スーパーに並ぶちょっと高級そうな食品や輸入雑貨店に並ぶオシャレなパッケージの海外食材……。興味はあるけれど、「どうやって食べればいいかわからない」「最後まで使い切れるか心配」とひそかに思っている人は少なくないのでは? 食文化研究家のスギアカツキさんに、誰でも気軽に楽しめる取り入れ方をご紹介いただきます。

1缶(400グラム)あたり約80円から100円台で手に入るトマト缶。
生のトマトよりリーズナブルなトマト缶
日本でもすっかり定番缶詰となった「トマトの水煮缶詰(通称:トマト缶)」。皆さんはどのような使い方をしていますか? ひとくくりにトマト缶と言ってもさまざまなものがあり、どんなものを選んで、どのように調理したらいいのか、悩んでしまいます。もしくはあまり気にせずにお店で安いものを買って、いつもの料理に加えているという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回はトマト缶の基本を知って、本当においしいトマトソースを作ろうというご提案。そもそもトマトには、β-カロテン、ビタミンCのほか「リコピン」という色素成分が豊富に含まれているため、高い抗酸化作用が期待できます。つまり、アンチエイジングや健康面を気遣う方々にはオススメの美容食材。しかもトマト缶は生のトマトよりもリーズナブルで、常温でストック可能な便利アイテムですから、手軽さという点でも魅力的です。それでは早速活用術を見ていくことにしましょう!
トマト缶は大きく分けて3種類ある。

左から、ホールトマト、カットトマト、チェリートマト。
まずは、「選び方」について。何げなく買っているかもしれないトマト缶。大概のお店で購入できるのが、「ホールトマト」と「カットトマト」の2種類です。
実はこのホールトマトとカットトマトでは、使われているトマトの品種が違うということをご存じでしょうか? ホールトマトに使われるトマトは、細長い形状のイタリア系トマト。加熱されることで旨みが引き出されるために、煮込み料理には最適とされています。また種には酸味があるために、加熱することで奥深い味わいを生み出してくれます。
一方、カットトマトは、丸い形状のトマトが水煮になったタイプで、小さくカットされていてトマトらしい“果実感”が最大の魅力。種もほぼ取り除かれているために、フルーティーな風味が味わえます。この違いは、缶の外側にあるイラストを見れば確かに納得するものの、言われなければ見過ごしてしまってもおかしくはありません。
そしてもう一つ、「チェリートマト」というタイプも少量出回っています。これは完熟した小ぶりなチェリートマトを使ったもので、シンプルに濃厚な甘みや旨みを堪能したいこだわり派にはオススメです。
以上3種のトマト缶について中身を出してみると一目瞭然。気になる方は一度食べ比べをしてみると面白いでしょう。

左上から時計回りに、ホール、カット、チェリー。形状も味も違うので、一度食べ比べをしてみると面白い。
トマト缶の種類を理解した上で、次に“おいしいトマトソース”の作り方をご紹介していきたいと思います。一度作ってしまえば小分けして冷凍もできますから、なるべく大量に作り置きをすることをオススメします!
手作りが最強の味! 本当においしいトマトソースの作り方とは?

私がいつも作っているトマトソース。考え方としては、ホールとカットのいいとこ取りをすること!
さまざまな試行錯誤を経て、自分好みのトマトソースにたどり着きました。重視したのは、さまざまな料理に活用・アレンジしやすい柔軟性と、どんな食材とも合うシンプルさです。
ポイントは二つ。一つ目は、ホールとカットのいいとこ取りをすべく、ホールとカットの2種類のトマト缶を組み合わせること。二つ目は、煮込んだトマトソースをミキサーにかけることです。この2つをやるだけで、いつものトマトソースが想像以上に格上げされるはずですから、ぜひチャレンジしてみてください。それでは材料です。
【材料(7~8食分)】
トマト缶(ホール) ………………………………1缶
トマト缶(カット)……………………………………1缶
玉ねぎ(みじん切り)………………………………1個
にんにく(みじん切り)……………………………1片
ブイヨンもしくはコンソメ(キューブ)………………2個
ハチミツ …………………………………………大さじ2
しょうゆ …………………………………………大さじ1
オリーブオイル ……………………………大さじ2
塩コショウ……………………………………適宜
※ローリエなどのハーブを入れたい場合は1~2枚用意する。
【作り方】
(1)フライパンにオリーブオイルとみじん切りにしたにんにくを入れて火にかける。香りが出てくるまでじっくり温める。
(2)粗くみじん切りにした玉ねぎを加えて炒め、少し黄色くなってきたらはちみつを加えてほんのりきつね色になるまで炒める。
(3)ホールトマトを加えて、木べらなどでつぶす。ローリエを入れるタイミングはここ。ブイヨンキューブを加えて蓋(ふた)をして、弱火で30分煮込む。ブイヨンがしっかり溶けるよう、時々全体をかき混ぜる。
(4)カットトマトとしょうゆを加えてさらに10分煮込む。
(5)火を止めて、ミキサーで攪拌(かくはん)をする。ハンディタイプでも通常のミキサーでも使いやすいほうでOK。スムーズになったらフライパンに戻し、2~3分程度加熱すれば完成。お好みでハーブ(ローリエ、オレガノ、タイムなど)を加えたり、唐辛子や塩コショウを加えて風味をアップさせてもよい。

まずはパスタにかけて食べてみてください。トマト本来のおいしさを再確認できるはずです。
完成したトマトソースは肉料理や魚料理にかけたり、鍋スープに加えたりしてもおいしいです。お好みの活用方法を探してみてくださいね!
本日の美食・成り言葉
トマトの美容成分は、妥協のないおいしい料理で取り入れるべし。