コラムニストのジェーン・スーさんが会いたい人と会って対談する企画。今回のゲストは、能町みね子さんと「夫婦(仮)」として共同生活を送り、最近は『私みたいな者に飼われて猫は幸せなんだろうか?』(著:能町みね子、写真:サムソン高橋)も上梓したゲイライターのサムソン高橋さんです。全3回。
気がついたらIZAMとひなのより続いている「結婚(仮)」
ジェーン・スーさん(以下、スー):能町みね子さんとの生活を始めてどのくらいですか?
サムソン高橋さん(以下、サムソン):引越しの段ボールの山のなかで平昌オリンピック(2018年2月)を見てた覚えがあるので……ちょうど4年です。
スー:4年たっていかがですか。能町さんは『結婚の奴』を上梓されたし、対談
(例えばhttps://sheishere.jp/column/202002-nomachijane/)やインタビュー(https://book.asahi.com/article/13039199)で結構お話しされてますけど。
サムソン:「ままごと婚」と言われたIZAMとひなの*よりかは続いているね。
*ビジュアル系バンドSHAZNAのボーカル・IZAMと吉川ひなの。1999年2月に結婚し同じ年の9月には離婚を報告
スー:わはは! それ、通じる人のほうがもはや少ないかも(笑)。この4年間で大きな喧嘩(けんか)をすることもなく?
サムソン:ないですね。互いに愛情的なものがあるわけではないから、そんなにコンフリクトが起きない。
スー:ご存じない方のために、少し補足しましょう。詳しくは能町さんのご著書『結婚の奴』を読んでいただければと思いますが、サムソンさんと能町さんは「結婚(仮)」という形で4年前から同居生活をしていて、生活面でいうと能町さんが、昭和で言うところのお父さん?
サムソン:かな?
スー:サムソンさんがお母さんということで、家のことをやる、と。
サムソン:だらしないお父さんとだらしないお母さんですよ。毎月能町さんから10万円をもらって、朝食、昼食、夕食、光熱費をやりくりしてます。あと私も書く仕事と、他にバイトもしてます。
スー:やりくり上手ですね。
サムソン:そんなに悪くないでしょ。
スー:サムソンさんは『世界一周ホモのたび (本当にあった笑える話)』シリーズを出されるくらい頻繁に旅に出る方ですけど、お互いが頻繁に家を空けることもOKになってるんですか?
サムソン:なってるのかな? 能町さんも昨年は急に夏、青森に2、3カ月行ってましたしね。東京の五輪とコロナと暑さから逃げるためだったんですけど。それもわりと「いってらっしゃい」みたいな感じで送り出しましたし。
スー:その間にさみしいとかなかったですか?
サムソン:私ね、さみしいという感情ないのよ。そして、そういうことによって、二人の関係に何か問題が起きるわけではないですね。それもやっぱり、男女の愛情があるわけじゃないから、ということもあるんじゃない? 恋愛感情があると、相手に自分の思い通りになってほしいという気持ちが出てくるでしょう。そういうの、なかった?
スー:当然あります。ありました。サムソンさんと能町さんはいわゆる恋愛感情をベースにしていない結婚、つまりゆるい連帯という言い方になるのかな。