クリスマスといえば、シャンパーニュ(シャンパン)。最近では女子同士で盛り上がるパーティーも多いのだとか。そんな場面でぜひ飲みたいシャンパーニュが老舗メゾン〈タルラン〉の一本。
先日、東京・伊勢丹新宿本店で開催されたシャンパーニュの祭典「ノエル・ア・ラモード」のために来日中だったレコルタン・マニピュラン*のメゾン〈タルラン〉のメラニー・タルランさんに話を聞いた。
ファンが行列をつくる人気ぶり
36歳のメラニーさんは4つ年上の兄ブノワさんと家業を継承するメゾンの12代目(!)で、コミュニケーション担当。来日は4度目だ。
「いつも来るたびに刺激があって日本が大好き。昨日は下北沢のバーで朝方まで飲んじゃって……」と、やんちゃな一面も。
伊勢丹の会場では一際若いメラニーさんがよく目立った。シャンパーニュというと、ゴージャスでハイエンド、憧れるけれど近寄りがたいというイメージがある中、彼女の気さくな雰囲気が違ったオーラを放っていたのだろう。〈タルラン〉のブースの前には彼女の“ファン”が列を成し、買い求めたボトルにサインをねだる。多くは彼女と同世代の女性たちだ。メラニーさんは笑顔で対応し、メッセージにちょっとしたイラストを添えて描く。
「今回はうちのメゾンだけで10アイテムを並べているの。こんな市場は世界でも日本だけ。日本人は感受性が細やかで、デリケートな違いを楽しむのね」
「自分だけの銘柄を見つけてみて」
──どんなふうに日本の人たちに〈タルラン〉を楽しんでもらいたいですか?
「誕生日やクリスマスといったハレの日に、というのはもちろん間違っていないけど、もっと普通に友だちと楽しんでほしい。女子だけで集まって開けるなんて、最高!
そしてもうひとつ。いろいろと飲んでみるのも楽しいけど、できたら自分の銘柄を見つけてほしい。フランスでは、親が飲んでいた銘柄を子どもも飲んで受け継いでいくことが多いのよ」
伝統に縛られない12代目のこだわり
〈タルラン〉の歴史は1687年に初代のピエール・タルランがブドウ栽培を始めたことに遡る。1814年には敗走中のナポレオンとロシア軍が領地に立ち寄ったという記録が残る(それって、トルストイの『戦争と平和』の世界だ)。
しかし、〈タルラン〉の素晴らしいところは、そんな伝統に縛られないこと。他の造り手がほとんど使わない古代品種3つのブレンドによるBAM! ブリュット・ナチュールや100%ピノ・ムニエ種によるラ・ヴィーニュ・ドールなど新たなアイテムと次々と打ち出して、「日々進化するシャンパーニュ」というイメージを牽引してきた。
「うちのメゾンの主なこだわりは2つ。ひとつはアイテムの8割がブリュット・ナチュール**であること、そして畑ごとの個性を大事にして、それぞれを別の銘柄に仕立てていることよ」とメラニーさん。
試飲してみると、〈タルラン〉のアイテムには全体を通して味わいに生き生き感と芯の強さが、また口当たりには絹のような滑らかさがあることがわかる。
日本食のうまみとシャンパーニュのコクのある味わいは相性がいい。まずは日々の食卓に1本登らせたい。
**ドサージュと呼ばれるリキュールによる糖分添加を行わない製法。辛口で、ブドウ本来の風味が楽しめる。
【問い合わせ】株式会社八田(TEL:03-3762-3121)