婚活について語り合ってみた vol.1

婚活で出会う男性に感じる“俺の理想の女”の謎

婚活で出会う男性に感じる“俺の理想の女”の謎

婚活はなぜしんどいのか。アプリで微妙な気持ちになる男性とばかり出会うのはなぜなのか。「普通の人」はどこにいるのか──。

婚活をしたことのある女性なら誰もが抱いたことのあるはずの疑問や違和感について、まさにそのような問題をテーマにした小説『結婚のためなら死んでもいい』(新潮文庫)を上梓した作家の南綾子さん(40)。

『どうして男は恋人より男友達を優先しがちなのか』(イースト・プレス)で婚活のモヤモヤを語った桃山商事のワッコさん(33)と、漫画『普通の人でいいのに!』がSNSで話題になった漫画家の冬野梅子さん(35)をゲストに迎え、3人で婚活について語り合っていただきました。

婚活アプリで遭遇する「電マ男」の謎

ワッコ:南さんの新刊『結婚のためなら死んでもいい』に「電マ男」が出てくるじゃないですか。

南:アプリ上でのメッセージのやりとりだと普通なのに、実際に会ってみたらプルプルと震えているだけで何も話さない男性のことですね。

ワッコ:わたしもアプリをやり込んでる時期に、電マ男に結構遭遇したんですよ。本当に何も話さないのでこちらが一人で質問を投げかけることになりました。桃山商事の『どうして男は恋人よりも男友達を優先しがちなのか』でもそのことを書いてるんですけど、雑誌でよくある「100問100答」の企画みたいな状態だから「100質状態」と呼んでいます。

梅子:すごいわかります。あれ、なんなんですかね。

南:私は性格が意地悪だから、相手が一人で喋ってるなと感じたら黙るようにしてます。私インタビュアーじゃないしと思って。

ワッコ:なるほど。

南:こちらも黙ると完全な沈黙になって空気が凍るんですよね。一度、相手の男性に「どうしたらいいかわかんない!」と頭を抱えられたこともあります。

梅子:ええええっ!?(笑)

南:こっちもどうしたらいいかわかんなくなったんで、「じゃあ帰りましょ」と言って帰りました。

静かな店内で食器を洗う音だけが響いて…

ワッコ:地獄すぎる! わたしは沈黙が続くとお店の人の視線が気になってしまうんです。「あの二人は何をしているんだろう?」と不思議に思われてるんじゃないかとか、どうにもいたたまれない気持ちになって陽気なおばさんを演じてしまう。それが自分の中で負担になってます。

南:でも頑張って喋った結果、「あのテーブル、女性だけが一方的にしゃべってるな」とか思われるのもきつくないですか?

ワッコ:確かに(笑)。けど実際のところ、いたたまれなさが本当に耐えられなくて。一度、店内の客がわたしと電マ男の二人だけになった時があったのですが、あまりに静かすぎてカトラリーを洗う音だけが鳴り響き……。それが本当にトラウマになっている。

梅子:それはきつすぎますね……。

ワッコ:けどその時は相手の男性が、帰り際に突然「意志のある電マ」になったんですよ。

梅子:どういうことですか?

ワッコ:そろそろ帰りますかっていう雰囲気になった時に、何の脈絡もなくアプリのプロフィール写真についてアドバイスされたんです。「2枚目の写真は実物より色が白く見えるのでトップに持ってきた方がいいと思います」って。

南:うるせえ! けど電マが突然意志を持つってありがちなのかも。お店の中ではずっと電マ状態だったのに、店を出たら意を決したように「もう1軒いきますか」って誘ってきたりとか、私もありましたね。そこで勇気を出して頑張れるなら、どうして会話を頑張れないんだろう。

「料理するかどうか」しか知りたくないの?

梅子:そもそも婚活で出会う男性たちに、「この人、一個人としての私のことを知りたいのかな?」と感じることが多いんですが、どうですか?

ワッコ:わかりみです。

梅子:いい人で話も振ってくれるし、それなりに好意を寄せてくれてるのもわかるんだけど、「私に興味ないよね?」って思うことがほとんどなんですよ。

南:もう、わかり過ぎる! こちらの仕事やものの考え方には全然興味を示さないのに、家事をするかどうかにはやたらとこだわるとか。

梅子:そうですそうです。

南:私は「料理するかどうか」という質問でひたすら粘られたことがありますね。どんなものをどれくらいのレベルで作るのかという探りを延々と入れられた。

ワッコ:それはいやだなあ。

南:実際は結構料理するんですけど、そう答えるのもシャクだから「簡単なものしか作んないですね〜」と返したら、「でも料理はするんですよね?」としつこく聞かれてうんざりしました。

ワッコ:うっせえですねほんと……。ちなみに南さんは、ご自身が小説家であるということをアプリで出会った相手に伝えてるんですか?

南:会う前には言わないようにしていて、2、3回会うことになった人には伝えるようにしてます。けど大体いつも「へ〜」で終わりますね。

ワッコ:えっ!? 信じられない。小説家を前にして「へ〜」では終わらないですよね、普通。

南:総じて反応が薄いです。「すごいですね!」とか言ってくれる人はたまにいるけど、本を買って読んでくれるような人はごくわずかで、なんなら付き合うくらいの関係性になっても読まない人もいますし。

「俺に何をしてくれるか目線」の男たち

ワッコ:相手の仕事よりも、料理するかどうかに関心がある……それって「俺に何をしてくれるか目線」という感じがしてイヤだなあ。

梅子:そういう相手だと、いくら会話を重ねても自分のことは伝わらないなと思ってしまう。

ワッコ:私はよかれと思って自分のことを話した結果、説教されることが多くて……これは昔、桃山商事のニコ生番組で紹介したエピソードなんですけど、「お風呂でヤキソバ食べるのが好き」と話したら、「そういうことは男に言わない方がいいですよ」って言われました。

梅子:うわー。でも説教してくる人、一定数いますよね。

ワッコ:その男性とは同じ深夜ラジオが好きという共通点があってマッチングして、会った時もそのラジオの話が中心になったんです。リスナーの中では有名な「浅香光代さんは風呂でヤキソバを食べる」というエピソードがありまして、共感してもらえるかなと思って話したのですが……返り討ちにあってしまった。

「女性でも観るんですね」の裏に感じる“俺たちの理想”

南:偏見があるかもですが、そもそも深夜ラジオって「どうせ女は聴いてないし、こんなの聴いてる女はろくでもない」みたいな空気がないですか?

ワッコ:「男だけで楽しむ世界」みたいな前提はありますよね。

南:そこに女が混ざっていこうとすると拒否されるイメージがある。

ワッコ:アプリで会ったラジオ好きな男性は、ひねくれてるように見えて実はコンサバというか、女に幻想を抱いているタイプの人が多かったような気がします。「女性なのにサンドリ(『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』)聴いてるんですか?」って言われたこともあるし。

南:それ、映画とかでもありますよね。すごい前の話なんですけど、アプリの男性とメッセージのやりとりをしている時に『シン・ゴジラ』の話をしたら、「女性でも観るんですね」と言われました。

梅子:ええっ!?

南:すごいカチンときて、「女とか男とか関係ないと思いますけど」って返したら一切返事が来なくなりました。

ワッコ:はぁ!? 『アメリ』とか言えばいいんですかね!?

南:たぶん、期待してた感じと違ったんでしょうね。みんな「甘やかしてくれるエロい女」を探してるんじゃないかと思う。全員が同一人物を求めてるというか……まあ、そんな人どこにもいないけどね。

(構成:森田雄飛/桃山商事、編集:安次富陽子)

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