ハルメク「2022-2023シニアトレンド」発表会リポート vol.2

「BTSファンになってつながりが増えた」麻木久仁子・海原純子が『ハルメク』イベントに登壇

「BTSファンになってつながりが増えた」麻木久仁子・海原純子が『ハルメク』イベントに登壇

2022年12月7日、ハルメクホールディングスは、雑誌『ハルメク』のシンクタンク「生きかた上手研究所」が調査・考察を行なった「2022-2023年シニア世代のトレンド」の発表会を都内で行いました。

イベント後半には、タレントの麻木久仁子さんと心療内科医/エッセイストの海原純子が登壇しトークセッションが行われました。

モデレーターは「生きかた上手研究所」所長の梅津順江さんです。トークセッションから、一部をピックアップしてお届けします!

左から、梅津さん、麻木さん、海原さん

推しができて「私、どうせ還暦だし……」が軽くなった

——2022-2023年シニアトレンド発表会では、6つのトレンドを発表しました。印象に残ったものはありましたか?

麻木久仁子さん(以下、麻木):(自分が)ハルメク世代として、6つすべてヒットしました。その中で1つ挙げるなら、やはり「推し活」でしょうか。実は私、BTSのファン=ARMYなんです。正直、3年前まで自分がこんな風になるなんて思ってもいませんでした。

これほどアイドルやアーティストに夢中になったのは、中学生の頃のベイ・シティ・ローラーズ以来。45年ぶりの推し活に励んでいるところです。

海原純子さん(以下、梅原):ハルメク世代の推し活って、Z世代とちょっと違う感じがありますよね。今までいい妻、いい母、あるいはいい職業人をやる中で、手放さざるをえなかったものがあるわけですよ。それを、50歳を過ぎてから1つずつ取り戻し、生活の中に加えていくとすごく豊かになることがあって。

要するに、推し活をして、自己成長をして、若い人たちと交流して、つながりができる。麻木さんも多分、BTSを通じて若い人たちと交流すると思うんだけど、そういうところでつながりが増えていくんじゃないですか。

麻木:そうですね。私の場合、もともとBTSをすすめてくれたのは娘なんです。彼女は28歳で、ジャニーズも好きだし、いろいろなものを推していて。

ある時、私が年齢のこともありちょっとくすぶっていると「ママ、元気の出るものがあるから」って紹介してくれて。それで始まったんですよ。

思ってもみなかったことに夢中になったけれど、我が家に、親子でARMYの方が遊びに来てくれることもあります。はじめはママ同士でしゃべり、娘たちは向こうでしゃべって、そのうちDVDを流して全員で盛り上がり……みたいな(笑)。

同じものに夢中になると、職業も年齢も性別も何も関係なくフラットになれるんです。ずっと仕事にまい進して、あるいは家庭のことで一生懸命で「ママとして」とか「タレントとして」とか言っているときと違う。まったく違うコミュニケーションが急に開けたんですよ。

海原:私も、新入社員が会社に入ってきたときや、部署異動の時期に「共通点探し」のワークショップを企業向けにやることがあるんです。共通点が多いほど、相手に親しみを感じるから。

麻木さんもそうだと思うけど、外に出ると「タレント」とか「医師」っていうレッテルをベタっと貼られてしまうことがあるでしょう?

麻木:そうですね。

海原:それ、嫌なのよね。

麻木:いい面もあるけれど、逃げたくなる時もありますね。

海原:すごく息苦しい感じがしてね。いつも医師としての自分でいなきゃいけない、みたいなのは疲れるじゃないですか。そういうことを脱ぎ捨てて、好きなものが一緒の人同士で盛り上がるって、幸せだと思うんです。

麻木:さきほど、ベイ・シティ・ローラーズ以来、45年ぶりの推し活と言いましたよね。若い時の推し活って、疑似恋愛的な要素があったんです。でも、今はそういう感情もなく、キラキラと輝いて生命力を発揮している姿を見て、そこからストレートにエネルギーもらえるんですよ。

その、幸せで輝いている生命体、全力でパフォーマンスしている生命体を見ると、年齢とともに失っていった自信や、「私もどうせ還暦だし……」みたいなネガティブな部分が払拭されて。このキラキラを見て、私も頑張ろうっていう気持ちになることがありますね。

年齢を重ねてメイクの楽しみ方に変化

——今回は「AGEメイク」もトレンドに入りましたが、お2人のメイク事情も教えてください。

海原:面談などが全部オンラインになってしまったので、メイクがシンプルになってきました。ただ、そこから発見につながったところが結構ありましたね。たくさん塗るとシワが目立つとか、ベースメイクをきっちりしてポイントメイクを軽くするのがいいとか、粉っぽいメイクはやめようとか。

