『ちょうどいい結婚のカタチ』インタビュー・前編

「子供ができなかったとしてもこの人となら大丈夫」私にとっての“ちょうどいい”結婚【山崎ケイ】

「子供ができなかったとしてもこの人となら大丈夫」私にとっての“ちょうどいい”結婚【山崎ケイ】

独自の恋愛メソッドが話題になり、ドラマ化もされたエッセイ本『ちょうどいいブスのススメ』(主婦の友社)。著者でお笑いコンビ・相席スタートの山崎ケイさん(39)が、このたび「結婚」をテーマにした恋愛&婚活エッセイ本『ちょうどいい結婚のカタチ』(ヨシモトブックス)を上梓しました。

同書は、WEBメディア「andGIRL web」の連載に、コラムニストの犬山紙子さん、お笑いタレントの横澤夏子さんとの対談、結婚相談所へのインタビューなどを新たに加えて書籍化。

私生活では、2020年10月に元々は事務所の後輩だった落語家の立川談洲さんと結婚したケイさん。事実婚や同性同士のパートナーシップ制度など夫婦や家族、カップルのカタチが多様化しているなかで、「結婚」という自分にとっての“ちょうどいい”カタチを選択したケイさんに、前後編にわたってお話を聞きました。

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「思ってたより向いてた」結婚生活

——立川談洲さんと結婚されて1年ちょっとたちましたが、振り返ってみていかがですか?

山崎ケイさん(以下、ケイ):最近思うのは、自分が思ってたより結婚生活に向いてたなって。昔は結構、恋愛すると依存するタイプだったんです。でも、年を重ねるにつれて、1人の時間がどんどん楽しくなっちゃって。「私、他人と一緒に住んだりできるのかな?」って、正直思ってたんですけど……。結婚して1年ちょっとたって、生活のペースをつかんだのもあるけど、結婚は思ってたよりよかったです。

——具体的に、どんなところがよかったんですか?

ケイ:「ちゃんとしよう!」という気持ちになったというか……。独身のときは、保険金の受取人を母にしてたんですけど、結婚してから夫に変えました。そのときに、「今どういう保険に入ってるんだっけ?」とか、「年金っていくらもらえるんだろう?」とか調べるようになりました。何かあったときのことを考えなきゃいけないなって思い始めたんです。あとは、夜ご飯も、自分1人で食べるものを作るのと、2人で食べるものを作るのとでは、なんとなくちょっと違ったりして。普段の生活も規則正しくなりましたね。

——他人と一緒に住むことでちゃんとするようになったんですね。

ケイ:片付けは今も得意ではないですし、夫もかなり不満があると思うんですけど……。私、家の片付けがすごく苦手だったんです。コートとかもハンガーにかけないで、そのへんに放っておくくらい片付けができない女だったんですけど。今は、コートもハンガーにかけて、決まったところに必ず置けるようになったので、私のレベルの中では、「すごいちゃんとしてる!」と思ってます(笑)。

——立川さんと生活するなかで、苦手なことも克服できたわけですね。

ケイ:夫はきれい好きというか、物を全部中に収納したい性格なんです。中が汚いのはそこまで気にしないんですけど、とにかく中にしまってほしいみたいで。だから、そういう意味で言うと、「中に入れればいい」というルールにして「ここはケイちゃんが使っていい場所だから、とにかくそこに入れてくれ」って。向こうも歩み寄ってくれています。「人はなかなか変わらない」ってよく言うけど、変われるんだなと思いました。

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「ひとりでも生きていけるから結婚を決めた」

——本の中で「ひとりでも生きていけるから結婚を決めた」と書かれていた部分が印象的でした。

ケイ:壇蜜さんも似たようなことをおっしゃっていましたが、「結婚したい」と思ったタイミングと「1人でも生きていける」と思ったタイミングが一緒だったんです。まあ、壇蜜さんの言葉を後付けした可能性はありますけど……。でも、そのタイミングで結婚したから、今の生活があるのかなとは思います。生活面とか精神面で男性に依存してるタイミングで結婚してたら、今の心地よさはないのかもしれないです。

——まさに、“ちょうどいい”タイミングだったんですね。

ケイ:そうなんですよね。ただ、婚活問題が終わったと思ったら、今度は妊活問題にぶち当たっています。だいたい、妊活の話になると、「子どもは絶対若いときにつくっておいたほうがいい」って言われるし、確かに身をもって「そうなんだな」って思います。

でも、一方で、現実的に「もっと早く結婚することは可能だったか?」と聞かれたら、ちょっと私は無理だったなと思います。もちろん、肉体的な意味では、もっと若いときに結婚して子供を作ることを考えたらいいんでしょうけど、精神的にはちょっと無理だったなって。今みたいに“大人な2人の生活”ではなかったと思います。

