あえての“温かい鍋”がおすすめ 夏冷え対策のポイント

あえての“温かい鍋”がおすすめ 夏冷え対策のポイント

いまだ収束の気配をみせない新型コロナウイルスの影響で、まだまだ続きそうなテレワーク生活。在宅時間が増える中で、特に気をつけたいのが“夏冷え”です。運動不足で全身の血の巡りが悪化していることに加えて、冷房の効いた部屋に居続けたり冷たい飲み物を飲んだり……と“冷え”に拍車をかける生活を送り続けることで、免疫力の低下を招いてしまうことも。

そこで今回は、温熱療法の専門家の奴久妻智代子(ぬくづま・ちよこ)先生に、ウィズコロナ時代の“夏冷え”対策についてお話を伺いました。

奴久妻智代子(ぬくづま・ちよこ)先生。医療法人社団タイオン サーモセルクリニック 研究開発担当・医学博士。 北海道大学大学院獣医学医研究科修了。金沢大学熱帯医学研究所(現 総合医学研究所)、大阪大学医学部附属動物実験施設、カリフォルニア工科大学James H. strauss研究室をへて、2000年より全身温熱療法の基礎研究に従事。獣医師。全身ハイパーサーミア研究会・幹事。

奴久妻智代子(ぬくづま・ちよこ)先生。医療法人社団タイオン サーモセルクリニック 研究開発担当・医学博士。
北海道大学大学院獣医学医研究科修了。金沢大学熱帯医学研究所(現 総合医学研究所)、大阪大学医学部附属動物実験施設、カリフォルニア工科大学James H. strauss研究室をへて、2000年より全身温熱療法の基礎研究に従事。獣医師。全身ハイパーサーミア研究会・幹事。

身体を温めることが大事

——体温が身体に及ぼす影響について教えてください。

奴久妻智代子先生(以下、奴久妻先生):35℃に比べて37℃、38℃、39℃と体温が上がるほど、リンパ球ががん細胞やウイルス感染細胞を攻撃する力が高まります。量的変化に関しては、ぬるめの湯温での入浴によって適度に身体が温まり、副交感神経が優位になると、副交感神経の支配を受けるリンパ球の数が増えます。逆に交感神経が優位になるとリンパ球が減少します。また、眼、鼻、喉や消化管と言った外界と接する粘膜組織にあり、ウイルスなどから守ってくれる分泌型IgA(抗体の一種)は、温めることで増えることも確認されています。

——体温を上げることがウイルスから身体を守るうえで大事なんですね。ほかにはどのようなメリットがあるのでしょう?

奴久妻先生:身体を温めると血管が開いて血流が良くなります。血流は、エネルギーを作り出すための材料を細胞内のミトコンドリアへ運び、ミトコンドリアで作られたエネルギーや筋肉運動により産生された熱エネルギーを全身へ運ぶ役目をして、全身の体温を維持。体温が正常に維持されると、免疫細胞以外のさまざまな臓器も正常に働きます。ほかにも身体を温めることで、自律神経を整える働きもあげられます。

夏冷え対策に“温かい鍋”がおすすめ!

——“夏冷え”を起こさないために食生活で意識するポイントはなんでしょうか?

奴久妻先生:身体を冷やさない食事として、夏にあえて温かい鍋を食べることはおすすめです。特に免疫力を高める鍋に欠かせない食材は、きのこ類です。きのこにはさまざまな栄養が入っています。きのこに含まれるビタミンB群は糖質や脂質代謝にも関わり、中でも葉酸は酸素を運ぶ赤血球の形成に関わるため、有酸素エネルギー代謝を高めて体を温めるうえで効果的といえます。

——ほかにはどのようなことが期待できるでしょうか?

奴久妻先生:免疫力を活性化する作用もあります。βグルカン(細胞壁に含まれる食物繊維の一種)をとることで直接的に免疫細胞を活性化させ、βグルカンを含む食物繊維は、全身の免疫細胞の約7割が集まる腸を整えることで間接的にも免疫を活性化させることが期待できます。

また、エリンギはIgAを増やすという研究結果も。夏の発汗で失われやすいカリウムを補給することもできるため、ナトリウムを排出しやすくし、血圧調整、むくみの改善効果もあります。さらに神経調整作用があるナイアシン(ビタミンB3)が入っているため身体だけでなく、ココロも整えることが期待できます。このように温かい「きのこ夏鍋」を食べることで、身体を温め、複数の身体機能から免疫を活性化させるだけでなく、さまざまな健康効果が期待できます。

積極的な“夏冷え”対策で健康的な生活を!

暑い日が続くと、つい冷房の効いた部屋に居続けたり、冷たい飲み物ばかり摂取したりしてしまうもの。特に今年は長引く巣ごもり生活により運動不足になっている懸念もあります。健康的に夏を過ごすため、奴久妻先生が提案されているように、あえて温かい鍋を食べるなどの“夏冷え”対策を積極的に行ってみるといいかもしれません。

次回は「きのこを使った鍋レシピ」をご紹介します。

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