SNSで、髪をハイトーンに染めている人の投稿に、「ブリーチありカラー」、「ブリーチなしカラー」などと記されているのを時おり見かけます。ですが、その違いがよく分かりません。
そこで、「Hair salon aruca」(福岡県北九州市)のオーナーで美髪を追求する三谷遥さんに、ブリーチについて前後編の連載で詳しく聞いてみました。今回の前編では、ブリーチありのカラーについて尋ねます。
色目を鮮明に出したいときにブリーチを活用
——ヘアカラーとブリーチはどう違うのですか。
三谷さん:ヘアカラーは、カラー剤を髪に塗布することで、色素を薄めて染料を定着させる施術です。地の毛髪に色目をプラスするわけです。
一方、ブリーチとは、髪の毛の色を決めるメラニン色素を抜くこと、脱色する施術です。ゴールド、ピンク、ブルーなど、明るく派手めの髪色にしたい人や、このごろ人気のミルクティーカラーやバイオレットカラーはブリーチを活用します。
カラー剤ではメラニン色素がじゃまをして出せない色味も、ブリーチで脱色してからカラー剤を塗布することで、色目が鮮明に出せます。つまり、ブリーチをすることで、カラーだけでは表現しきれない色に染めることが可能になるわけです。
——ブリーチをしてからカラー剤を塗るのですね。
三谷さん:そうです。昔はブリーチだけの施術もありましたが、いまはブリーチだけではなく、ブリーチ+カラーの「ダブルカラー」を用いています。
ブリーチは髪が激しく傷む
——カラーよりブリーチのほうが髪のダメージが激しいとよく耳にします。
三谷さん:そうです。ブリーチのデメリットは、髪のダメージです。カラーでもダメージは受けますが、ブリーチのほうがさらにダメージの度合いは強くなります。
それは、脱色の過程で、髪の内部の栄養も抜け落ちるからです。ケアをしないと、パサパサになったり指通りが悪くなったりと、傷んでいることが目に見えてわかるようになるでしょう。
それに、染めた色目のキープ期間は、カラーだけの施術時より短くなります。カラーでは6週間ほど維持していた色が、ブリーチをしたダブルカラーでは3週間ほどになります。
——「ケアブリーチ」という方法があるようですね。
三谷さん:はい、最近では、ケアブリーチという施術が主流になってきました。ケアブリーチは、髪を傷みにくくする成分を含むブリーチ剤を使用する施術です。従来のブリーチ剤よりも、ダメージを抑えながら脱色することができます。それに、色持ちの期間を長くするメリットもあります。
——ケアブリーチの費用はどうなりますか。
三谷さん:美容院によりますが、ブリーチよりも、1回の施術につき、1,000円~3,000円ほどアップになります。
——ケアブリーチを選んでも、毎日のヘアケアは必要ですか。
三谷さん:もちろん、どの施術の場合でも、美髪をキープするにはヘアケアをする必要があります。髪に合ったシャンプーを選び、洗髪やブラッシング、ヘアドライの方法などをそれぞれ適切にして、最近注目されているヘマチン、また、洗い流さないトリートメントやヘアオイルを塗布するなどを毎日の習慣にしましょう。
15レベル以上のハイトーンはブリーチを
——ブリーチが向くのはどういう人ですか。
三谷さん:お話ししたように、色味が鮮明に、わかりやすく表現できるところがブリーチのメリットですので、そうした色にしたい人はブリーチをするとよいでしょう。
また、ヘアカラーの明るさは1レベル、2レベルと表され、数字が大きくなるほど明るくなります。8レベルぐらいから染めていることがわかる明るさになり、13レベルからはハイトーンと呼ばれます。
15レベルからはブリーチをしないと出せない明るさになります。15レベル以上の明るさにしたい人はブリーチを選びましょう。ハイトーンにするためにブリーチをする場合は多いです。
——白髪染めにもブリーチを活用する人がいると聞きます。どうするのでしょうか。
三谷さん:髪の一部分や、内側だけを染めるインナーカラーの際にブリーチを利用する「インナーブリーチ」をする人が多いです。ハイトーンで白髪をぼかすためにブリーチをする方法もあります。白髪をどうするか、美容院で相談すると、白髪の状態や髪質に応じたアドバイスをしてくれるでしょう。
——ブリーチをするダブルカラーでは、一度で希望の色に染まりますか。
三谷さん:初めてブリーチをする、久しぶりにする場合は、一度では希望の発色が得られない場合もあります。2~3回すると、理想の色に近づくでしょう。一方で、頻繁にブリーチをすると、髪が切れやすくなります。セルフでする場合は注意をしてください。
聞き手によるまとめ
鮮明な発色にしたい場合や、13レベル以上のハイトーンにしたい場合、またインナーカラーとして一部分だけや、白髪をぼかす目的でもブリーチを活用するケースは多いということです。理想の色調や目的によってブリーチにトライし、髪色を楽しみたいものです。
後編では、ブリーチなしカラーについて尋ねます。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)