峰なゆかさんインタビュー最終回

峰なゆかが結婚よりも離婚のほうが「めでたい」と思う理由

峰なゆかが結婚よりも離婚のほうが「めでたい」と思う理由

「週刊SPA!」にて2011年に連載がスタートした漫画『アラサーちゃん』。主人公の“アラサーちゃん”はじめ、“ゆるふわちゃん”“ヤリマンちゃん”“オラオラくん”“文系くん”など個性的なキャラクターに自分や自分の周りの人を投影し、思わず引き込まれていったという人も多いのではないでしょうか。

2019年11月、約8年の連載期間を経て、ついに最終巻が刊行。自身もアラサー期間を漫画とともにかけぬけ、現在35歳になった、著者の峰なゆかさんにお話をうかがいました。

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男女が逆なら…と考えると見てくるもの

——『アラサーちゃん』の作中では、「男女が逆だったらどうなるか?」という発想で描かれていたネタがけっこうありますよね。それは掲載誌の読者に男性が多いことを考慮してのことでしょうか?

峰なゆかさん(以下、峰):私がよくそういう考え方をしがちなだけで、男性読者に向けてっていう感じではないんですよね。ただ、男目線のネタが思いついたらなるべく入れるようにしていました。「こういうこと言う女いるよね」みたいな。

——30も半ばになると、「これ、男女が逆だったら気持ち悪い!?」ということがよくありまして。たとえば、32歳になる友人が10歳年下の男性にキュンとしたと同時にゾッとしたと言っていまして。「社会人10年目で成人2年目の男子にときめいているんだよ?」って。

峰:全然気持ち悪くないですよ。32歳が22歳の異性に……って全然普通じゃないですか。未成年だと問題ですけど。

——自分が22歳のときにこの人12歳、小学生だったんだなぁと思うと「やばっ」って思うようです。

峰:いや、時間は巻き戻す必要ないじゃないですか。自分が80歳になったとき、相手は70歳ですよ。変わらなくないですか?

——その世代になってみないとなんとも言えませんが、時間を巻き戻すより気にならない感じはしますね。これまでおじさんが若い子にワンチャン狙ってるみたいなのをさんざん見てきて、それを気持ち悪いと思っていたから、そうはなりたくないという恐怖を必要以上に感じているのかもしれません。

峰:そういう下心がなければ大丈夫じゃないですか? 32歳と22歳なんて、全然普通だと思うけどな。

「されて嫌なことはしない」という発想がない

——男女問わず、上の世代にされたことを下の世代にしたくないって、過剰に考えてしまう節はありますよね。『アラサーちゃん』の作中では、“中年くん”が自分の世代の話を楽しそうにしているのを“アラサーちゃん”が「クソつまんねえんだよ」って思いながら聞く回がありました。でも“アラサーちゃん”自身も、若い子に接したときに自分の世代の話をしちゃって、「クソつまんねえのはわかってる! でも楽しいんだよ!」って。

峰:私個人の話で言えば、「自分がやられて嫌だったから、相手にもしないようにしよう」みたいな発想は全然ないんですよ。だって、自分が他人に嫌なことをしないようにしたからといって、他人が私に嫌なことをするのをやめてくれるわけじゃないし、過去にされた嫌なことがなかったことになるわけでもないじゃないですか。

女性でも、30代になると若い男性にセクハラしないように気をつけるようになりますよね。特に自分より立場が下の人に対して。私もセクハラには気をつけていますが、それはモラル的な話ではなく、単純に「#MeTooとかされたら嫌だな」という観点からなんです。

——過去にされて嫌だったことと、今自分がすることは切り離して考えていい、と?

峰:いいんだよとは思わないです。他人には、なるべく節度を守って「自分が嫌なことは他人にはやらない」みたいな生活を送ってほしい。私は特に自制せずに生きていきますけど。だから、自分が50代の男性と結婚するのとかは絶対嫌ですけど、自分が50代で若い子と結婚するのは全然かまわないって思います。

——自分の欲望をちゃんと理解しているからこそ、筋が通ってますね。ちなみに、峰さんの今の欲望ってなんでしょう?

峰:なんだろう? 『VERY』の読者モデルになることかな!(笑)

ハッピーじゃなければエンドじゃない

——ネタバレになるから詳しくは書けませんが、最終巻の結末は意外でした。峰さんは、“アラサーちゃん”が幸せになる瞬間ってどういうときだと思いますか?

峰:最後の4コマのタイトルが「ハッピーじゃなければエンドじゃない」なんですけど、そのタイトルを見て「あっ、だからアラサーちゃんはまだ終わってないんだ」って思った人と「これで終わりなんだ」と思う人がいると思うんですよね。ちなみに、「ハッピーじゃなければ~」は「死ねばいい」に並ぶ宝塚名台詞のひとつです。余談ですが。

——最後をハッピーととるか否かはどちらでもいい?

峰:そうですね。私、「〇〇を××して幸せになりました」っていうのがよくわからなくて。たとえば、結婚することを単純に「幸せになった」と表現するのもめちゃめちゃ気持ち悪くてすごく嫌いなんです。結婚してからずっとハッピーMAX状態のやつなんていないし、むしろ離婚のほうがめでたいですよね。

——なぜですか?

峰:結婚しても幸せになるか不幸になるかわかんないけど、離婚するのは少なくとも不幸な状態から脱出できるわけだから、めでたいじゃないですか。

——離婚という手で解決に向けて踏みだしたわけですもんね。

峰:そうです。なので、幸せについて補足すると、“アラサーちゃん”にそんなでかいイベントが起こらなくても、単純に“文系くん”に片思いしていて幸せだったときもあるだろうし、セックスができて幸せだったときもあるんだろうし。そういうもんなんだと思います。幸せになろうと思って行動すると不幸になる気がします。

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何が幸せかより、目の前の楽しいことを選びたい

——幸せになろうと思って行動すると不幸になる。それ、すごいわかります。その場を幸せだなと感じるくらいが幸せだったりします。峰さんにとって、幸せってそんなものだという達観なのか、それともあえて幸せとか考えなくていいということでしょうか?

峰:私の中で幸せっていうのは、マイナスイオンとか血液クレンジングみたいな感じのものになってるんで、もうその単語が出てくるだけで、おお……となる(笑)。

だから私は、単純に目の前の楽しいこととか心地良いことみたいなのをなるべく選ぶようにしています。「何が幸せか?」とか考え始めちゃうと、ちょっと不安ですよね。

——「幸せになりたい」と考える時点で、「自分は今幸せじゃない」と言ってるのに等しいですもんね。そりゃ不安にもなります。最後に、反響が一番大きかった回とか、ご自身で一番印象に残ってる回はありますか?

峰:便秘の時にセックスをすると、ちんこの感触で膣越しにうんこの存在がわかるっていうのがベストネタかな(笑)。

——(爆笑)。あれはすごかったですね! ドキッとした人、多かったと思います。

峰:なんか手マンとかでもけっこうわかるみたいですよ。

——聞くに聞けないですけどね。「いま、うんこの存在感じる?」なんて。

峰:自分で描いたけど、自分で読んでもショック受けました。ふふふ。

(取材・文:須田奈津妃、撮影:面川雄大、編集:安次富陽子)

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