白髪染めの悩みを美髪プロが解決/第3回

白髪用カラートリートメントをうまく活用するコツ【美髪プロに聞く】

白髪用カラートリートメントをうまく活用するコツ【美髪プロに聞く】

白髪染めを自分で美しく仕上げたく、カラー選びから塗りかた、リタッチの上手な方法などについて、「Hair salon aruca」(福岡県北九州市)のオーナーで美髪を追求する三谷遥さんに連載で尋ねています。

第1回は白髪染めの色選びのコツについて第2回は生え際のリタッチセルフカラーのコツについて教えてもらいました。今回は、白髪染めをしたいけれど、忙しくてその余裕がない、面倒に思うときの選択肢として知られる、「カラー(白髪用)トリートメント」について、きれいに染めるコツ、メリットやデメリットについて聞きました。

「カラートリートメント」と「白髪染め剤」はどう違う?

——カラートリートメントは、お風呂で手軽に使える一方で、一般の白髪染め剤に比べると染まりかたが弱いと言われます。まず、カラートリートメントと一般の白髪染め剤ではどう違うのでしょうか。

三谷さん: カラートリートメントとは、お風呂で洗髪時にシャンプーの後に使用するだけで白髪が染まる、という製品です。

一般の白髪染め剤は髪の内部まで染めますが、カラートリートメントの場合は、表面に成分の色素を付着させて染めます。

それぞれに薬剤の性質が違い、白髪染め剤は2つの液を混ぜて使い、やや刺激やにおいがあるタイプが多いでしょう。こちらは「医薬部外品」であり、「染毛剤」に分類されます。

カラートリートメントのほうは混ぜる必要がなくて、普通のトリートメント同様に使うだけで染まるという特徴があり、刺激もにおいも弱いです。こちらは「化粧品」であり、「染毛料」に分類されます。

こうした特性から、1回あたりの染まりかたのみに注目すると、カラートリートメントは一般の白髪染め剤よりは染まりにくいといえます。ただし、ほかのメリットにも注目してから、自分に合うほうを選ぶ、またはそのときどきで使い分けるといいでしょう。

カラートリートメントは髪が傷みにくい、手軽に使える

——次に、カラートリートメントのメリットを教えてください。

三谷さん: 美容師の視点では最大のメリットは「セルフ用の白髪染め剤に比べて、髪が傷みにくい」という点です。その理由は、カラートリートメントの着色成分は毛髪の表面に付着する仕組みのため、キューティクルを開かずに傷みを最小限におさえられるからです。

ヘアケア成分やツヤが出る成分も入っていて、トリートメントとしても作用するので、髪のダメージが目立つときやツヤがないときに選ぶといいアイテムです。

次に、使用方法は、日常的に使っているトリートメントをカラートリートメントに変えるだけなので、「手軽」、「時短」、「素手で扱える(かぶれやすい場合はビニール手袋を着用してください)」、「カラーが肌についても洗い流せばとれやすい」などの利便性があります。

ひとつ注意は、普通のトリートメントに比べるとケア成分は少なめなので、カラートリートメントをしてからアウトバス用の「洗い流さないトリートメント」や「ヘアオイル」と併用するといいでしょう。

——デメリットは、染まり方が弱いということでしょうか。

三谷さん: 染まりかたが弱いから髪に負担が少ないので、それをデメリットと考えるかどうかは人それぞれでしょうね。

製品によりますが、カラートリートメントは、使い始めは3~5日ほど続けることで染まっていきます。その後は2~4日に1回ぐらいの頻度で使用すると安定して染まっていく場合が多いでしょう。近ごろは、「1回で染まる」とうたう製品も販売されているので、説明書をよく読んで自分の希望に合うタイプを選びましょう。

もとよりダメージヘアの場合は、白髪染め剤を使っても染まりにくかったり、ムラが出たりするように、カラートリートメントでも同じことになります。美しく仕上げるためには、日ごろからヘアケアを実践していきましょう。

