吉高由里子さんと、北村匠海さんが共演する『星降る夜に』(テレビ朝日系列)が人気だ。感情を忘れて孤独に生きる産婦人科医(吉高)と、音のない世界で自由に生きる遺品整理士(北村)という対照的な二人の恋が話題になっている。ただ、個人的には二人の年齢差が10歳ということに、心惹かれている。説明しておくと、吉高さん演じる産婦人科医・雪宮鈴が35歳で、北村さん演じる一星が25歳だ。
これはもう癖なのか、趣味なのか。私は年下の男性が好きである。推し活をしている人が「気づけば推していた」という話をしていたことがあるけれど、おそらく私の年下の男性好きもそのような理由だ。そのため昔から、年の差恋愛(女性年齢が上に限定)を描いたドラマが大好物である。どんなに機嫌が悪くても、この手のドラマさえ与えておけば、私は静かにしていることができる。
今回は私の脳内にストックされた、厳選「年の差恋愛ドラマ」セレクションを綴(つづ)っていこうと思う。疲れたあなたに効く、一作が見つかりますように。
これはジャパニーズ・ラブ・ドリーム? それともマンガの世界?? の妄想満開作品
まず年の差恋愛ドラマの金字塔、としたい不朽の名作『ロング・バケーション』(フジテレビ系・1996年)。放送された内容すべてが斬新で、視聴者を熱狂させた、最高視聴率36.7%の作品だ。中でも私が注目していたのは、葉山南(山口智子)・31歳と、瀬名秀俊(木村拓哉)・24歳の7歳差。当時はまだ男性が年上であることが結婚条件としては望ましい……とされていた時代。花嫁が年上だと「年上女房は金のわらじを履いてでも探せと申しますが……」と、結婚披露宴でスピーチネタにされるのがオチだった。
そんな(個人的に)氷河期の最中、二人はあまりにもナチュラルに恋愛へと発展をした。年の差というワードは、まるで昇華されたように跡形もない。そして『ロンバケ』が内発的動機になったかのように、年の差恋愛ドラマが量産されていくことになる。
まず妄想の扉をこじあけてきたのは『きみはペット』(TBS系列・2003年)。新聞社に勤める巌谷澄麗(小雪)が、雨の降る日に自宅マンションの前で拾ったのは、ダンサーでイケメンの合田武志ことモモ(松本潤)だった。この設定が妄想欲をそそる。ダンボールに入った美青年は、そんな簡単にいないことだけは分かっている。でも拾った後、ふたりで楽しく生活している様子をドラマで見ていると「ひょっとしたら、ウチの前にもモモが落ちているのでは」と思うようになってしまった。2017年版よりも、初期の『きみペ』のほうが内容のリアリティー高めだと、加えておく。
澄麗と同じくエリート会社員が年下男性とズブズブの恋に落ちた……といえば『恋する母たち』(TBS系列・2020年)。特に注目してほしいのは第3話。営業部長の林優子(吉田羊)が赤坂剛(磯村勇斗)と一夜を共にするシーン。年下の赤坂がタメ口になりながら、ベッドに吸い込まれていく瞬間、何かが弾ける音が聞こえたような気がする。
篠原涼子は年の差恋愛ドラマがよく似合い、自分も「篠原かも?」と夢が広がる
2000年代に年上彼女設定のドラマで、めきめきと頭角を現してきたのが篠原涼子さんだ。『anego』(日本テレビ系列・2005年)では、後輩社員と恋愛する野田奈央子(篠原)を演じた。結婚を切望する32歳の奈央子と、22歳の黒沢明彦(赤西仁)には大きすぎる壁があった。まさに女性の「恋しさと せつなさと 心強さと」の心持ちを表現した、彼女の演技は拍手喝采。
そして2013年には『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ系列)で、40歳を間近に控えた、美容師の遠山桜(篠原)を演じた。恋の相手はBMXライダーの佐伯広斗(三浦春馬)で、年齢差はほぼひと回り。彼女のかわいらしさもエイジレスぶりも飛び抜けているのは分かっている。自分が篠原涼子ではないと重々承知している。それでもひょっとしたら赤西仁や三浦春馬みたいな好条件男子が、ある日突然迎えにきてくれるのかもしれないと思わせてくれた。放送当時は私にとって一週間を頑張って生き抜く活力になっていた気がする。他にも篠原さんは『金魚妻』(Netflix・2022年)でサレ妻となりながら、年下男性と恋に落ちていく主婦を演じていた。彼女特有のしなやかさ、柔らかさは年齢差を感じさせなくなるのだろうか。いずれにしても次回作に期待が膨らむ。
紹介した作品は初心者(?)でも感情移入しやすい。仕事、家事育児、いや頑張って毎日を生きるあなた。疲れた夜はぜひサブスクで検索をして、脳から癒やされてほしい。ヒロイン、ヒーロー、そして私も味方です。
ドラマオタクが勧める、年の差恋愛ドラマは後編へと続く。