『おばあちゃんと僕の約束』と同じタイ発の青春映画と、やはり高齢の母親とその子供たちの選択を描いた中国映画、同日公開の映画2本を紹介する。
“親友ごっこ”から始まる、心の傷を癒やす時間『親友かよ』

(c) 2023 GDH 559 AND HOUSETON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
ある事情から高校3年生で転校したペーは、明るく人懐こい性格のジョーと隣席になるが、ジョーが不慮の事故で亡くなってしまう。程なくして、短編映画のコンテストに入賞すれば大学の映画学科に入学できると知ったペーは、ジョーの“親友”だと嘘をつき、彼の遺したエッセイをもとに映画を撮ろうと画策。やがてペーは、ジョーの過去と秘密を知ることに……。
誰かに不義理をしてしまった過去を持つ少年たちの成長を爽やかに描く秀作。ペーが本当の映画作りとは何かを会得していく姿も「好きなことが見つからない」と悩み中の人に響きそう。
『おばあちゃんと僕の約束』と同じく、次々とヒット作を生み出している注目の映画会社GDH 559製作。『おばあちゃん~』も90年生まれのパット・ブーンニティパット監督による作品だったが、本作のアッター・ヘムワディー監督も91年生まれと同世代。タイ映画の瑞々しいエネルギーを感じて。
6.13(金)より新宿シネマカリテ、渋谷シネクイント、 池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開
配給:インターフィルム
公式HP https://notfriends.jp/
(c) 2023 GDH 559 AND HOUSETON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
葬り方を考えることは、生き方を考えること『舟に乗って逝く』

(c) 2023 Fractal Star Film Production Co., Ltd., Infinina Media Co., Ltd.
中国・江南の水郷の町で一人暮らしをする老婦人ジンに、重い病気が見つかる。上海で米国人の夫と塾を経営する長女ジェンは、諦めずに治療を続けるべきだと主張。一方、旅行ガイドとして働く次男チンは、穏やかな余生を過ごさせようと訴える。ジンの病気を巡り、それぞれの家族の事情が見えてくるなか、ジン自身の過去も明らかになっていき……。
高齢の親を見送るという主題だけではなく、子供たち、孫たち世代の考え方や葛藤も、しっかり描いているところが興味深い。家族の数だけ、それぞれの事情と、葬り方がある。『おばあちゃんと僕の約束』と見比べてみても、多くの発見があるはずだ。
6.13(金)よりグランドシネマサンシャイン 池袋、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
配給:ムヴィオラ、面白映画
公式HP https://fune.moviola.jp/
(c) 2023 Fractal Star Film Production Co., Ltd., Infinina Media Co., Ltd.
(映画ライター:新田理恵)