一般の白髪染めとうまく併用するコツは

——白髪染め剤でセルフカラーをするか、美容院で染めたあとで、その色を少しでも長くキープするためにカラートリートメントを活用するコツを教えてください。まず、カラー選びはどうしましょうか。

三谷さん: コツとして、できるだけ現状の髪に近いカラーを選ぶこと、迷ったら、白髪染め剤で選んだカラーより「1トーン明るめ」を選んでください。暗めを選ぶと、次に明るくしたいときには希望どおりに明るく染まらないので、その点に注意しましょう。

——白髪染めのあと、カラートリートメントを使い始めるタイミングに迷います。

三谷さん: 白髪の量によります。「白髪が全体の半分以下の場合は、白髪染め剤で染めてから約1カ月半後」、「白髪が全体の約半分の場合は約1カ月後」、「白髪が全体の半分以上の場合は2~3週間後」を目安にしてください。

ただしこれらはあくまで目安なので、「白髪が目立ってきたな」と思うタイミングでカラートリートメントを使ってみてください。

それでも、白髪染め剤とカラートリートメントでは材質も仕組みも違い、また毛髪の質やケアの状態に影響されるので、染まり具合が違ってくることは必然といえます。それを避けたいときは、美容院で染め直しやリタッチをするのが得策でしょう。

カラートリートメントを上手く塗るコツ

——カラートリートメントをムラなく上手に塗るコツはありますか。

三谷さん: まずは、「シャンプー後にしっかりとタオルドライをする」ことです。毛髪は吸収する水分量が決まっているため、それ以上の水分が毛髪にたまっていると、カラートリートメントを塗っても水分とともに流れ落ちてしまいます。

さらに、毛髪が濡れると表面のキューティクルが開くため、カラートリートメントの着色成分が付着しにくくなります。

塗りかたとしては、白髪染めをセルフでするときと同じように、まずはハケで生え際にたっぷりと塗り、次に頭頂からサイド、後頭部の順に、コームの先で分け目とつくってからブラシで塗っていきます。

全体に塗ったあと、表面だけを塗ることにならないように、髪の下側から両方の指を差し込み、根元から全体にいきわたることを意識しながらもみこんでいきましょう。

時間に余裕があれば、ラップを巻く、その上からタオルやヘアキャップで保温すると染まりやすくなります。

何度か繰り返しても染まりかたが弱い、ムラがある場合は、「タオルドライをしたか」、また前回(第2回)でもお伝えしたように、「塗布量が不足していないか」、「放置時間が短かすぎないか」、「一部だけ塗れていなかったことはないか」、「髪が傷んでいないか」を確認しましょう。

生え際に白髪が目立つ場合、カラートリートメントにもリタッチ用が販売されているので試すといいでしょう。

洗髪の前に塗って放置時間を長めにすると染まりやすい

——カラートリートメントで染まり具合を強くする方法はありますか。

三谷さん: お風呂に入る前に乾いている髪にカラートリートメントを先ほどのように塗って、放置時間を15分~20分ほどと長めにしてみてください。その後に入浴してシャンプーと普通のトリートメントをします。

それでも白髪染め剤ほどはしっかりと染まりませんが、何度か試し、染まり具合を確認して放置時間や使用頻度などを見直すとよいでしょう。

使用を止めると、シャンプーごとに色は落ちていきます。次回は白髪染め剤で染める、美容院で染めるというときには、その3~5日ほど前からカラートリートメントは使用を中止しておきましょう。

聞き手によるまとめ

カラートリートメントは、染まり具合が一般の白髪染め剤に比べると弱いものの、手軽さを始め多くのメリットがあるようです。そこでこれらのアドバイスをもとに3ヵ月ほど使ってみたところ、使うごとに染まりかたが良くなってきてツヤも出るようになり、慣れるとメリットが大きいように感じました。やはりコツは、タオルドライや塗りかた、頻度など丁寧さにあるようです。次回・第4回は、話題の「白髪ぼかしハイライト」についてお尋ねします。

(構成・文 藤井 空 / ユンブル

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

白髪用カラートリートメントをうまく活用するコツ【美髪プロに聞く】

関連する記事

編集部オススメ
記事ランキング