お墓も「持たない」がトレンド? “自宅納骨”がコンセプトのミニ骨壷発売の背景

お墓も「持たない」がトレンド? “自宅納骨”がコンセプトのミニ骨壷発売の背景

近年、レンタルやリセール、サブスクリプション(定額制サービス)、シェアなどモノを持たない暮らしやライフスタイルが注目されていますが、葬儀や供養のスタイルも「持たない」がキーワードになりつつあるようです。

お墓情報サイト「ハナミズキ」を運営するIT企業「キリフダ」が9月に“自宅に納骨する”がコンセプトのミニ骨壷「ZAYU」を発売しました。

同社の豊沢真輔(とよさわ・しんすけ)社長は「高価なお墓はいらないのではという経済的理由・価値観の変化や、お墓の継承者がいなかったり、墓地が遠い場所にあったりなどさまざまな理由から、近年はお墓離れが進んでいます。供養の形もイエにとらわれず、夫婦や親子といったパーソナルな関係に根ざすものに変化し、自分らしさを追求する方が増えています」と話します。

供養の形も多様性の流れ? お墓も自分らしさを追求? そもそも「自宅に納骨」ってどういうこと? 発売の背景について豊沢さんにお話を伺いました。(前後編)

大きさはコーヒーの缶くらい。「骨壷」と言われなければ分からない。

大きさはコーヒーの缶くらい。「骨壷」と言われなければ分からない。

これが骨ツボ!? 自宅で納骨がコンセプトのおしゃれなミニ骨壷

「座っているところのかたわら」「手近」を意味する「座右」が由来の「ZAYU」。HPを見ると、六角、丸、四角の計30種類のミニ骨壷がずらりと並びます。素材は木製と真鍮(ちゅう)製で色は青や緑、銀斑(まだら)など。インテリアにもなじむ色で、「これ骨壷なんだよね」と言われなければ気付きません。

コーヒーの缶ほどの大きさで、実際に手に取ってみるとずしりと重みが。遺骨は骨壷に直接入れるわけではなく、まず木製容器に入れて専用の巾着袋で包み、外側容器という手順で納めます。価格は10万円台から14万円台です。

「『骨が全部入るんですか?』とお客さんによく聞かれるのですが、砕いて細かいパウダー状にしても全部は入りません。一部の骨を入れていただいて残りはお墓や納骨堂に収めたり、散骨したりしていただくこともできます」(豊沢さん)

ミニ骨壷「ZAYU」のセット内容

ミニ骨壷「ZAYU」のセット内容

震災をきっかけにお墓離れが加速

そもそも同社がミニ骨壷を販売しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか? 2008年に「ハナミズキ」を立ち上げた豊沢さんは、この10年で人々の“お墓離れ”をひしひしと実感していたといいます。

「(お墓離れの)根底には宗教離れや老後の経済的な不安があるのかもしれないですが、特に東日本大震災をきっかけに『所有に対してのリスク』が可視化されたことでお墓離れに拍車がかかったのだと思います」

確かに、厚生労働省のデータによると、高齢化で亡くなる人の数は増えているのに墓地の総数は減少。1997年は87万8,733基だったのが、2017年は86万7,918基と1万以上減っています。*

また、全国石製品協同組合(全石協)がいわゆる「墓じまい」を行った人を対象に8月に行ったアンケート調査によると、「墓じまい」した理由は「継承者がいない」「お墓が遠い」「お墓の維持費が高い」の順で多いという結果に。墓じまい後の遺骨の行き場については、27.5%が先祖代々の墓を撤去して合葬する「永代供養墓」でトップになりました。**

*厚生労働省「衛生行政報告例 統計表:墓地・火葬場・納骨堂数,経営主体・ 都道府県-指定都市-中核市(再掲)別」(2017年)http://u0u1.net/m9Yw
**https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000015761.html

長寿化による老後の経済不安、という要素も見逃せません。“人生100年時代”が叫ばれ老後のお金についての不安や心配は多くの人が抱えているのではないでしょうか?

「葬儀やお墓の費用をすべて含めると400~500万円かかります。でも、それはこのご時世でリアリティがない数字というのは『ハナミズキ』を運営している上で日々実感していることです。長く生きる分、日々の暮らしにお金がかかりますよね。死んだ後のことにお金をかけるより、今生きているうちに、という現実的・合理的な価値観への変化といえます」

そんな人々のお墓離れを日々実感する中で、「供養の形も一つである必要はなく、いろいろな供養の選択肢を提供するのが、お客さんにとってのメリットにもなる」と考え、ミニ骨壷のリリースに至ったといいます。

キリフダの豊沢真輔社長

キリフダの豊沢真輔社長

お墓参りに行けない罪悪感を少しでも緩和

一方で、豊沢さんは「だからと言って決して従来のお墓を否定するわけではないです」とキッパリ。

「お墓が遠くにあって、なかなかお墓参りに行けないことで罪悪感を感じている人も少なくありません。そんな人にとって(自宅納骨が)サテライト版のような存在になってくれればいいなと思います。お墓に行けない罪悪感をちょっとでも緩和するためのものとして、自宅での弔いの形を提案できれば」と話します。

最近は、樹木葬や海洋散骨も人気を集めています。

「散骨で遺骨をすべてまいてしまったことで後悔する“散骨ロス”も発生しているようです。なので、最近は散骨業者の方が『一部を残したらいかがですか?』という提案をされているそうです。散骨と合わせて自宅納骨を行っていただくのもいいと思います」

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故人を思う形は人それぞれ

所有することのリスクや経済的な不安、遠方に住んでいてなかなかお墓参りに行けないというお墓離れの事情を伺ってきましたが、豊沢さんによると供養や弔いの形も近年、変化してきたそう。

「供養の形も、古くからのイエや親戚などのしがらみから解放されて、夫婦や親子といったパーソナルな関係に根ざすものに変化し、風習やしきたり、宗教に縛られないで自分や自分のライフスタイルに即したものに変わってきています。故人を思う形も人それぞれであっていいんじゃないかなと思います」

年末年始、実家や地元に帰省する人も多いかと思いますが、この機会に家族と話し合ってみてはいかがでしょうか?

※後編は12月23日(月)公開です。

(取材:ウートピ編集部・堀池沙知子)

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