部屋を片付けるには、捨てたり処分したり、譲ったりとモノを手放せばいい。わかっているけれど、そもそも捨てられないモノが多いんです! という人も少なくないのでは?
そんな人にぜひ注目してほしい、一風変わった収納本が『モノが多い 部屋が狭い 時間がない でも、捨てられない人の捨てない片づけ』(Discover21)です。著者は、“捨てない整理収納アドバイザー”の米田まりなさん。
東京大学経済学部を卒業後、大手総合商社に就職し、2017年から収納サービス「サマリーポケット」を運営する株式会社サマリーに出向中。同社のデータ解析担当として働きながら、整理収納アドバイザーとして、多くの人のモノと収納の悩みに向き合っています。
第4回では、クローゼットやタンスを片付けるコツについて教えていただきました。
まずは服の総量を知るところから
——把握できない量のお洋服があって、収納に悩んでいます。米田さんは、クローゼットやタンスを片付ける際、何から着手していますか?
米田まりなさん(以下、米田):まずは写真を撮ることからですね。クローゼットやタンスに入っている服をすべて出して、写真で見える化していきます。その後に、ダンボール何箱分の服があるか数えます。
——ダンボール……パッと数えるのが難しそうですが、どうしたらいいですか?
米田:収納箇所にダンボールをあててみて、面積と体積でざっくり数えちゃうとラクですよ。
——なるほど、それならすぐにできそうですね!
適切な収納量がわかる「÷3の法則」
——服の量を把握したら、次はいよいよ収納ですよね。クローゼット、ついパンパンに詰め込みがちなんですが、使いやすくするにはどうしたらいいでしょうか。
米田:服をハンガーにかけたときの厚みと、取り出すためのスペースを意識すると、だいたい1着3cmくらいの幅が必要になるんです。クローゼットのハンガーラックが90cm幅だとすると、90cm÷3cm=30着の服が収納できることになります。これを意識すると、使いやすいクローゼットになるんです。
——すごくわかりやすいです。タンスや衣装ケースの場合の目安はありますか?
米田:同じ「÷3の法則」で計算できます。20cm幅で、4段のタンスだとすると、20cm×4段÷3。だいたい、26着収納できるということですね。月1回以上使う服はハンガーラックとタンスに、それ以外は箱に入れて、押入れの奥にしまうか、サマリーポケットのような収納サービスなどに預けるのが理想です。
——無理して服を捨てなくてもいいんですね。
米田:そうですね。衣替えを年2回しっかりして、そのシーズン中に使うものは手が届きやすい場所にしまうのが鉄則です。着ないお洋服は、保管料を払ってまで保管したいかどうか考えるようにすればいい。着る服 / 着ない服の仕分け作業は、時間をかけず、1着あたり10秒程度が理想です。
——1着あたり10秒! そんなにパッと判断できる自信がないです。
米田:みんなじっくり悩んじゃうんですが、制約をつけないと終わらなくなってしまいます。服に限らず、仕分け作業は機械的に、時間で区切るのがコツです。
普段から利用頻度を意識して
——より手軽に、自分のワードローブを把握するにはどうしたらいいでしょうか。
米田:まずは1週間、毎日のコーディネート写真を撮影するのが一番おすすめです。私もやってみたんですけど、振り返ると、同じ服ばかり着ていたんです。利用頻度が高い10着だけあれば大丈夫だとわかり、残りは預けることにしました。
——「フランス人は10着しか服を持たない」とか、絶対嘘! って思ったんですけど、本当に10着でいけるものなんですね。
米田:お洋服は、コレクションなのか、仕事着なのか、「用途」で分けるのも重要ですね。結婚式二次会用のドレスと、普段着のジーンズを同じ軸で判断することはできません。いる、いらないの二択だと難しい。利用頻度が低いものは、レンタルを利用するのもいい手です。
——たしかに。米田さんは、どんなサービスを使っていますか?
米田:お洋服レンタルの「エアークローゼット」のほか、バッグレンタルの「ラクサス」は、かなり気に入っています。私はバッグにこだわりがなかったんですけど、「TPOに合わせてちゃんとして見えるものを揃えなくては」と、義務感でなんとなく買っていたんですね。でもいまは、バッグを考えなくていいのでストレスが減った気がしています。
——こだわりがないジャンルのものから、買わない工夫をすればいいんですね。
米田:ファッションって、コレクションの意味合いもあります。愛着があるものは減らさなくていいので、こだわりのないものをどんどん効率化するといいのではないでしょうか。
最終回は5月1日(金)公開予定です。
(取材・文:小沢あや、撮影:大澤妹、編集:安次富陽子)