最近、山登りをはじめました。職場に詳しい同僚がいたので、ちょこっと登山について聞いたところいろいろアドバイスをくれました。新しいことを知るのは面白いのでいろいろ聞いて仲良くなったところまではよかったのですが、「山登りの話をしたいからランチ行かない?」と誘ってきたり、「ガスバーナー買うならこれがいいよ!」とラインしてきたりして戸惑っています。同僚とはわりと長い付き合いで、彼には家族もいるし、今さら男女のあれこれという関係に陥ることは100%ないのですが、なんていうか“アドバイスしている自分”が好きなところがあって、結局彼の話を聞いているだけの時間が苦痛になってきました。
いや、我ながらいろいろ教えてもらっているのにひどい言い草だなとは思うのですが、1聞くと10くらい返ってくる感じで「3くらいでいいのにな」と思うこともあります。よくネットで見かける「聞かれてもないのにウンチクを並べて知識でマウントとってくる人」とはまたちょっと違って、純粋にできるだけたくさんのことを教えてくれているんだろうとは思うのですが、過剰というかそこまで求めてないというか……。相手の熱量と私の熱量の差がありすぎて、だんだん申し訳なくなってきました。
アドバイスするときに大事なこと
他者にアドバイスをするときに大切なことは「情報を整理して伝えること」であって、なるべく分かりやすいように端折るべき部分はバッサリとはしょって、その人にとって今現在必要な情報のみを伝えることですよね。
しかし、とくにオタク体質な人にありがちなことなのですが、自分の知っている情報を余すことなく喋り続けようとしてしまうんです。
それはもう「アドバイス」というよりも「独白」に近いものがあるのかもしれません。完全に目の前にいる人のレベルを無視して、まるで同レベルの人に話し掛けているような状態。
聞いているほうの身になれば、何を言っているのかよく分からないけど熱量だけは伝わってくるので、話の腰を折るのも悪いし、「なんだかよく分からないけどあなたが楽しいのであれば最後までお付き合いしますよ」みたいな、一歩引いた視点で見てしまうんです。
それが初回だけならまだいいのですが、独白の快感を経て後日に改めて「おかわり」を要求されるとさすがにうんざりしてしまいますよね。
ちゃんとした「アドバイス」をしてくれたのなら、その趣味をもっと好きになれたかもしれないのに、オタク語りの聴取者に認定されてしまったおかげで、その趣味がイヤになってしまったという人も多いのではないでしょうか。
興味を持ってくれたのが嬉しいだけ
私にも若干マニアックな趣味があって、同等に語り合える友人知人がなかなかいないという寂しさはよくわかります。
そこへ少しでも興味を持ってくれる人が現れるとめちゃめちゃ嬉しいんですよね。
嬉しすぎて気持ちが暴走してしまい、今までの鬱憤(うっぷん)を晴らすかのようについつい喋りすぎて、相手をドン引きさせてしまったという苦い経験もありますが、ひとつだけオタク体質な人を弁護するのなら、そこに色恋の欲求は微塵もないということ。
もし共通の趣味を利用して色恋沙汰に持っていこうとする気があったとしたら、むしろその欲望がブレーキになって、後に黒歴史となる暴走を食い止めていたのかもしれません。
ただただ待ち侘びていた友人に巡り会えたような錯覚に不覚にも陶酔してしまっただけなので、決して下心などないということだけは理解していただければ幸いです。
純粋無垢になりすぎて相手を思いやることさえ忘れてしまっただけですから、その点だけはそこら辺の男よりも綺麗なのかもしれませんよ。
まぁ、オタクの独白は放っておいても遅かれ早かれ勝手に黒歴史になってくれますので、それまでは鮮やかにかわす方向で、暖かい目で見守ってあげてください。