前回は「別れ」についてお話しました。別れで辛い思いをすることもありますが、希望を失うことではありません。最終回の今回は、パリジェンヌの「恋愛力」について探ります。
パリジェンヌはお高くとまってる?
これまでの連載で紹介してきたパリ流の恋愛は、自分にも相手にもルールで縛らないのが特徴。自分を見失わない恋愛観は、自ずと表情に出ます。それは周囲には芯が強く、凛とした表情に映るはず。私がパリジェンヌから受ける印象も、ちょっと自信ありげ、ツンとしているポーカーフェイスがあります。
しかし彼女たちがずっとポーカーフェイスかというとそうではありません。人との距離が縮まっていくに従って彼女たちの表情は変化していきます。
少しずつ縮まる距離を楽しむ
パリでの人との「距離」には、段階があります。人と人は回数(時間)を重ねて親しくなっていく、という自然の成り行きに従えばこそ。言葉であったり、フィーリングだったり、目と目であったり……さまざまな交流の仕方を経て関係を築き上げるもの。1回目はやや緊張し、2回目で親しみを覚え……といった具合に、時間と比例して徐々に距離が近づくのが普通です。
たとえば友人なら、年齢や社会的立場等の上下関係が解かれ、心理面で対等になった時点で「友」と呼び合う関係に。お互いの考えや意志を尊重する間柄です。気持ちの上で対等であれば、年の差カップルが多いことも納得できます。
物事の進み方に、スピード感のないパリ。恋愛も、少しずつ縮まっていく距離感を楽しむのもパリ流のやりかたです。
まずは恋愛力アップの第一歩として、意識的に笑顔を控えてみましょう。
「ツン」の表情からスタート。はじめから「愛想笑い」はしないのです! 日本では、無意識に笑顔になってしまいませんか? 私がそうでした。「心にもない表情」は、建前のない社会で暮らす彼らには理解できぬ行為。それが意思の疎通においての「プチ障害」だとパリで気づかされました。恋愛は1対1。純粋さを持ち、ストレートな顔で向かえば、日仏を問わず、無駄な駆け引きなどなしにシンプルに発展できます。
パリジェンヌのコケティッシュな魅力を「輸入」
愛想笑い、作り笑いは意志に反しても、場合によっては必要ですよね。ただ、恋愛という自由な場では不要です。
はじめは、なかなか笑わなかったパリジェンヌが笑顔になった時、私は「コレか!」と思ったものです。まるで、秘密兵器を隠していたかのよう……。それまで、ボーイフレンドの話をつまらなそうに聞いていたかと思えば、ツボにハマリ、クスっと笑う。効果は2倍以上! 彼をますます「とりこんで」いくのです。
笑顔を無駄にしない「有効利用」の現場を数々目撃したのです。
生涯恋愛中の魅力的な顔で
意地悪な見方をすれば、「計算」かもしれません。ただ、人の恋愛につべこべ言わないのもパリの都会的態度。人からどう見られようと、嘘をつかない表情が、最終的にはパリ流の自立した大人っぽい恋を呼び込みます。
笑顔に慣れている男性には「お高く」映る場合もあるでしょうが、これから過ごす時間が緊張の糸をほどいてくれるのです。
とくに恋人未満で足踏みしている人は、スムーズな発展を目指す機会にしてみませんか。パリジェンヌになったつもりで、真顔で彼の目を見て、話に耳を傾けてください。そして、心からの笑みを! いつもは初めに見せる笑顔がようやく出た一瞬、嬉しくない人はいないはず。ここから先はいつものあなたの自然体でいてください。
恋愛力は、まずは表情に! 媚びないながらも、なぜか異性の気をひくコケティッシュなイメージが定着しているパリジェンヌ。笑顔が「極上」の日本女性、ぜひとも無駄にせず有効に活用し、恋愛力の源にしましょう!
最後にひとつ—恋愛に年齢制限はありません。パートナーの横で、シワくちゃ笑顔を見せるパリのおばあちゃんのように、素敵に年を重ねられたらよいですよね。
(米澤よう子)