スーパーに並ぶちょっと高級そうな食品や輸入雑貨店に並ぶオシャレなパッケージの海外食材……。興味はあるけれど、「どうやって食べればいいかわからない」「最後まで使い切れるか心配」とひそかに思っている人は少なくないのでは? 食文化研究家のスギアカツキさんに、誰でも気軽に楽しめる取り入れ方をご紹介いただきます。
「戦後の食品三大発明」のひとつとして、日本いや世界中で愛されているのが、「即席めん」。中でも鍋や器さえもつかわないカップ麺タイプは、最強の時短料理とも言えます。
しかも最近では簡単・便利という手軽さだけではなく、新たな魅力を加えてますます進化を果たしていることに、私は心から感動しています。そうです今回のテーマは、「ごちそうカップ麺」。今や“ごちそう”の定義はひとつにあらず、食品メーカーそれぞれのこだわりを感じられる醍醐味(だいごみ)になっていますから、ここではその最新トレンドをご紹介していきたいと思います。

「ニュータッチ 凄麺 名古屋THE・台湾まぜそば」(ヤマダイ)
麺のモチつる感や卵黄ソースがあまりにおいしくて、インスタント麺の概念がアップデートされました。
2023年最新版!ごちそうカップ麺のトレンドとは?
はじめに、世界初のインスタントラーメン(チキンラーメン)を生み出した日清食品に、インスタントカップ麺のトレンドを聞いてみました。
昨今の生活環境の変化に伴って、消費者の健康志向がさらに高まっており、インスタントラーメンに関しても、そうしたニーズに応える商品が増えていくと考えています。弊社でも「カップヌードルPRO」や「完全メシ」などの商品を発売していますが、単に機能性が高いだけでなく、「ヘルシー」と「おいしい」を両立することが大きなポイントになると思います。(日清食品株式会社 マーケティング部 白澤さん)
なるほど! おいしいことを基本にしながら、必要な栄養素が入っていること、不要な成分がカットされていることがカップ麺で味わえるとしたら、食の楽しみや喜びがますます広がるに違いありません。それでは具体的に今どのようなコンセプトの商品が登場しているのかを見ていくことにしましょう!
「ごちそうカップ麺」にまつわる8つの最新トレンド
1 旅行気分が楽しめるご当地味
「ニュータッチ 凄麺シリーズ」(ヤマダイ)

