もう生理や天気に振り回されない! 女性の体と頭痛の関係は?

もう生理や天気に振り回されない! 女性の体と頭痛の関係は?

月間100万人利用する体調管理アプリ「頭痛ーる」による初の書籍『月間100万人利用アプリ!頭痛ーるが贈るしんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)が2月16日に発売されました。頭痛や体の痛み、気分の落ち込みなど低気圧によって起こるといわれている不調との付き合い方について、食事やストレッチ、睡眠、環境などの観点からアプローチしています。

本の発売を記念して、本書の中から「女性の体と頭痛の関係」を抜粋してお届けします。

頭痛と月経の関係を知りましょう

片頭痛の場合、多くはストレスや過労、睡眠不足が悪化の原因になりますが、女性は月経(生理)周期に伴って症状が強く出る人がいます。その原因について産婦人科医の清水なほみ先生は「女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が頭痛に関連しているから」だと言います。

エストロゲンの分泌量が「増えて、減る」タイミングは月経周期の中で2回あります。1回目が排卵の時期、 2回目が月経直前から月経初日にかけてです。

詳しいメカニズムは分かっていませんが、このエストロゲンの分泌量が「増えて、減る」時期に、もともと片頭痛がある人に症状が現れやすい、と清水先生。月経周期で引き起こされる片頭痛は、気圧の変化や心身の疲労状況によっても時期や程度が変わります。

また月経期間中に鈍い下腹部痛や腰痛を訴える人はたくさんいますが、中には、頭痛や吐き気、嘔吐、下痢などの症状を伴う場合もあります。月経期間中だけに起きるのが特徴で、他の時期には症状は見られません。

さらに月経前に体がむくんだり、イライラしたりする「月経前症候群(PMS)」の症状として頭痛が出る人もいます。

月経前症候群は、排卵後から月経直前までの時期に起きる不快な症状や体調不良のこと。排卵して月経が始まるまでの間は、分泌量が増えるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で、水分が体にたまりやすくなります。そのことが原因で頭痛やめまい、吐き気を引き起こしやすくなっていると考えられます。月経が始まると同時に頭痛が治まるのであれば、月経前症候群が影響している可能性が高いと言えます。

デザイン:装幀新井

更年期障害は「脳の空回り」

更年期障害でも、頭痛の症状が強まる人がいます。更年期障害とは、閉経前後のおよそ年間で、女性ホルモン(エストロゲンなど)が急激に減少するために発汗や動悸(どうき)、疲れやすさなどの症状が出ることです。

更年期障害はなぜ起きるのか、そのメカニズムを考えてみましょう。

閉経が近づくにつれて卵巣機能が低下すると、女性ホルモンが減少し始めます。この状況に危機感を持った脳は、卵巣に「ホルモンが足りない! もっと作って!」と命令を送るのですが、卵巣の機能は低下しているため命令には応えられません。

いわば脳だけが「空回り」している状態です。この影響で自律神経が乱れる、頭痛をはじめ、さまざまな体調不良が引き起こされます。

デザイン:装幀新井

でも、安心してください。

脳がホルモンの減少を認識し、落ち着いた状態になれば、更年期障害の諸症状はなくなります。落ち着くまでに時間がかかり、日常生活に支障が出る場合は産婦人科医に相談してみましょう。脳の混乱を抑える程度の、適度なホルモン補充の措置をしてもらえる場合もあります。若いころと同じホルモン量にするのではなく、減少のペースをゆっくりにするためのホルモン補充です。

「今まで全速力で走るような毎日を送ってきた女性が、ホルモンの減少で、エコな走り方に切り替えなければいけないのが更年期。これまでのような走り方は無理です、という体の声に耳を傾けて、ブレーキを踏みつつ、上手にペースを切り替えられている人は更年期障害の諸症状があまり出ません」(清水先生)

50代前後は、ちょうど子どもの独立や親の介護などライフステージの変化のある時期。更年期を、これからの生き方について見つめ直す良い機会だと捉えてみると良さそうです。

自分の人生を整える、という気持ちで

このように女性は月経に伴うホルモンの変動でも不調をきたしやすいのですが、清水先生は「まず月経や天気に振り回されるのをやめましょう。体調の悪さを月経や天気の“せい”にするのは簡単ですが、できるだけ自分で体調をコントロールする、という主体的な姿勢に変えていきましょう」と強調しています。

例えば月経前症候群や更年期障害の症状があるなら産婦人科医に相談し、ホルモン補充やピル・漢方薬の処方など適切な治療を受けて体調を改善しましょう、と呼びかけています。

「誰もが毎日、元気なわけはなくて、いろいろな出来事がある中で体調は変化します。けれど、この時期は体調を崩しやすいから、あらかじめ漢方薬を飲んでおこう、とか、忙しい予定があるから次の月経周期をずらしたい、など、主体的に体調をコントロールする姿勢でいれば、心身にかかるダメージを最小限に抑えられます。自分の意思で自分の人生を整えていく、という気持ちをぜひ持ってください」(清水先生)

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