11月15日に東京・神保町の小学館ビルで、トークライブ「働く女性に贈る『本音でぶっちゃけナイト』」が開催されました。
登壇者は、イラストエッセイストの犬山紙子さん、WEB Domani編集長の井亀真紀さん、働く女性の消費・生活・情報意識などを分析する「キャリジョ研」研究員の伊藤祐子さん(博報堂DYメディアパートナーズ)。
盛りだくさんの内容の中から一部をピックアップして、リポート。第3回のテーマは「キャリアと出産」です。子どもが生まれたらきっと仕事より子どもを優先する。だからこそ産み時を慎重に考えたい……と、袋小路に入っていませんか?
第1回:合コンはタイパが悪い
第2回:味方にするなら “セカンドオピニオン上司”
アラサーには身近なロールモデルがいない
伊藤祐子さん(以下、伊藤):キャリジョ研の調査によると、「働き方や生き方などをお手本にしたい女性の先輩が職場にいる」と答えた女性は、23~26歳で46.2%。それが27~34歳の女性たちになるとガクンと減ってしまう(27~30歳26.9%、31~34歳25.5%)。上の世代の方が苦労しているのを見ているので、それを見て「私どうしよう」って悩んだり迷ったりしてるんですね。
井亀:ロールモデルも多様化してますからね。結婚してる/してない、子どもがいる/いないとか。
犬山:「別にロールモデルいらない」という人もいるのかもしれないですよね。自分は自分。「あの人みたいになりたい」っていうよりは、「あの人のあの部分がいい」って、いいとこ取りしたいという感じなのかも。
「産みたい」と思った時がタイミング
伊藤:若いうちに子どもを産んで仕事に戻る方がいいのか、ある程度キャリアを積んで戻る場所を確保してから産んだ方がいいのか。キャリジョ研でデータをとったところ、前者が52.9%、後者が62.7%でした。どっちもメリット・デメリットがあることを理解したうえで、皆さんが悩まれている現状がよくわかる結果になっています。
犬山:子どもを産むタイミングって、私もけっこう考えたんですよ。レギュラーの仕事も入ったタイミングだから、「いま妊娠すると迷惑かけることになっちゃうかな」「この1年は妊活しないようにしようかな」とか……。でも、「あと1年したら私のポジションはもっと確固たるものになるから、1年経ってから妊活しよう」と思っても、いざその時がくると若い世代が出てきたりして「今が仕事の頑張り時じゃん! 妊娠してる場合じゃねぇ!」ってなったりする。だから、仕事をベースに考えるんじゃなくて、産みたいって思った時がタイミングだと思っていて。
井亀:完璧主義の女性ほど、キリがないですよね。「もっとキャリアを積んでから」って言ってたらキリがない。
犬山:仕事を休むことってめちゃくちゃ怖いですよね。自分が休んでいるうちに自分がやってた仕事はほかの人に引き継がれて、新しい関係性がつくられて……。「出産後に仕事に戻れても、そこに私のイスはあるの!?」って不安がつきまといます。出産前とまったく同じところでやりたい仕事に戻れるかって言ったら、正直それは難しいと思うんです。でも、私の場合、新しく増える仕事がめちゃくちゃあった。なくなってしまった仕事もありますけど、増えたものも多くて、出産が仕事に悪影響を与えたかというと、今のところそれはない。むしろいい影響ばかりです。
「夫が嫌い」という状況に陥らないために
井亀:WEB Domaniで1日の アクセスランキングがあるんですが、今日の1位は、「“子供を産んでも輝け”なんて無理!」という記事でした。もう、「輝け輝け」って言われすぎですよね、女性は。そんなにキラキラしているわけがないし、そんなにキラキラしたいかなっていうのもありますし。いろんなケースがある中で、正解例にだまされない! これが重要かなとも思います。
一同:(笑)。
井亀:あと、人気があったのが「結婚12年、子供ふたり、でも夫のことが大嫌い!」というお悩み相談記事。子どもは大好きなのにダンナが嫌いという人は意外なほど多い。
犬山:つい2、3日前にツイッターで「正直子どもを産んでから夫が嫌いになったという人の話をよく聞く」というようなことをつぶやいたら、6000RT*、1万いいね**というすごい反響がありまして。なんでそんなに夫のことを嫌いになっているのかというと、育児を丸投げされているから。
妻から夫への愛情曲線というグラフがありまして、夫から妻への愛情は割と一定なんですが、妻から夫への愛情は、出産してからガックーン!と下がる。でも下がらないケースもあるんですよ。その差は夫が育児に参画したかどうからしいんです。「産後クライシス」という言葉もありますが、産後、ホルモンの影響もありつつ自分が本当に追い詰められている時に夫が何もしなかったら、嫌いになっても仕方ないと思います。
*11月15日以前。現在は7200RTを超えている
**11月15日以前。現在は11000いいねを超えている
井亀:『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』(太田出版)という本も話題になっていますよね。
犬山:今は3分の1の夫婦が離婚しているわけですけど、そんななかで離婚しないで済むためには、ちゃんと対策を打たないとだめですよね。私の場合は、離婚に陥る可能性をザーッと挙げていって、ひとつひとつ「じゃあこうならないためにはどうしたらいいか」とつぶしていった。結婚前からそういう話をけっこうしていたんですよ。
プロポーズは「提案」
井亀:結婚前に話し合っておくというのは重要ですよね。WEB Domaniのお悩み相談でもよく見かけるんですが、彼と付き合った年数が長ければ長いほど、結婚のこと、お金のこと、子供のことという大事な3つのファクターを話し合っていないんです。これらをにおわせると、彼が自分から離れていってしまうんじゃないかと怖くて切り出せないんです。
犬山:私は、大事な現実問題から逃げる男って、そこそこクズだと思う! 案外男性って、こっちがちゃんとプレゼンするとわかってくれるし、それでわかってくれない相手というのはコミュニケーションがとれない人。そういう男性は自分から切り捨てていいと思うんですよ。
井亀:長く付き合ってるケースでは「プロポーズ待ち」というのもよく聞きます。こういう場合は、女性のほうからプロポーズしてもいいと思う。理路整然と、それこそプロジェクトとかタスクとして「どうする?」と問いかければ、割とマジメに考えてくれたりしますよね。何かの事業とか、一緒に乗り越える山みたいに話し合いの俎上(そじょう)に載せると、相手も意外とハッとしたりする。
犬山:男性が結婚を躊躇する理由のひとつに、「自分が家族を養わないと」という思い込みもあります。家族のお金の話をひとりで背負い込んでしまうんですね。でも、お金の話だって、「2人合わせて収入がいくらだから、こういう未来が築けるね」って、2人で未来を見ればいいだけの話なんです。1人の未来じゃなくて、2人の未来なんだから。「次昇進したら」「子どもを養えるようになってから」と先延ばしにしている男性には、女性が「いやいや、私も働いてるし」という姿勢を見せてあげるといいかもしれませんね。
井亀:プロポーズという言葉には「提案」という意味もありますもんね。
犬山:ああ、確かに!
(構成:須田奈津妃)