人気料理研究家・藤井恵さんの『藤井恵さんの更年期ごはん』(世界文化社)が11月30日に発売されました。
本書は、藤井さんが更年期を乗り切った経験から考案したというレシピを99品収録。大豆イソフラボンを手軽にチャージできるレシピや、たんぱく質たっぷりおかずなど、更年期の不調に寄り添うレシピがたっぷりと紹介されています。
医学監修には産婦人科医・高尾美穂医師を迎え、巻頭で藤井恵さんとのスペシャル対談も掲載。本書から特別に食事のポイントや、レシピを全3回に分けて掲載します。(この記事は全4回のうちの第1回です)

著者の藤井さんと監修の高尾先生。本書では特別対談も収録されています
更年期を上手に乗り切る。Dr.高尾の7つのポイント
「女性の健康は、女性ホルモンで守られています。女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急激に減少する45歳以降はさまざまな不調に悩まされることが多くなります。
とはいえ、いまや更年期をむやみに恐れ、不調をがまんする時代ではありません。
更年期以降に起こりやすいリスクをあらかじめ知っておき、適切な対策を講じれば乗り切ることができるのです。
みなさんに知っておいていただきたい、病気や不調から身を守るためのポイントをまとめました。50歳前後からの人生がもっと楽しくなるために、できることからふだんの生活に取り入れていきましょう」(高尾美穂医師)
ポイント1:更年期にとりたい大豆製品の量
さまざまな研究から、更年期女性に必要なエクオールの量は10mg。エクオール産生能がある人が約50mgの大豆イソフラボンをとったときに腸内で作られる量に相当します。納豆や豆乳など身近な食品を中心に、大豆製品を積極的に摂取するのがおすすめ。
ポイント2:腸がキレイだと心も体も元気
腸内環境は体の状態を表すバロメーター。免疫力アップのほか、自律神経を整えるためにも重要。腸内環境のチェックは便の状態を見るのがおすすめ。食物繊維、発酵食品を毎日とることが大事。
ポイント3:骨粗しょう症を未然に防ぐ
骨粗しょう症は閉経後10年ほどで発症することが多く、60代になると急増。カルシウムは1日700mg以上、骨の形成を助けるビタミンDと、ビタミンKもしっかりとるようにします。
ポイント4:太りにくくやせやすい体づくりを
エストロゲンにはコレステロールや内臓脂肪など、脂肪の代謝に関係する働きがあるため、更年期になると太りやすくなります。良質なたんぱく質の摂取と運動を取り入れ、筋肉量を維持して代謝をキープ!
ポイント5:良質な油で動脈硬化を予防
エストロゲンの減少でコレステロールがふえやすくなり、動脈硬化の原因に。動物性脂肪をへらし、えごま油、魚の油などに多く含まれるオメガ3脂肪酸を積極的にとるよう心がけましょう。
ポイント6:三大栄養素はバランス重視で!
糖質はエネルギー源、たんぱく質は筋肉や臓器などの材料となり、脂質はホルモンや細胞膜を構成し、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・K・Eなど)の吸収を促す重要な栄養素。さまざまな食品からバランスよくとることが大切です。
ポイント7:不足しがちなビタミン、ミネラルをしっかり
更年期は骨作りに必要な栄養素だけでなく、造血を助ける鉄、ビタミンB12、葉酸や、血行を促進し老化の進行を遅らせるのに役立つ抗酸化ビタミンなども必要。「更年期を支える栄養素」(本書P.35に掲載)を参考にして、しっかりとりましょう。
この食べ方で体が整う。藤井恵さんの6つの工夫
「更年期の不調で体は悲鳴を上げていたのに、なんとか乗り切れたのは、食事だけはきちんと食べていたから。いま、あらためて、更年期にはもっと自分の体と心をいたわればよかったかなと思うのです。
だからこそ、更年期を迎えたみなさんは無理をしたり、凝った料理を作ったりする必要はまったくないと思います。少ない材料で工程も簡単、時間をかけなくても、おいしくて体にいい料理は作れます。
「こうすればラクだったんだ」と当時を振り返って、あらためてわかったことを含めて食べ方の工夫をまとめました。決して手抜きではなく、大人だからこそ身につけた知恵とスキルの証だと、胸を張って食卓にのせてくださいね」(藤井恵さん)
工夫1:必ずとりたい食品は朝食べる
うっかり食べ忘れてしまわないよう、必ずとりたい食品は、朝ごはんで食べると決めてしまうと習慣化しやすいもの。使う食品が決まるので、献立を考えるのもラクになります。
工夫2:加工食品をフル活用
缶詰、乾物、水煮食材などの加工食品は、食材の下ごしらえが省けて、料理作りの時短がかないます。買い物が億劫なときでも、ストックしておける便利さ、安心感でプチストレスがへらせます。
工夫3:うま味食品でおいしく減塩
更年期は血圧が高くなりやすく、むくみも気になる時期。かつお節や乾燥小エビ、塩麴などうま味の強い食品を取り入れると、おいしく無理なく減塩できます。
工夫4:一品完結ごはんを味方にする
主食とおかずが1品ですむのっけごはんタイプの食事は、手間が省けるのに家族ウケがいいのが魅力。とりたい食品をどんどん入れれば、ラクに体にいい一品が作れます。
工夫5:体調がよいときに簡単作りおきを!
体調がよいときに、とりたい食品を使った作りおきをしておくと、心に余裕が生まれます。ノルマにするとつらくなるので、「作ってみようかな」と思ったときだけにするのがコツ。
工夫6:楽しく食べることがいちばん大事
栄養素をとることは大事ですが、楽しく食べることがなにより大切。私は毎日の晩酌がストレス解消に役立っています。食事は毎日続くこと。おいしい、楽しいと思えるひとときを持って、乱れがちな心と体を癒やしましょう!
『藤井恵さんの更年期ごはん』(世界文化社)、1760円(税込)は好評発売中!