「夏の終わりから髪1本ずつの元気がなくなった」「秋になると家の床に抜け毛がいっぱい」「ペシャッとしてハリがない」などの髪のお悩みの声が寄せられています。「Hair salon aruca」(福岡県北九州市)のオーナーで美髪を追求する三谷遥さんは、「夏の紫外線などの影響を受けた頭皮や髪は、秋にダメージが目立ちます。私はそれを髪の秋バテと呼んでいます」と話します。どういう状態なのか、またセルフケアの方法について聞きました。
夏のダメージや秋の乾燥が影響する「髪の秋バテ」
——髪の秋バテとは、具体的にはどういう状態なのでしょうか。
三谷さん:紫外線や、冷房による乾燥、汗、場合によってはプールの塩素、海の塩分など、夏に受けたダメージ、また初秋の急な乾燥などが原因で、髪と頭皮が疲れている状態です。
また、夏の疲れの影響や秋の寒暖差などで心身に不調があるときは、自律神経のバランスが乱れて血行不良となりことがあります。すると頭皮や髪に十分な栄養が行き届かずに、髪のダメージが目立つようになります。
状態としては、抜け毛が増えた、切れ毛が目立つ、ハリやコシがない、潤いがない、パサつく、ごわつく、摩擦で静電気が走る、髪が広がる、うねる、まとまらない、1本ずつが細くなった、白髪が増えた、頭皮も髪も乾燥している、細かいフケが出る、ベタつく、カラーの退色が早い、染めた色よりもかなり明るくなるなどです。
思いあたることはないか、髪と頭皮の状態をチェックしてみてください。髪の秋バテを感じたら、またはできるだけバテる前に、早めにケアを実践しましょう。
「ホットタオルパック」でトリートメントを浸透させる
——チェックすると、たしかに複数のダメージが気になります。どうケアすればよいでしょうか。
三谷さん:次のヘアケアポイントを意識して行ってください。7つ挙げておきますが、全部ではなくても、自分が取り組みやすい方法をいくつか、2週間ほど継続すると髪の質感が改善していることに気づくでしょう。
(1)ブラッシングケア
ブラッシングは髪のからまりをほどいて切れ毛を防ぐ、頭皮や髪の汚れを取り除く、頭皮の血流を促す、ツヤを出すなどします。毎日、「朝・シャンプー前・夜」にそっとていねいに行いましょう。
(2)ハリ・コシ・ツヤをアップケア
毛髪のタンパク質と結合してハリやコシをアップし、ツヤを出す「ヘマチン」という成分が注目されています。ダメージが気になるときや、ダメージの予防に、ヘマチンの美容液や、ヘマチンを配合したシャンプーを試してみるとよいでしょう。
(3)ホットタオルパックでトリートメント浸透ケア
トリートメントは髪の内部に栄養を届けて、うねりを抑える、ハリやコシ、潤いをもたらし、ダメージを補修します。ただし、つけかた次第では髪への浸透具合が変わります。浸透しやすいように、ホットタオルで簡単パックを試しましょう。
まずはシャンプー後に水分を軽くタオルでふき取り、毛先にていねいにトリートメントをもみ込んでから、コームで髪全体をとかします。
次に、42~43度ぐらいのやや熱めのお湯につけて絞ったホットタオルを髪に巻きつけ、その上にビニールキャップをかぶって3~5分置いてから、洗い流します。タオルはすぐに冷めますが、このぐらいの時間なら湯船につかっていれば保湿効果が期待できます。この間、キューティクルが開いて髪の内部にトリートメントが浸透します。
可能なら、蒸しタオルをつくって同様に行いましょう。蒸しタオルは、濡らしたタオルを絞ってラップで包む、また電子レンジ使用可のビニール袋や耐熱容器に入れ、電子レンジの500/600Wで30秒~1分間温めるとできあがります。やけどに注意してください。
ただし、ストレートパーマや縮毛矯正の直後の3日間は避けましょう。この期間は髪が不安定でキューティクルが開きやすく、ダメージを受けやすい状態だからです。
(4)頭皮の保湿ケア
頭皮用の化粧水で頭皮を保湿しましょう。洗髪後、タオルドライをしてから、ドライヤーをする前に頭皮全体にもみ込むように塗布します。スプレータイプだと、外出前や外出先でもさっと吹きかけることができて便利です。
(5)頭皮のマッサージで血流促進ケア
血流が滞る、頭皮の毛穴に汗や皮脂が詰まった状態が続くと、雑菌が繁殖する、においを発する、髪に栄養が行きわたらない、抜け毛になるなど、髪の秋バテに直結します。血流を促す頭皮マッサージを行いましょう。
(6)水分・油分補充で髪の保湿ケア
洗髪後、洗い流さないトリートメントやヘアオイルを髪に適量使用しましょう。髪の乾燥を防いで保湿し、潤いやツヤを与え、指通りをよくし、髪の秋バテケアと予防になります。ただし、トリートメント、洗い流さないトリートメント、ヘアオイルなどは頭皮にはつけないでください。頭皮が過剰に脂っぽくなることがあります。
また、秋冬の室内の湿度は50~60パーセントに保ちましょう。
(7)生活習慣の見直し
髪の秋バテは心身の疲労のサインでもあります。栄養バランスが整った食事、適切な睡眠時間のキープ、適度な運動などで体調を整えましょう。
聞き手によるまとめ
髪や頭皮の秋バテ対策には、潤い補給で保湿、血流促進、また心身疲労の改善がポイントだということです。紹介していただいた7つの具体的なポイントを見すえたケアを念入りに行い、ダメージを冬に持ち越さないようにしたいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)