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子どもができなかったとしても…「この人となら大丈夫」

——結婚した理由として「子どもがいなくても、この人となら一緒に楽しい人生が送れそうだと思ったから」とも書かれていましたね。

ケイ:これは、性格的なこともあるんですよね。私は割と、入口でマイナスに考えがちなんです。例えば、結婚するときも、「でももしかしたら、離婚することもあるかも……」という気持ちが頭のどこかにあるんです。この本だって、将来、もし離婚したら壮大なフリですよね(笑)。「幸せです!」みたいな本を出しておいて、「結局、最後は離婚するんだ……」みたいな。いつも、先々の最悪なことを考えてしまうところがあるんですよね。それは、悲観的というよりも、「そういう可能性もあるな」と思っておいたほうが、メンタル的に安定するということだと思うんですけど。

子どもに関しても、結婚したのが38歳だったので、「子どもができない」という可能性を先に受け止めておかないとという気持ちがありました。それは、「子どもができない」ことで、揉めたり、仲が悪くなったりしたくないから。「可能性として、子どもができないこともある」と自分でも思いましたし、相手にも伝えました。その上で、「もし子どもがいなかったときにどうなるかな?」と考えたときに、「この人とだったら大丈夫かな」と思ったんです。

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芸人も結婚生活も…疲れないためのコツ

——前作もそうでしたが、自分の立ち位置や現実を冷静に分析されていると感じました。それは決して「自虐してる」とか「ネガティブ」ではなく、客観的に自分を俯瞰した上で「じゃあ自分はどうしたい?」と対策を考えているのがむしろポジティブだなって。見習いたいと思いました。

ケイ:そう言ってくださるととてもうれしいです。結構、他人から「そんなに自分のハードルを下げるな」とか、「自虐するな」って言われるんですよね(笑)。自分の中では、楽しいことばかりじゃない中で、常に前向きな気持ちでいるつもりなのですが……。

——「離婚の可能性もある」というのも頭の片隅に入れておけば、たとえそういう事態になったとしても慌てないで済みますよね。

ケイ:芸人にしても「一生やっていくんだ!」って思うと、どうしても疲れちゃうし。それと同じで、「離婚すればいいや」っていう気持ちを、どこかで持っておいたほうがいいと思ってて。その代わり、(結婚は)一生やっていくつもりではあるから、ケンカしたり、腹が立ったことがあったときに、「どうやって解決したらいいのか?」と考えることも大切ですよね。そこは、恋愛と結婚の違いかなと思います。

例えば、片付けが苦手な私に、夫が「なんでできないんだ!」って怒ったり、私が家を汚くするのを我慢したりっていう生活は続かないですよね。さっきの「中に入れればいい」ルールのように「とにかくこの場所に入れてくれればいいから」と解決の方向に持っていくのが、結婚かなと思っていて。だから、ずっと一緒にいるつもりで改善はしていくんだけど、「最終的には離婚したっていい」という気持ちがあったほうが楽なんですよね。

——昔からそんなふうに考えるタイプなんですか?

ケイ:そうかもしれないです。いろんなことに悩んだりしたあとも、最終的にはいつも、「まあ、死ぬわけじゃないしな」「考えても仕方ないことは、考えても仕方ないか」みたいな(笑)。そういう逃げ方はするタイプですね。

——自分の状況を客観的に分析するためのコツってありますか?

ケイ:どうだろう? でも、こうやって発信することは、自分を客観視するきっかけになってると思います。他人に話したり、文字にすると、「ああ、自分はそう思ってたんだ」って気付けるから。例えば、「夫がこんなこと言うんですよ~」って、お仕事でお話するじゃないですか。それで、文字起こしされた原稿を読むと、「夫が悪い」っていう話をしてるはずなのに、私のほうが結構ヒドいことを言ってるんですよね。「すみません、ちょっと私の口調がキツいので修正してください」って言って、いい感じに修正したものを世の中に出してるんですけど(笑)。

今回の本も、改めて読み直したときに、「私めちゃくちゃヒドイこと言ってるじゃん!」と思って、「ちょっとキツ過ぎるんで、直してください」と修正してもらった部分もあったんです。だから、そういう作業があると、「夫が悪いと思ってたけど、私も結構ヒドいこと言ってるな……」って改めて考え直したり。私にとって、この仕事があるのはラッキーというか、客観視しやすい部分なのかなと思います。

※山崎ケイさんの「崎」は「たつさき」です。

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(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘)

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