中川翔子さんインタビュー 後編

「死ぬんじゃねーぞ!」の続編を書くなら…。中川翔子のこれから

「死ぬんじゃねーぞ!」の続編を書くなら…。中川翔子のこれから

「学校に行きたくないあなたと、かつて子供だった私たちへ」
の連載一覧を見る >>

「大丈夫。なんとかなる、なんとかするために、わたしたち大人がいます」

中川翔子さんは、著書『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)でなんども、いじめられて苦しんでいる子どもたちに向けて「死にたい夜を超えて、今日1日をなんとか生き延びてほしい」とメッセージを発信しています。

自身も中学のころ、いじめられて不登校になった経験を持つ中川さん。前編では、当時の気持ちを忘れないことや、大人として寄り添ってあげられる人になること、幸せそうな背中を見せることが大切だと語ってくれました。

後編では、そんな中川さんの現在とこれからについて話をうかがいました。

122-1

木村にやっと聞けました

——本書の中に出てくる友人の木村さんの存在も希望になるなと思いました。木村さんから感想は聞いていますか?

中川翔子さん(以下、中川):照れちゃってなかなか「読んだ?」って聞けなかったんですけど……。先日会ったら爆笑されました。「もー! こんなに悩んでたの!?」って。「他の人から何か言われていたかもしれないけれど、それよりも一緒にいるのが楽しいから一緒にいたんだよ。今も」と言ってくれて、なんていいやつだ……と感動しました。

——小学生の頃からの付き合いだそうですね。

中川:はい。小学3年生のときにマンガをかしてくれたのがきっかけで仲良くなりました。でも、私は中学に入ってからスクールカーストがどんどん低くなる一方で、木村は上のカーストの優等生とも付き合える。正直、「私なんかといると損するんじゃないかな」って思うこともありました。すごく救われていたのに。複雑な気持ちでしたね。

——木村さんは、いじめに気づいていた?

中川:そうだと思います。一緒に帰るとき、ボコボコにされた靴箱を見ていましたから。でも、私は詳細を話すのに抵抗があって……。木村は何も聞かないでいてくれました。くだらないこと、いじめの根本じゃないことで大爆笑できる人がいる。ただそれだけで救われることってあるんですよね。

——ただ寄り添う「隣(とな)る人」になるということですね。

中川:はい。いじめが目の前で起こっていたら、きっと怖いですよね。一緒になってムシしたり、悪口を言わないと自分もターゲットにされるかもしれないし……。木村みたいな行動をするのはすごく勇気がいると思います。

でもそういう不安を抱えている人に覚えていてほしいのは、いじめている側、加害者側が本当にくだらないということ。いじめられている人は絶対に悪くないんです。

「おはよう」と声をかけるだけでもいい。些細なきっかけで、強くなれることもあるし、救われることもあります。その勇気があれば、世界はもっと柔らかくなるはずです。

——いじめをする人は絶対に許してはいけないけれど、傍観者になってしまって苦い思いをするなら勇気を出してほしいですね。

中川:揉めごとを起こしたくないから「なかったこと」にしてしまう人もいますよね。でも、それがとどめの一撃になりかねない。消えたい衝動に対して、ムシや無関心は逆効果です。いじめる人と直接戦わなくても、いじめられている人に関心を持ってあげることはできると思います。

『デイジー・ラック』の共演者とのカンケイ

——たしかに。大人になった中川さんの今はどうですか?

中川:生きていてよかったと思っています。いじめられていた頃は否定されていたことが、今、仕事や生活にいきていて、好きなことを続ける自分を肯定できました。蓄積された知識は一生物なんだなと改めて感じています。

それから、好きなことや趣味がさらに増えて、好きの幅がめちゃくちゃ増えました。今年は(普通自動車)運転免許も取りましたし。

——運転免許、いいですね。何がきっかけだったんですか?

中川:昨年放送されたドラマ『デイジー・ラック』(NHK)の共演者と車の話をしたことですね。みんな楽しそうだなと思っていたら「免許取ればいいじゃん!」って。以前の私だったら、興味のないことには手を出そうともしなかったんですけど、そのときは「取ればいいのか!」と思って。

今は車を運転するのがすごく楽しいです。先日の休みも、アラームをかけずに寝て、お昼ぐらいまでゴロゴロして、夕方から運転してお出かけして、バーベキューに行きました。

122

続編を書くなら…

——なんていい休日……。お仕事の面では今後、何か展望はありますか?

中川:そうですね……。最近、夢への目線が変わりました。これまでは、自分がアニメの主題歌を歌いたいというのが目標だったのですが、今は子どもたちに夢や思い出を歌で届けられたら最高に幸せだなって。

——どんな歌や思いを届けたいと思いますか?

中川:やっぱり『死ぬんじゃねーぞ!』的なことですかね……。でも言葉には力があるから……。

——ポジティブな発信を大切にされていますよね。ブログも「明るい遺書」のつもりで書いたと。

中川:そうなんです。自分が生きた証を残せる場所がほしかったので。ブログを開設した当時は、「こんなにひどいことがあった」とか、「こんなことを言われた」って呪いを書こうとしていました。でも、「いや、どうせ死ぬんだし、これが好きだったっていうことを書き残しておこう」と。

これが好き、これが楽しい、こうなりたいってつづっていたら「生きているうちにやらなきゃ!」「ムダな時間を過ごすのはもったいない!」って、現実の行動も加速していきました。もし最初に闇ブログとか、呪いの言葉をたくさん書いていたらと思うと恐ろしいですね。

——そうですね。

中川:大人に向けてのライブでは「死ぬんじゃねーぞ!」と言っているんですけど……。そうだ。最近、子どもたちに「長生きしようねー」って言葉が自然と出てきたんです。だから、続編を書いたり作品を作ったりするなら「長生きしようぜ!」ですね。

(ヘアメイク:灯(ROOSTER)、スタイリスト:尾村綾(likkle more)、取材・文:安次富陽子、撮影:面川雄大)

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る

この連載をもっと見る

学校に行きたくないあなたと、かつて子供だった私たちへ

「夏休み明け」「春休み明け」「5月連休明け」の三つに集中するという子供の自殺。不登校や学校に行きたくないという思いを抱えながらつらい思いをしている子供がたくさんいます。「そういえば私も学校に行きたくなかったな」と子供時代を思い出す人もいるのではないでしょうか? 子供が身近にいてもいなくても、私たちはかつてはみんな子供だった。大人になった今、私たちにできることは何だろう? ウートピでは、「不登校」に関する記事を定期的に掲載します。

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

「死ぬんじゃねーぞ!」の続編を書くなら…。中川翔子のこれから

関連する記事

編集部オススメ

仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。その両立って本当に必要?改めて問い直すキャンペーンが始まります。

後悔のない30代を過ごしたい。ありとあらゆる分野のプロフェッショナルに、40歳から自分史上最高の10年を送るために「30代でやっておくべきこと」を聞いていきます。

記事ランキング