「養う/養われる」じゃない家族のカタチ  落合博さんの場合 第2回

仕事を1日6時間にしたのは「家族と夕飯を食べるため」ある書店の店主の働き方

仕事を1日6時間にしたのは「家族と夕飯を食べるため」ある書店の店主の働き方

「一家の大黒柱」と聞いて多くの人がとっさにイメージするのは男性です。しかし今、そんな世間一般の考え方にとらわれず、柔軟に互いのキャリアをサポートしつつ、子育てをしている夫婦もいます。銀座線田原町駅から徒歩2分の場所にある新刊書店「Readin’ Writin’ BOOKSTORE(リーディン ライティン ブックストア)」の店主、落合博さんもそのひとり。

落合さんは55歳で子どもが生まれたのをきっかけに将来を考え、新聞社を早期退職しました。主収入を稼ぐ“一家の大黒柱”の役割を看護師のパートナーに替わってもらい、58歳で書店を開業。家事・育児・仕事のルーティンを回しながら長く働き続ける方法を探っています。

「イクメンという言葉はあるけど、イクウィメンという言葉はない」と話す落合さん。性別によって色付けされたステレオタイプを超えて、夫婦でどのように家事を分担しているのか詳しく聞きました。

第1回:僕には“変”って褒め言葉なんです

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仕事を1日6時間に抑えた理由

——落合さんの現在の1日のスケジュールを教えてください。

落合博さん(以下、落合):日によって時間が多少ずれますが、看護師の妻が「日勤」の日は次のように動いています。

5:30 起床
6:00 朝食
7:00 洗濯
7:30 子どもの朝食、食器洗い
8:30 保育園へ送り、10キロランニング
9:30 再び洗濯、乾いた洗濯物を取り込む
11:00 出勤
12:00〜18:00 書店業務
18:30 退勤
19:00 夕食
22:00 就寝

——朝の家事は落合さんが担当しているんですね。

落合:朝食作りと洗濯はしていますが、妻がつくる夕食に比べれば朝食はコーヒーとトーストくらいの簡単なものですよ。それに、洗濯は洗濯機を回し乾燥機にかけて畳むだけ。妻のほうが比重は大きいと思います。

——書店業務が約6時間というのも、家事をシェアしやすい理由の一つかもしれません。一般企業より短めですね。

落合:そうですね。営業時間を18時までにしたのは、「家族と一緒に夜ご飯を食べたいから」なんです。子どもと一緒に過ごす時間は、人生のほんのひととき。この貴重な時間はあと数年もないと思っているので、今は仕事よりも家族と過ごす時間を大切にしたいんです。

——なるほど。子どもが生まれたと同時に、父性が目覚めたとか?

落合:それはちょっと違います。「自分の子どもってこんなに可愛いんだ!」という驚きはありました。でもそれは父性というより、親として子どもを思う気持ちだと思います。

男性が育児をしていると「イクメン」と呼ばれますが、女性が育児をしていても「イクウィメン」とは言われませんよね。ことさら男性を持ち上げるのも変な気がして。性別は関係なく、等しく“親”であると思っています。

ただ我が家の場合、僕が子どもに夢中になりすぎているかもしれません。先日子どもへのプレゼントでTシャツを買ったのですが、妻も欲しかったようで。あとから、「まるで私がいないみたい」と言われました。あの日は反省しましたね。僕が子どもを甘やかしすぎている面もあります。

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成長の鍵は「周囲の力を借りる」「ルーティンを回す」

——書店に立ってもらうなど、夫婦で仕事をシェアすることはありますか?

落合:いえ。この店は僕の仕事なので、妻は基本的にノータッチです。妻には看護師という仕事があるので、書店の仕事に妻を引っ張り込むようなことはしたくないと思っているんですよ。

家族を巻き込むより、近隣の店舗の方と連携したいと思っています。例えば先日は、他の店舗を利用している落語好きな女性を紹介していただき、落語会を定期的に開催しています。

またここではコーヒーも提供しているので、隣にある洋菓子店「レモンパイ」の商品を購入された方は2階のスペースでコーヒーを飲みながらケーキを食べることもできるんですよ。家事や育児の分担と同じように、近隣の店舗同士でできることとできないことをオープンにして、相互的に補助できる関係になれたらと思っています。

そして将来は、この建物を一棟まるごと借りたいなと。書店以外のスペースをコワーキングスペースにしたり、宿泊施設にしたり。僕一人の力では到底できないので、周囲の皆さんとアイデアを出し合って、いつか形にしたいですね。

——他人力の活用ですね。……とはいえ、何事においても初挑戦だとうまくいかないことが多々あると思います。落合さんはどうやって壁を乗り越えていますか?

落合:思い通りにいかないときこそ、きっちりルーティンを回すようにしています。仕事はランニングに似ているから。体調に合わせてコースやスピードは調整するけれど、ルーティンは変えない。そうすれば、自然に体ができていくんです。

僕にとって家事はルーティンの一つ。積み重ねていくと気持ちがいいものなんですよ。だから売り上げがよくないときに焦って仕事に打ち込むのではなく、普段やっていることをきちんとやる。手間暇かけることを厭わない。ルーティンを守ることで自分の店を育て、家族との時間を大切にしていきたいですね。

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Readin’ Writin’ BOOKSTORE(東京都台東区寿)
最寄り駅:東京メトロ銀座線『田原町』駅下車 徒歩約2分
営業時間:12時〜18時  月曜定休

(取材・文:華井由利奈、撮影:大澤妹、編集:ウートピ編集部 安次富陽子)

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