(左上から)札幌 濃厚味噌ラーメン、横浜とんこつ家 豚骨醤油味、和歌山 中華そば、
(左下から)名古屋 台湾ラーメン、広島THE・汁なし担担麺、名古屋THE・台湾まぜそば
カップ麺において“名店とのコラボ”は定着しつつありますが、それと同じく受け入れられつつあるのが、「地域性」をコンセプトにしたもの。中でも際立っているのが、麺のおいしさに徹底的にこだわりながらご当地感を再現しているのが、ヤマダイの「ニュータッチ 凄麺シリーズ」。ゆでたての旨さを再現するための独自のノンフライ麺がとにかく美味で、そのレべルやこだわりには新製品登場のたびに感動してしまいます。ご当地シリーズは現在25種類。商品ごとに麺の種類(極細・中細・平打・太・極太など)が異なるので全国制覇したくなる気持ちが芽生えます。
2 大人気定番商品のプレミアムバージョン
「日清の最強どん兵衛 きつねうどん」「日清の最強どん兵衛 かき揚げそば」(日清食品)
コロナ禍でライフスタイルが変化し、普段の日常にちょっとの贅沢(ぜいたく)を求めるニーズが生まれています。そんな要望に応えるべく2022年3月に登場して以来、人気なのが、「日清の最強どん兵衛」シリーズ。こだわりぬいた麺、つゆ、具材を使用した、まさに“最強”の一杯です。私が最も驚いたのは、「きつねうどん」の肉厚おあげ。お湯を注いで8分という長い時間を待つ甲斐(かい)があります。
3 ロングセラー商品の新バリエーション
「わかめラーメン 海鮮チゲ鍋風」「わかめラーメン ごま豆乳鍋風」「わかめラーメン 鶏白湯鍋風」、「わかめラー 麺なし ごま・しょうゆ」(エースコック)
今年40周年を迎えるエースコック「わかめラーメンシリーズ」からは、わかめを主役にしながらも鍋をテーマにした人気鍋味が登場しています。種類は、海鮮チゲ鍋風、ごま豆乳鍋風、鶏白湯鍋風とどれも濃厚で旨味を感じるものばかり。そして同シリーズからは麺が入っていない麺なしタイプ「わかめラー」が定番商品として登場しました。この麺なしタイプに入ったわかめ量は、定番品の4倍。長く愛されてきた人気ラーメンが楽しく広がりを見せてくれています。
4 個性が光りはじめたスーパーPB商品
「野菜献立 チリトマト」「野菜献立 ちゃんぽん」(ベイシアプライベート商品)
これまでスーパーマーケットのプライベート商品(PB商品)として発売されているカップ麺は安さを追求したものが主流でしたが、最近ではおいしさを軽視しない特別感のある商品が登場しています。例えば群馬県を拠点に成長が目まぐるしいスーパー「ベイシア」では、ほうれん草やトマトを練り込んだヘルシー麺が味わえるチリトマトやちゃんぽんが人気。一度食べると心に強く残るインパクトがあります。食品の値上げラッシュの影響により、ナショナルブランドとの価格差が開きつつあるのも追い風に。今後の新商品にも注目が集まることは間違いありません。
5 魚介の旨味・香りを追求した新ジャンル
「日清ラ王 鯛パイタン」「日清ラ王 HOTATE鶏白湯」(日清食品)
ここ最近のラーメン界では、「鯛」をだしに使ったラーメンが人気になっています。その流れを受ける形で登場したのが、「日清ラ王」シリーズの新商品「日清ラ王 鯛パイタン」。鯛の旨みと柚子の香りが感じられる濃厚な鯛白湯スープに「特製調味鯛オイル」を入れて仕上げるほか、「鯛つみれ」が具材に入っている、まさに“鯛尽くし”の一杯です。同じく「日清ラ王」から、ホタテだしと鶏のうまみを凝縮したスープが特長の「日清ラ王 HOTATE鶏白湯」も登場するなど、魚介系ラーメンの注目度が高まっていると言えます。
6 焼きそばにも多様性が広がる
「たらこバター味焼そばモッチッチ」「焼そばモッチッチ」(エースコック)
カップ焼きそばのおいしさも向上しています。オススメはまるで家庭で調理した焼きそばのような「もちもち真空仕立て麺」が魅力のエースコック「焼そばモッチッチシリーズ」。期間限定でたらこバターが登場していて、焼きそばの世界観も楽しく広がります。ラーメン以上にメーカーの特長が出やすい焼きそばジャンルで、自分のお気に入りを探してみるのはいかがでしょうか?
7 健康配慮派のための最高峰
「カップヌードル 塩分控えめPRO 1日分のカルシウム&ビタミンD」「カップヌードル 塩分控えめPRO 1日分のカルシウム&ビタミンD カレー」(日清食品)
売れ行き好調な商品の一つに上げられるのが、「カップヌードル PRO」シリーズ。同シリーズは“カップヌードルのおいしさそのまま、高たんぱく&低糖質”がコンセプトで、かくいう私も熱狂的なファンの一人でもあります。そして今月20日、新たなラインアップが登場しました。日清食品が新開発した減塩技術によって、「カップヌードル」のおいしさそのままに塩分は30%カット。その上、1日分のカルシウムとビタミンD、たっぷりの食物繊維が配合されているという、健康配慮派にはうれしい設計になっています。早速食べてみましたが、我が家の定番に早くも昇格しています。
8 栄養とおいしさのバランスを追求した「完全メシ」
「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い汁なし担々麺」(日清食品) ※4月3日発売

日清食品が力を入れている「完全メシ」に新商品が登場しました。「完全メシ」は、「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素とおいしさの完全なバランスを追求したブランド。今回発売前に試食をさせてもらいましたが、文句のつけようのないおいしさでした。本格的な濃厚さの中に少々のジャンク感も味わえる絶妙なバランスに脱帽です。カップ麺業界を力づよくけん引してくれる、驚くほどパワフルな逸品です。
本日の美食・成り言葉
おいしいのは当たり前。もっとワガママに自分好みの逸品を味わいましょう。