SNSや美容院などのヘアケア関連情報で、「ブリーチありカラー」または「ブリーチなしカラー」という投稿を目にしますが、何がどう違うのかがよくわかりません。そこで、それぞれの施術法やメリット、デメリットについて「Hair salon aruca」（福岡県北九州市）のオーナーで美髪を追求する三谷遥さんに、前後編の2回でお話しを聞いています。

前編では、「ブリーチありカラー」の特徴について聞きました。今回は「ブリーチなしカラー」について尋ねます。

ブリーチなしでベージュ系やアッシュ系に染める

——前回、ブリーチとは毛髪の脱色の施術のことであり、「ブリーチありカラー」とは「まず、髪を脱色してからカラー剤を塗布する方法」だと教えてもらいました。では、「ブリーチなしカラー」とはどのような違いがあるのでしょうか。

三谷さん：ブリーチをせずに、ブリーチしたような色味、明るさを出すカラーの方法が「ブリーチなしカラー」です。髪質によってはブリーチが向かない人もいるため、そういった人向きに「ブリーチなしカラー」の方法があります。

また、前編でお話ししたように、ブリーチの薬剤は毛髪への負担が強く、傷みがちです。それに、色落ちも早くなります。

そこで、ブリーチをしないでブリーチをしたようなカラーが、髪のダメージを抑えたい人、カラーをできるだけ持たせたい人にも選ばれています。

縮毛矯正をしたことある人はブリーチNG

——ブリーチに向かない髪質、つまり、ブリーチなしカラーのほうに向く髪質とはどういうタイプですか。

三谷さん：まず、縮毛矯正をしたことがあって、縮毛矯正の履歴が毛先に残っている場合はブリーチには向きません。定期的なカットや、ばっさりとショートにカットして縮毛矯正をした毛髪が残っていなければブリーチは可能です。ただし、逆に、ブリーチした毛髪には縮毛矯正はできなくなります。

なぜなら、髪がゴムのように伸びる、切れるなど、ダメージが強く出るからです。そのため、ブリーチを望むお客さんには施術前に必ず、縮毛矯正をしたことがあるかどうかを確認しています。

また、猫毛、細い毛の人も、ブリーチをすると、もつれやすくなったり切れやすくなったりとダメージが大きく、のちのちケアが大変になります。これらに該当する人は、ブリーチありよりも、ブリーチなしカラーのほうを選びましょう。

——自分でブリーチをするための「ブリーチ剤」がたくさん市販されています。「縮毛矯正の経験があるけれど、激しくダメージすることを知らずにセルフブリーチしてしまった。ひどく傷んだ」という人もいます。

三谷さん：ブリーチを初めてする人はそうしたことがないように、あらかじめブリーチによるダメージについて知っておき、「自分はブリーチが向くかどうか」を確認する必要がありますね。

ブリーチなしでは13レベルまでの明るさに

——前回、ヘアカラーのレベルは、数字が大きくなるほど明るくなり、「8レベルぐらいからが『染めている』とわかる明るさ」だということ、また、「13レベルからはハイトーンといわれ、15以上からはブリーチが必要」だということでした。ブリーチなしカラーでは、どういう明るさが出せるのでしょうか。

三谷さん：ブリーチなしカラーでは、13レベルの明るさまで出すことができます。つまり、ブリーチなしでもそのぐらいのハイトーンにすることは可能というわけです。

——ブリーチに向かない人が、13レベル以上のぱっと明るいカラーを楽しみたい場合はどうすればいいでしょうか。

三谷さん：レベルの数字が高いカラー、つまり明るい色を選んで、くり返し、その明るいトーンのカラーで染めることでハイトーンになっていきます。

——施術の方法は、ヘアカラーとは違うのでしょうか。

三谷さん：ブリーチなしで鮮明な色にしたいときは、色みがはっきりと出るトリートメントカラーをカラー剤に混ぜて調整します。そうすることで、通常のヘアカラーでは出にくいトーンを出すことも可能になります。

——「ブリーチなしカラー」で、いま人気の色めを教えてください。

三谷さん：ベージュ系、アッシュ系、ピンク系、グレーとベージュを混ぜたようなグレージュカラーやミルクティーベージュなどが人気です。また、前編でも紹介したインナーカラーもできますので、希望の色味やスタイルを美容院で相談するとよいでしょう。

聞き手によるまとめ

ブリーチなしでも13レべルのハイトーンが出せること、ダメージが気になる人やブリーチに向かない人でも、ブリーチなしカラーを選べば、ブリーチしたような色味、明るさが望めるということです。自分の髪質と向き合いながら、希望の色に近づきたいものです。

（構成・取材・文　藤原 椋／ユンブル）