パリ流恋愛のススメ leçon9

元カレは友人リストに…パリジェンヌが別れても「絶縁しない」理由

元カレは友人リストに…パリジェンヌが別れても「絶縁しない」理由

前回は、結婚の形に縛られず、カップルの意思を尊重する婚姻のあり方をご紹介しました。おめでたいこともある一方で、そうではないこともあるのが人生。今回は、「別れ」についてお話します。

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いつ訪れても驚かない「予防線」

別れを前提におつきあいを始めるわけではないものの、残念ながら別れに至るケースもあるのは事実。しかし、私がパリに暮らし、現地での(恋愛に限らず)物事の進め方を知った今、別れを前提とするのも決して不自然な考えではないと思っています。

今は一緒にいるけれど、いつ別れてもおかしくないというのは自然なことなのかもしれません。人の気持ちに「絶対」はないのだから。それは不安をともなう考え方ではありません。逆に、不意な時のショックをやわらげる、ひとつの気の持ちようなのです。

「いつなんどき別れがやってくるかもわからない」という想定が頭の片隅にあれば、「今」を大切に過ごせますよね。パリジェンヌのように「今」を軸に、恋愛ができるのです。

そのときの気持ちを伝える

別れの理由はさまざまですが、ここでは、相手側からの別れ話で考えましょう。もし彼に新恋人ができたならば……?

「そう、幸せになってね」と、クールにカッコよくサヨナラしたいところですが、そこは人間だもの。そんなに寛大でいられません。こと恋愛に関しては、きれいごとでは済まされない!

でも、パリ流で考えれば、最終的にはそんな心境になれます。美しく終了できるのです。

はじめはジェラシーがメラメラと燃えあがり、彼や新恋人を許せない気持ちが襲ってくるもの。こんなとき、パリジェンヌだったらどうするか? 彼女らの「今」の時間軸から考えるとその答えは出ます。彼にありのままの感情を言葉で伝える。たとえ支離滅裂でも、感情ムキ出しで、泣きたかったら目の前で泣く。ティッシュがひと箱消費するくらいに! 今の気持ちを彼に100%ぶつけるのです。

私がパリに住んでいた時、男女の別れ話のシーンは公共の場でもたびたび目にしました。そこにはポロポロと涙を流すパリジェンヌも!

人前で感情をあらわにするのは日本の女性はあまりしないことなのでは? おそらく友人に相談したり、ひとり部屋に閉じこもったり、カラオケや飲み会など、別のことで紛らわせたりしませんか?

負の感情を出し切って「浄化」する

気持ちがおさまるまで時間がかかるのは日仏同じ。でも、私たち日本人は感情を「溜め込んで」しまいがち。そこでパリの考え方にスイッチします。家族同様の間柄なのだから、別れ際に「イイ子」でいる必要はない、と思うのです。遠慮せず「悪い子」の面を見せるのも、ひとつの信頼関係ではないでしょうか?

「最後の望みにかけたい、だからじっとガマンする」という心理もあります。でも、パリ流ではNONです。自分の気持ちをあとまわしにすれば、結果、「すがって」しまうことになるから。ここは誇り高くいるのです!

交際期間を思えば、彼は確実に自分の人生に関わった人。別れてもアカの他人ではないのです。(理不尽はいったん置いておき)今の自分の1000分の1をつくった人かもしれない……。

フランス流「別れ」の作法とは?

とにもかくにも縁があった人。せっかく出会った者同士、お互いの「別々の」幸せを願うような心境になります。自暴自棄にならず、相手へのうらみつらみも消し去れます。

時間はかかれど、最終的には自分の気持ちがそのように「美しく」整理できます。

20代の頃の私は、フランス映画でよくある、(なぜかハッピーエンドにせず)「別れ」の結末が納得できませんでした。でも今は納得できます。激しく言い合った後、何事もなかったかのようにあいさつする、フランス人のカラリとした気質を知ったから。ちょっと泥沼的でもお互いを出し切れば、あとはきれいさっぱり、根に持たない、美しい別れとなるのですね。

元カレは「友人リスト」に追加

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気持ちが整理でき、彼への未練はほぼ0%。以後、友人関係に変わるのもパリ流恋愛の特徴。その理由の一つとして、土地柄もあるのではないかと思います。パリは狭い都市、バッタリ元彼に出くわすことも珍しくありません。「絶交」したくても無理。いずれにせよ、「恋人解除」でも「人間同士」に変換すれば、交流の幅は広がる。少し大人になった気がするものです。

(米澤よう子)

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