30〜40代の方々が教えてくれる、安いコスメ事情などもすごく役に立ちます。そういう話を聞いて、絵を描く感じでメイクするのが楽しいですね。

麻木:若い頃のメイクって、今思えば、流行を追っていただけですよね。今年の流行は眉毛が太い細いとか、口紅はピンクとか、アイシャドウはラメが強いのがいいとか。その時々の流行に合わせて楽しんでいたし、もしかすると、流行に流されていたかもしれないところもあった。

それが、年とともにだんだん落ち着いて、50代半ばぐらいでメイクに対してほぼ興味を失ったんですよ。ところが、還暦が見えてきた頃に、今度は若い時とは違うメイクへの興味が出てきました。この年になってようやく、私自身をどう装うのかっていう意識が芽生えてきましたね。

アイラインの引き方ひとつにしても、肌が弾力を失って、ちりめんっぽくシワシワしているから、スッと真っすぐには引けない。だから、あれこれ工夫しながら、今の私に合ったメイクはなんだろうって考えるんです。

それがうまくいったときに「何か今日は調子いいじゃない。今日は上手くいくよ」っていう気持ちになる。ひと口にメイクといっても、若い頃とは自分の気持ちの上げ方が変わってきた感じがしています。

海原:自分がシャッキリするというか、自分の気持ちを整えるメイクですよね。

欠点も「私らしさ」と受け入れられるように

——お二人のお話を聞いて、自分のことをよく理解して認めているからこそ、さらに輝けるのだと感じました。

麻木:若い頃は、自分のダメなところをなかなか認められませんでした。それをバネにしたり、エネルギーにしたりして、自分の居場所をつかんでいった部分もあると思います。

この歳になると「こんな欠点があっても生きてこられたんだから」「もっとプラスの方向でやっていこう」って、自分を生かしていこうとする感じになりますね。

素直になれた分、推し活にしてもメイクにしても、いろいろなことを素直に楽しめる。何でもストレートにトライできる感じがようやくしてきました。

海原:昔は、こういう会に出るときは、ハイヒールを履きたいと思っていたんです。今日も持ってきたけど、スニーカーのほうが温かいし、麻木さんに聞いたら「スニーカーでもいいんじゃないですか」って言われたから、スニーカーを履いています(笑)。

(ハルメクや企業には)着るものも、心地よくて、でもクールな商品をどんどん開発してほしい。パリやニューヨークに行くと、エイジレスじゃないですか。もっと自由に素敵なものを選べる商品づくりをしてくれたら、シニア世代は喜んで買うんじゃないかな。

苦手意識を乗り越えるキーワードは「失敗しても大丈夫」

質疑応答の時間には、会場から「スマ活シニア」についての質問が。梅津さんは「ワクチン接種や美術館などのオンライン予約など、デジタル化が進む中でその便利さに気づいたシニアが、スマホを活用したサービスに興味を持ちはじめている。ひとつデジタルの入り口を見つけたシニアに関しては、そこから広がりが出てきている」と話します。

会場:シニア世代の中には、「便利さは理解できるものの、デジタルはなんとなく苦手」といった声も一定数ありそうです。そういった苦手意識を「えいやっ」と越えるためのコツがあれば、教えてください。

海原:失敗を怖がらないことですね。この前、オンラインイベントをやったら86歳の方がいらして、「初めて参加した」とおっしゃっていたんですね。そういう方でも、サポートがあれば参加しやすいし、失敗しても(セキュリティに問題がなければ)大丈夫と教えてあげれば、皆さんもっと気軽に使えるんじゃないかと思いました。

麻木:確かに、苦手意識があると踏み込めないですよね。実は私、半年ほど前からYouTubeチャンネルを始めたんです。撮影も、編集も、アップも自分でしているんですけど、それまでは本当にデジタルがダメだったんですよ。

最初のうちは、画面が固まっちゃうと、その謎を解くのに3日かかる……みたいな感じだったんですが、だんだん克服する過程そのものがおもしろくなってきて。素材をダウンロードしたり、編集ソフトを使ってみたりして、試行錯誤しながら楽しんでいます。

そういう、夢中になれるものに出会うヒントは、やっぱりリアルな人間関係の中にあるんですよね。古くからの友人でも、ママ友でも、推し活でもいいんですけど、人との繋がりをどれだけキープするか。そこでいかに刺激を得て、それを受け入れる度量を持つことが大事かなと思います。

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