サムソン高橋×ジェーン・スー対談・第1回

「能町みね子からガンガン来られるとは! 」本当にゆるい結婚生活(仮)【ジェーン・スー×サムソン高橋】

「能町みね子からガンガン来られるとは! 」本当にゆるい結婚生活(仮)【ジェーン・スー×サムソン高橋】

初デートは宇都宮健児のイベント

サムソン:能町さんとわたくしの関係を最初から説明すると、そもそもはこっちが一方的に能町さんの書くものが好きだったんですよ。能町さんの『オカマだけどOLやってます。』を読んで、私もオカマだから、最初は「まあ、オカマをビジネスにしてるふてえ野郎が出てきた」って見てたんです。けど、読むうちすごくよくわかっている人だって思うようになって。一番好きなコラムニスト能町みね子って感じになりました。それでトークイベントに行ってご挨拶したのが初対面です。お互い人見知りだからほぼ喋らずで、「どうもどうも」くらいでしたけど。それをきっかけにツイッターでやり取りするようになりました。

スー:そうして宇都宮健児のイベントに一緒に行った、と。

サムソン:そうそう。僕はライターとしてはめったに活動してないんですけど、半年に一遍くらい記事を書くんですね。それを能町さんが褒めてくれて。その時、能町さんが「一人暮らしに飽きた」「偽装の結婚をしたい」ってツイートして、相手は同性愛者の男がいいんじゃないって、「サムソン高橋なんかいいと思う」って。当然私はそれ拾うじゃないですか。「お互い煮詰まったらそうしましょうよ」って軽い気持ちで書いた。そしたら向こうはわりと本気だったらしく「一遍デートしましょう」ということで宇都宮健児のイベントです。

スー:お互いの指向が違うから、そこに性愛はないわけじゃないですか。ただ、人間愛が育めるかどうかっていう、そこは、出会いの時点でまだわからないところですね。

サムソン:同棲とかも、私、一度もしたことなくて。親元離れてから誰かと一緒に暮らしたことが一度もなかったので。

スー:よくこの年から行けましたね。

サムソン:いや、さいしょ引き気味でしたよ。「え? ほんと? 本気なの?」って。でも向こうが本当に週1くらいで家に来たりするようになって。

スー:赤羽のお家ですね。この家についてはサムソンさんの本(『ホモ無職、家を買う』)を読んでください。

サムソン:そう、ある日、赤羽商店街で買い物してて、ネギを片手にぶら下げながら歩いてたら、不動産屋に一戸建て800万円って出ていたんですよ。思わず現地を見学したら、あれよあれよと雰囲気にのまれてハンコを押しちゃった。

スー:しかもローンじゃなくて現金払いでしょう。

サムソン:一気に貯金がゼロに近くなりました。そこに能町さんがやってきて、私は性格的にノーとは言えないから「どうぞどうぞ」言ってたら本当に引っ越してきましたね。男からこんなに積極的に来られたことないのに、まさか能町みね子からこんなにガンガン来られるとは! 

スー:で、一緒に暮らし始めた、けど、籍は入れてない。

サムソン:入れない入れない。この前ね、能町さんとどんな漫画を読んできたか、みたいな話をしてたんです。私が少年漫画を全く読んでなく、少女漫画ばかりって言ったら、「あなたの人生には努力も友情も勝利もない」って言われました。

スー:ジャンプ要素「友情・努力・勝利」がないってことですね。

サムソン:あと「責任」もない。籍を入れるとなると責任が生じちゃうじゃない。

スー:お互いのね。

サムソン:そこまで思い切れない。

スー:能町さんは自分が死んだらお金をサムソンさんに遺してもいいみたいなことも言ってらっしゃいましたけど。

サムソン:私の辞書には努力と勝利と責任がないから、逆にお金を残してもいいみたいなことを言われると責任を感じて「あーいいやー」って思っちゃう。

スー:ゆるい連帯ではなくなるってことなのかな。でも死んだ時にお金が遺っていたら「わーい」ってなりません?

サムソン:どっちが先に死ぬかはわからないわよ。小町は3歳か4歳くらいだから、あと12、3年は生きると考えて、となると私は70手前ですよ。そこまで生きているかなって思います。小町と私、どっちが生きていられるか、デッドヒートよ。

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第2回は4月13日(水)正午公開です。

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