白髪染めを美しく仕上げてキープしたく、その方法やコツを「Hair salon aruca」(福岡県北九州市)のオーナーで美髪を追求する三谷遥さんに連載で尋ねています。
第1回は白髪染めの色選びのコツについて、第2回は生え際のリタッチセルフカラーのコツについて、第3回ではカラートリートメントの活用法について聞きました。
今回は、話題の「白髪ぼかし」というテクニックについて尋ねます。
「白髪ぼかし」と一般の白髪染めは何が違う?
——「白髪ぼかし」とはその名の通り、白髪を染めずにぼかす、というテクニックだそうですが、実際に美容院ではどういうことをするのでしょうか。
三谷さん: 美容院では「白髪ぼかしハイライト」と表現することが多いでしょう。まずは細いラインのハイライトをいくつもつくってから、次に全体に、白髪染め剤ではなくヘアカラー(おしゃれ染め)剤で染めます。
そのため、色や明るさの選択肢が多くて、流行のカラーや希望の色みを選ぶことができます。
仕上がりは、黒髪と白髪の境めがぼかされるので全体として白髪が目立たない、白髪が伸びてきても目立ちにくい、また明るく若々しい印象になる、ボリューム感が出る、ツヤ感や透明感のある髪色、おしゃれ感を楽しむことができるなどのメリットがあります。白髪を生かしたカラースタイルと言えるでしょう。

三谷遥/Hair salon aruca(転載禁止)
白髪が伸びてきても目立ちにくい
——「白髪が目立ちにくく、おしゃれに仕上がる技術」なのですね。ハイライトはどの程度の量をつくるのですか。
三谷さん: ハイライトは、おもに白髪の毛束を細くとって、根元から、頭皮には薬剤をつけずにブリーチ(脱色)をしていきます。そのため、どのぐらいの量をハイライトにするかは、白髪の量とカットのデザインによるので、個人によって大きく異なります。美容師に仕上がりのイメージを伝えて、ハイライトの量を相談しましょう。
——白髪が伸びてきても目立ちにくいのなら、白髪染めの回数を減らすことができますか。
三谷さん: はい、減らせます。白髪染めの場合、白髪が伸びてきたらそこだけ目立ちやすいでしょう。一方で「白髪ぼかしハイライト」では、伸びてきた白髪がほかの髪の色となじみがいいために、目立ちにくいという特徴があります。
そのため、目安として、白髪染めよりは2週間~1カ月は施術の期間を開けることができるでしょう。
——白髪ぼかしハイライトをした後、自分でリタッチすることは可能ですか。
三谷さん: セルフリタッチをすると、その部分のハイライトが消えてしまう可能性が高いです。とくに後頭部は、自分でハイライトを消さないようにリタッチすることは難しいでしょう。
セルフリタッチ後に、美容院で再度ハイライトをつくろうとした場合も、毛髪のダメージで思うようにブリーチができなくなります。
イメージ、時間、費用、ダメージは
——たくさんのメリットがあるのですね。では、仕上がりはイメージしたとおりに、あるいはイメージに近くなるのでしょうか。
三谷さん: 一般の白髪染めは色見本に近いように仕上がりますが、それに比べて「白髪ぼかしハイライト」の場合は、仕上がりがイメージしにくいという人が多いです。白髪が多いとハイライトの量も多くなるため、全体にイメージより明るめに仕上がることは知っておきましょう。
明るめが好みではない、職場の環境などで明るめを避けたい場合は、一般の白髪染めを選ぶほうがよいと思われます。
また、髪にダメージがある場合はどの染め方でも同じですが、色にムラが出たり、色が褪(あ)せて見えたりと、イメージどおりに仕上がらないことは多いでしょう。事前に美容院で希望を伝えて相談しましょう。
——「白髪ぼかしハイライト」の場合、一般の白髪染めに比べて、髪のダメージはどうですか。
三谷さん: 白髪の量、つまりハイライトを入れる量が多いほどに毛髪への負担は強くなります。ハイライトはブリーチをしてつくるため、その部分は髪が持つバリア機能が低下するからです。また、そのうえにおしゃれ染めを全体に施すため、さらに負担はかかり、ハイライト部分は色落ちが早くなることもあります。
その対策として、髪の内側にはあまりハイライトを入れない、髪の状態がいいときに施術するといった工夫は必要でしょう。ダメージが最小限になるように、これも美容院で合わせて相談しましょう。
また施術後は自宅では、アウトバスでの洗い流さないトリートメントやヘアオイル、近ごろ注目されてきたヘマチンなどを使って、セルフケアを実践しましょう。もし手触りがゴワゴワする、指どおりが悪いなどダメージが気になる場合は、美容院でのヘアケアも考えてみるといいでしょう。
——施術の時間や費用は、一般の白髪染めに比べてどうでしょうか。
三谷さん: 「白髪ぼかしハイライト」の所要時間は、一般の白髪染めの2倍はかかります。ショートボブでおよそ1.5~2.5時間です。費用は、時間と技術が必要なため、一般の白髪染めのおよそ1.5~2.5倍でしょう。もちろん美容院によるので、施術前に店のウエブサイトなどで確認しましょう。
聞き手によるまとめ
「白髪ぼかしハイライト」とは、白髪染めを使わないで、ハイライトで縦のラインをいくつもつくり、全体におしゃれ染めで仕上げる技術だということです。
白髪が伸びてきても目立たない、染める頻度を減らすことができるなどの利便性や、色の選択肢が豊富で、カラーを楽しむことができること、明るくおしゃれに仕上がるなど、魅力的な方法でしょう。
一方で、髪への負担が強いことや、時間と費用が一般の白髪染めよりかかるなどということも念頭におき、美容院で相談しながら実践したいものです。次回・第5回は「美髪キープのための白髪染めQ&A」をご紹介します。
(構成・文 藤井 空 / ユンブル)