両立」と言われて、(仕事をしながら)家事をしているのが両立なのか、子どもとしっかり対話することが両立なのかわからなくて。
今は子どもと毎日会話して、娘も悩みも相談してきてくれているので、「まあ、できているのかな」って思ってますが(笑)。
みんなが通る道?「全部自分でやろうとしていた」時代
——そういえば、岩井さんはシングルマザーって伺ったんですが、夫の助けがない分、子育てはさぞや大変だったのかなと思いました。
岩井:「大変だったか?」って言われると大変な記憶もあまりないですよね。私は24歳で結婚して、26歳で妊娠、産休を取って娘が6ヶ月のときに離婚をしたんです。離婚後、実家に帰ったんですが、保育園のお迎えから病院に連れて行くのも全部一人でやらなければと思っていたので確かにそれはしんどかったですね。
——せっかく実家にいるのに親御さんに手伝ってもらおうとは思わなかった?
岩井:20代の頃は全部自分で抱え込んでいました。仕事のやり方もそうでしたね。全部自分でやろうとしちゃう。他人に任せたくなかったんです。子育ても自分のやり方があるからと言って、親には頼らなかった。しんどかったですね。
——「全部自分でやろうとする」というのは私もかなり心当たりがあります。今もそうかも……。
岩井:そういえば、子どもが1歳くらいの時に12時くらいまで仕事してたことがあったんですが、母から電話で「(娘が)泣いてるやないの、そんな会社辞めてしまいなさい」って罵倒されたこともありましたね。父が病気で入院してということも重なって、あの頃はすごく辛かったですね。
今は娘も小学6年生になって楽になりました。でも、友人の主婦の話を聞いていると、大変そうだなって思います。
——それはなぜですか?
岩井:彼女は子どものオムツ外れとかお箸の持ち方とか、全部自分の責任って感じているので。私は保育園に預けていたので気がついたらオムツが外れて「えらいねー」って褒めて、娘の成長に喜びを感じてました。「これもできるようになった!」「あれもできるようになったの?」って、ほんと、ただ褒めていただけのような気がします。
——へえー、そういう話はあまり聞かないので新鮮です。
岩井:保育園の先生がいろいろ教えてくれるので、気がついたらできていた。だからもう、子どもに対して尊敬しかないです。
人に任せるのも大事だなと思いました。私なんて娘が保育園から帰ってきたら「今日も頑張ったね」ってぎゅーって抱っこして「大好きだよ」って毎日心から言える。働きながら子育てってそこまでしんどくないんだなと思いました。
たまには人に任せてみたら?
——子育てでも仕事でも、今の女性は一人で責任を抱え込みすぎるという面はあるのかもしれないですね。
岩井:そうそう。「子育ては自分で全部やらなくちゃ」とか「責任を取らなきゃ」って必要以上に思う必要はないんじゃないかって。人に頼りきるということではなくて、人に任せるのは人を信用することにもつながると思うんです。
——なるほどー。私にも後輩がいるんですがなかなか任せられなくて、つい自分でやろうとしちゃうんです。それって相手を信用していないってことなのかな……。
岩井:私も人を信用するのは20代では難しかったです。なんででしょうね? もしかしたら、それって自分を信用していないのかも……。信用できる基準がわからないから相手を信用できないのかもしれない。
——確かに。でも岩井さんもそんな20代があったんですね。次回は「なんでも自分でやろうとしていた」20代の頃の話を聞かせてください。
※次回は9月13日(水)公開です。
(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)
「#両立って必要?」キャンペーンがスタート
「仕事と家庭」「恋愛と仕事」「有能さと可愛げ」などなど……私たち働く女性の周りにはたくさんの両立が存在します。「どっちも手に入れたい!」という人もいれば「でもそれも大変そう」という人や「そもそもそんなこと意識したことなかった」という人もいるのでは?
そんな「両立」について、ちょっと立ち止まって考えてみない? というわけで、ウートピ編集部では9月11日から「#両立って必要?」キャンペーンをスタートしました。あなたが普段感じていることをハッシュタグ「#両立って必要?」をつけてSNSでつぶやいてください。皆さまからの生の声をお待ちしております。